「日本銀行がETFを購入」など、なにかとETF関連のニュースを目にする機会が増えた。ただ、ETFがどのようなものか、実は知らない人も多いのではないだろうか。ETFの特徴やメリット・デメリットを理解しよう。

1,ETFとは?おさえたい3つの特徴

etfとは
(画像=semisatch/stock.adobe.com)

ETFとはExchange Traded Fundsの略で、日本語では上場投資信託とも呼ばれる金融商品である。投資信託のインデックスファンドが金融商品取引所に上場したイメージだとわかりやすい。そのETFには3つの特徴がある。

ETFは分散投資が可能な金融商品

ETFは1銘柄で分散投資できる金融商品であり、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などの指標の値動きに連動させることをめざす商品もある。

日経平均株価への連動をめざすETFの場合、日経平均株価を構成する225社の株式を資産として組み込み、これらの株式へ分散投資するのと同じ効果を得られる。

資産を分散して投資するメリットは価格変動リスクを抑えられることであり、安定したリターンも期待できる。購入時期を分散すれば時間分散も可能になる。

ETFの投資対象は指標や債券、REITなどさまざま

ETFの投資対象は幅広い。日経平均株価やTOPIXなどの国内株式以外にも、米国株式などの先進国株式、中国株式やインド株式などの新興国株式もある。

株式以外にもETFには債券やREIT(不動産投資信託)、ゴールド(金)や原油などのコモディティ(商品)を資産として組み込む商品がある。指標とほぼ逆の値動きをするベア型(インバース型)や指標の2倍ほどの値動きをするブル型(レバレッジ型)もある。

このようにETFの投資対象はさまざまで、自分の好きな商品を選べるのも魅力だ。

ETFは株式と同じようにリアルタイムで売買できる

ETFは証券取引所に上場しているので、株式と同じようにリアルタイムで売買できる。株式と同様に銘柄コードがあり検索も簡単。取引手数料を株式と同じ料金設定にしている証券会社も多い。

2,ETFの3つのメリット

前述の特徴をふまえて、ETFが持つメリットを3つ紹介する。

ETFのメリット1……少額から分散投資ができる

ETFは銘柄によっては少額から分散投資できる。ETFの売買単位は銘柄によって異なり、1口から取引可能な銘柄もあれば、10口や100口単位の銘柄もある。取引価格も銘柄によってさまざまである。1口数百円程度のものから数万円のものまで幅広い。なかには1口単位で取引可能な数百円の銘柄もあるので、1,000円以下の少額から取引可能だ。

ETFのメリット2……投資対象の選択肢が多い

東京証券取引所に上場しているETF銘柄数は236(2021年2月8日時点)である。2011年の銘柄数は120程度であったが、10年で約2倍になった。今後もさまざまな資産へ投資できるETFの増加が期待できるだろう。

ETFのメリット3……市場が開いていればいつでも売買できる

証券取引所に上場しているETFは、市場が開いていればいつでも取引できる。株式と同じように相場の値動きを見ながら取引するデイトレードや、相場の急騰や急落に合わせてのポジション調整も可能である。

信用取引ができる銘柄なら売りポジションから始められるのも、大きなメリットといえる。

3,ETFの3つのデメリット

金融商品はメリットがあればデメリットもある。以下3つのデメリットはETFの重大なリスクというわけではないが、しっかり頭に入れておこう。

ETFのデメリット1……投資信託に比べると最低投資金額が高め

ETFの最低投資金額は銘柄にもよるが、数百円から数万円程度が一般的である。ETFの現物取引での最低投資金額はETF市場価格、売買単位、取引手数料(証券会社によって異なる)から計算される。

ETF最低投資金額=ETF市場価格×売買単位+取引手数料

例として、売買代金上位の代表的なETFの2021年2月5日時点の終値は次のとおりだ。売買単位が1の銘柄なら、時価に取引手数料を追加した額が最低投資金額になる。

証券コード ETF名称 売買単位 終値
(2021年2月5日)
1321 NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信 1 2万9,670円
1570 NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・
インデックス連動型上場投信
1 3万1,650円
1357 NEXT FUNDS日経平均ダブルインバース・
インデックス連動型上場投信
1 444円
1458 楽天ETF-日経レバレッジ指数連動型 1 1万8,390円
1459 楽天ETF-日経ダブルインバース指数連動型 1 1,768円
※筆者作成

例として紹介した銘柄の売買単位はすべて「1」だが、売買単位が「10」や「100」などの銘柄もある。

ETFの最低投資金額は投資信託に比べると高めだ。投資信託はネット証券なら100円から購入できることが多い。また投資信託の場合、金額を指定して購入することも可能だが、ETFは株式同様に市場価格での取引となる。

投資信託に比べるとETFはある程度の資金が必要だが、それでも数万円あれば多くのETF銘柄を取引できる。

ETFのデメリット2……スプレッド(買値と売値の差)がある

ETFには、その価値を表す基準価額というものがある。基準価額とは、ETFに組み込まれている資産に配当金などの収入を加えて必要経費を引いた純資産総額から次のように計算される。

基準価額=純資産総額÷総口数

ETFが取引される価格は基準価額でなく取引所での売り買いの需給で決まる。そのため買いや売りの需要が少なく、買値と売値の差があるときには基準価額より不利な金額での取引になることがある。この買値と売値の差をスプレッドという。

流動性が高い(買いや売りの需要が多い)銘柄の取引であれば、スプレッドが大きくなることを避けられる。

ETFのデメリット3……ETFの積立投資ができない証券会社もある

資産形成などを目的とする長期投資には積立投資が便利だ。積立金額を設定しておけば定期的に金融商品を購入して積み立ててくれる。通常の投資信託の積立投資ならほとんどの証券会社で利用できるが、ETFの積立投資には対応していない証券会社もある。

主要証券会社の主なETF積立投資のサービスは次のとおりだ。

証券会社 ETF積立
サービス名
最低積立金額 手数料
SMBC
日興証券
キンカブ 銘柄あたり
100円
手数料のかわりにスプレッド
(0.0~1.0%)あり
auカブコム証券 プレミアム積立
(プチ株)
毎月500円 買付手数料無料、売却手数料は
単元未満株または単元株の扱いにより異なる
マネックス証券 ETF自動
積立サービス
毎月1万円 助言報酬として年率0.33%(税込)
相当の負担あり
野村證券 株式積立
(株式累積投資)
銘柄あたり
毎月1万円
買付・売却時の取引手数料1.21%(税込)
大和証券 るいとう
(株式累積投資)
銘柄あたり
毎月1万円
口座管理料と取引手数料の負担あり
SBI証券
楽天証券
松井証券
岡三オンライン証券
※各社ウェブサイトより筆者作成

ここで取り上げた9社のうち、4社がETFの積立投資サービスに対応していない。また、対応している5社のうち、マネックス証券のETF自動積立サービス以外はETFに加えて株式などの積立もできる。この中では、SMBC日興証券とauカブコム証券は最低積立金額と手数料が低いため、手軽にETFの積立を始められる。

SMBC日興証券の「キンカブ」は、100円から100円単位で金額を指定でき、スプレッドは注文金額が100万円以下なら買付時0.0%、売却時0.5%だ。

auカブコム証券のプレミアム積立(プチ株)は、毎月500円から始めることができ、取引手数料は単元未満株としての売却時に約定代金の0.5%(最低手数料52円[税込])の負担がある。

マネックス証券のETF自動積立サービスは、ロボアドバイザーを利用してETFを積み立てる資産運用サービスであり、個別のETFを選んでの積立投資とは異なるサービスである。資産運用サービスのため助言報酬0.33%(税込)相当のコスト負担がある。

野村證券と大和証券のサービスは、最低積立金額が銘柄あたり1万円からであり、取引手数料は1%以上などの負担があることから、中長期のしっかりとした投資プランでの利用に適しているサービスといえる。

なお、これらのETF積立サービスの対象銘柄は証券会社により異なる。ETF積立サービスを利用するなら、積立する銘柄が対象なのか確認しておきたい。

4,ETFと株式・投資信託、どれが取引しやすい?

投資で一般的な金融商品である株式、投資信託とETFの違いを取引価格や手数料などで比較してみよう。

ETF 株式 投資信託
取扱金融機関
(販売会社)
証券会社 証券会社、銀行など
取引価格 リアルタイムに変動する
市場価格
1日1回決まる
基準価額
手数料
(コスト)
取引手数料 証券会社により
異なる
銘柄や販売会社
により異なる
保有中の
コスト
銘柄により異なる
信託報酬
なし
(現物)
銘柄により異なる
信託報酬
※筆者作成

投資信託に比べ、ETFや株式は取引価格を把握しやすい

ETFと株式の取引価格は市場でリアルタイムに変動するのに対し、投資信託は1日に1度決定される基準価額が取引価格になる。

投資信託の基準価額は投資家が注文を出した時点では公表されていない。基準価額は注文を締め切った後に公表され、取引がおこなわれる。

取引時に取引価格を把握しやすいのは、リアルタイムで取引価格を確認できるETFと株式である。

手数料はETFや投資信託よりも株式が最も把握しやすい

ETF・株式・投資信託では、株式の手数料が最も把握しやすい。銘柄による手数料の違いがなく、現物であれば保有中のコスト負担が不要(証券会社の口座管理費用がかかる場合を除く)だからだ。

投資信託の手数料は、販売会社や銘柄によって異なる。多くのネット証券では投資信託の販売時手数料の無料化(ノーロード)が進んでいるものの、解約(売却)時の手数料がかかることも注意したい。

投資信託の解約時の手数料には、銘柄ごとに決まっている信託財産留保額と販売会社ごとに決まっている解約手数料がある。これらを無料にしている投資信託も多いが、分かりにくいこともある。

ETFは信託報酬の負担があるものの、そのほかの手数料は株式とほぼ同じである。信託報酬とは投資信託(ETFを含む)を運用・管理してもらうための経費であり、保有中に払い続けるコストだ。

ETFはリアルタイムかつ市場全体の取引が可能

ETFは投資信託に株式と同様の取引しやすさを加えた商品であるといえる。ETFは取引しやすさ、分散投資への手軽さのメリットをもった商品である。

個別の銘柄を購入する株式は市場全体の取引に向いていないし、1日1回価格が決まる投資信託はリアルタイムで取引したい人には向いていない。リアルタイムで市場全体を取引したいなら、ETFはぴったりである。

5,ETFの取引手数料をネット証券6社で比較

ETFを売買するには証券会社に口座が必要である。日本の証券取引所に上場しているETFの取引におすすめのネット証券の手数料を比較した。

取引手数料無料のETF銘柄を設定しているネット証券では、その銘柄数を比較している。取引手数料は、取引手数料が無料ではないETF銘柄を取引する場合の金額だ。

ネット証券のETF取引手数料は「1約定ごと」と「1日の約定代金合計」の2つのプラン・コースを用意していることが多い。投資初心者が利用しやすいと考えられるプラン・コースに絞って手数料比較表を作成した。

ネット証券 取引手数料無料
対象ETF
取引手数料無料
対象外ETF
銘柄数 ETF現物取引手数料
(税込)
ETF信用取引手数料
SBI証券 116銘柄 1日の約定代金100万円まで無料
(アクティブプラン)
無料
(インターネットコースの
インターネット取引の場合)
楽天証券 110銘柄 現物と信用合わせて
1日の約定代金100万円まで無料
(いちにち定額コース)
岡三オンライン証券 1日の約定代金100万円まで無料
(インターネットでの定額プラン)
1日の約定代金100万円まで無料
(インターネットでの定額プラン)
松井証券 現物と信用合わせて
1日の約定代金50万円まで無料
(一日信用取引は除く)
auカブコム証券 100銘柄 1注文の約定代金
10万円以下は手数料99円
無料
マネックス証券 5銘柄 1注文の約定代金10万円以下は
手数料110円(取引毎手数料コース)
無料
※各社ホームページより筆者作成(2021年3月8日現在)

それぞれのネット証券の特徴を紹介しよう。

SBI証券……ネット証券口座開設数No.1で顧客満足度も高い

SBI証券は手数料が安く、取扱商品が豊富なネット証券だ。高機能ツールがそろうなどの総合満足度が高いネット証券として顧客満足度も高い。

SBI証券のETFは116銘柄を手数料無料で取引できる。そのほかの銘柄でも、アクティブプランでの現物取引は、1日の約定代金100万円までは取引手数料無料だ。信用取引では、国内ETFは取引手数料無料である。

楽天証券……手数料はSBI証券と同等で楽天グループのポイントサービスが人気

楽天証券も手数料が安く、取扱商品が豊富である。楽天ポイントなどの楽天グループのサービスを受けられるのも魅力だ。

ETFは110銘柄が取引手数料無料だ。人気ETFの楽天225ダブルブル(1458)なども取引手数料無料の対象である。そのほかのETF銘柄は、いちにち定額コースでは現物取引と信用取引を合わせた1日の約定代金が100万円まで取引手数料無料で売買できる。

岡三オンライン証券……投資初心者でも使いやすいツールなど顧客満足度が高い

岡三オンライン証券は、使いやすいものから高機能なものまで充実したツールと高頻度に配信する情報に強みをもつネット証券だ。

ETFと株式などは、定額プランの場合、「現物」と「信用」取引の約定金額がそれぞれ1日100万円以下の場合取引手数料が無料になる。現物と信用を合わせると、1日200万円まで取引手数料無料で利用できる。

松井証券……安心のシステムや充実のサポート体制などの評価が高い

松井証券は100年の歴史がある老舗証券会社であり、安定したシステムや充実したサポートなどが高評価のネット証券だ。

ETFと株式は現物と信用(一日信用取引を除く)の約定金額を合わせて1日50万円まで取引手数料が無料だ。

auカブコム証券……豊富な自動売買の機能をもつMUFGグループのネット証券

auカブコム証券は豊富な自動売買の機能を持ち、トレーディングや銘柄抽出をはじめとしたさまざまなスマートフォンアプリが特徴的な三菱UFJフィナンシャル・グループのネット証券だ。

ETFは100銘柄を手数料無料で取引でき、そのほかの銘柄でも信用取引を手数料無料で利用できる。自動売買を積極的に活用したい人におすすめだ。

マネックス証券……豊富な海外投資商品とETF自動積立サービスを提供

マネックス証券は米国株式や中国株式をはじめとした海外投資商品が多く、ETF自動積立サービスを利用できるネット証券だ。

ETFは信用取引なら取引手数料無料で利用できる。ETF自動積立サービスはマネックスアドバイザーによる資産配分や商品の提案といった運用アドバイスまでサービスしてくれる。

6,ETFを選ぶための3つのポイント

ETFを選ぶ際に重視したい3つのポイントを紹介しよう。

ETFを選ぶポイント1……リスク・リターンに応じて投資対象資産を選ぶ

はじめに考えたいのが、どの資産に投資するETFを選ぶかだ。ETFは、株価や債券などのインデックス(指数)や商品価格への連動をめざして運用される商品がほとんどである。

ETFが投資対象にする資産によって、リスクとリターンの大きさが変わる。高いリターンを期待するなら高いリスクの商品を、低くても安定したリターンを期待するなら低いリスクの商品を選ぶことになる。

一般的に、株式やREIT(不動産投資信託)のETFはリスク・リターンが高めで、債券のETFはリスク・リターンが低めの傾向だ。

それぞれのETFのリスクは、ETFの投資信託説明書(交付目論見書)の「ファンドと代表的な資産クラスとの騰落率の比較」などの情報で確認できる。

ETFを選ぶポイント2……流動性などからETFを選ぶ

投資対象資産が決まったら、ETFを絞り込んで、自分が取り引きする銘柄を決める。チェックしたい主な項目は次の4つだ。

項目 内容
流動性 売買高や売買代金の多さが目安、それらが高いETFは取引しやすい
最低投資金額 どれだけの資金で投資できるか(市場価格×売買単位+手数料)
純資産総額 中長期投資で人気の銘柄は資産規模が大きい
信託報酬 ETFの保有中に負担するコス
※筆者作成

この中で特に確認したいのが流動性だ。ETFは株式と同じく、頻繁に売買が行われている銘柄から一日に数回程度しか売買されない銘柄まで様々である。頻繁に売買される銘柄は流動性が高く、売買の頻度が低い銘柄は流動性が低い傾向にある。

流動性が高い銘柄は、買いたいときに買い、売りたいときに売れる可能性が高い。できれば売買高や売買代金が高いETFを選ぶとよいだろう。

ETFを選ぶポイント3……レバレッジ型ETFでの中長期投資には気を付ける

ETFのなかには、インデックスの2倍やマイナス2倍など、数倍の値動きをめざすレバレッジ型がある。

レバレッジ型のメリットは、少ない資金でも大きなリターンを得る可能性があることだ。デメリットは、市場価格が上下を繰り返すと、その仕組みゆえにインデックスから乖離することである。

たとえば、インデックスが100で、その2倍の値動きをする市場価格100円のレバレッジ型ETFがあるとする。翌日にインデックスが20%上昇すると、レバレッジ型は2倍の40%上昇して140円になる。

翌々日に、インデックスが16.6%下落するとインデックスは元の100に近づくが、レバレッジ型は2倍の33.2%下落して、減価する結果になってしまう。

インデックスと2倍のレバレッジ型ETFの値の推移例
初日 翌日 翌々日
インデックス 100 120(20%上昇) 100.08(16.6%下落)
2倍のレバレッジ型ETF 100円 140円(40%上昇) 93.52円(33.2%下落)
※筆者作成

インデックスは期間が長くなるほど上下の値動きを繰り返す傾向がある。そのため、レバレッジ型は短期投資には向いているものの、中長期投資にはあまり向いていないといえる。レバレッジ型を選ぶ場合には、デメリットを把握したうえで取引したい。

【関連記事】 つみたてNISAでETF を選ぶ必要がない3つの理由

7,ETFの取引方法とは?取引時間・必要資金・注文時の指定項目など

購入したいETFが決まったら、取引方法を確認して実際に取引してみよう。

ETFはPTSに対応している証券会社なら夜間まで取引可能

ETFを売買できる主な市場には東京証券取引所と私設取引システムのPTS(Proprietary Trading System)がある。それぞれで取引できる時間は次のとおりだ。

市場 取引時間 対応する証券会社
東京証券取引所 平日(祝日、年末年始を除く)
・前場9:00~11:30
・後場12:30~15:00
多くの証券会社
PTS ジャパンネクストPTS 平日(祝日、年末年始などを除く)
・デイタイム・セッション
8:20~16:00
・ナイトタイム・セッション
16:30~23:59
SBI証券
楽天証券
松井証券
など
チャイエックスPTS 平日(祝日、年末年始を除く)
・8:20~16:00
楽天証券
など
※各社ウェブサイトより筆者作成
※PTSの現物と信用の取引時間は証券会社により異なる場合あり

PTSでの夜間取引に対応している証券会社なら、夜間のETF売買も可能である。

なお、日本のETF売買のほとんどは東京証券取引所で行われるため、東京証券取引所では流動性が高いETFであっても、PTSでは流動性が低いことがあるため注意したい。

ETFの注文に必要な資金は現物取引と信用取引で異なる

ETFを注文するには資金が必要だ。現物取引と信用取引とで必要な資金額が異なり、必要な金額を証券口座に入金しておく。

現物取引の指値注文の場合は、ETFの指値価格×売買単位に取引手数料を追加した金額が必要だ。現物取引の成行注文の場合は、ETFのその日の制限値幅上限価格で必要な資金額が計算される。

注文方法 注文に必要な資金
現物取引 指値 指値価格×売買単位+取引手数料
成行 制限値幅上限価格×売買単位+取引手数料

信用取引の場合は保証金が必要であり、一般的な最低保証金は30万円だ。信用取引の委託保証金率は一般的には30%であり、その場合は保証金に100/30を掛けた金額まで買い付けできる。たとえば、保証金30万円を用意すれば100万円までの買い付けが可能だ。

信用取引での注文に必要な金額は、取引手数料に加えて金利や貸株料などが加算されるため、余裕をもって利用したい。

ETFの注文では取引する銘柄を選んで各項目を指定する

ETFを注文する際には取引する銘柄の注文画面から、「売買単位(口数)」「現物取引または信用取引」「成行注文または指値注文」などを指定する。ETFの注文時に指定する項目は次のとおりだ。

項目 選択肢
取引 現物取引、信用取引
注文 買い、売り
市場 東証、PTSなど
売買単位 口数
価格 指値、成行など
注文期間 当日中、期間指定など
口座 一般、特定、NISA
※筆者作成

価格の指定は、「指値」や「成行」以外に、証券会社によっては「逆指値」などを選択できる。

ETF売買のポイントは板(いた)からスプレッドなどを確認する

ETFを売買するときには板(いた)を確認して、自分にとって不利な約定にならないように気を付けたい。

たとえば、ETFのスプレッドが広いときに成行注文を出すと、買い注文では想定よりも高い価格で約定することがある。

取引するETFの板から、ETFのスプレッドや「売気配口数」「買気配口数」などを確認してから注文を出すようにしたい。

ETF売買の注意点は注文内容をしっかり確認

ETF売買のときに注意すべきは、当たり前ではあるが注文時の項目を間違わないことだ。

あわてて注文を出す場合には、「口数」と「価格」の入れ間違えや、「買い」と「売り」を間違えることがある。

間違えた注文を出すと思わぬ損失につながることがあるため、注文内容をしっかりと確認してから注文を出すようにしたい。

8,ETFは長期投資からデイトレードまでさまざまな投資に利用できる

ETFは日本銀行による金融緩和の一環として買い入れが行われており、全体的に信頼できる金融商品といえる。レバレッジ型のような銘柄を除けばETFは中長期の投資に適した商品が多い。

一方でETFはリアルタイムで取引できるため、超短期のデイトレードから短期投資にも適している。ETFを活用して、老後の資産形成などを目指してみるのもひとつの方法である。

執筆・松本雄一(セキュリティ・金融アドバイザー)
外資系コンピューター会社にてカスタマーサポート・開発・セキュリティ対策などを経験後に独立。自らの投資経験をもとに株式や投資信託などの投資情報を発信している。興味のある分野はフィンテックや新しい金融商品など。

MONEY TIMES

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