日本株取引に慣れてくると、次の投資対象に関心が向く。そんな時、比較的挑戦しやすいのが外国株への投資だろう。外国株は、日本株に比べて成長力のある銘柄が多く、為替差益も狙える。今回は、外国株を購入できるおすすめネット証券5社の情報を紹介する。

目次

  1. 1,外国株取引の4つの特徴
  2. 2,SBI証券の外国株の特徴やメリット・デメリット
  3. 3,楽天証券の外国株の特徴やメリット・デメリット
  4. 4,マネックス証券の外国株の特徴やメリット・デメリット
  5. 5,DMM.com証券の外国株の特徴やメリット・デメリット
  6. 6,PayPay証券の外国株の特徴やメリット・デメリット
  7. 7,外国株取引が充実しているのはSBI、楽天、マネックス、手軽さならPayPay

1,外国株取引の4つの特徴

外国株式購入のおすすめネット証券5選!手数料や対象国、銘柄数を比較
(画像=oben901/stock.adobe.com)

日本株取引とは異なる、外国株取引の特徴のうち、代表的なものを4つ挙げる。

特徴1,日本株より成長余力のある銘柄が多く存在する

日本経済は成長が鈍化しているため、新興の一部企業を除くと、将来的に大きく成長する、もしくは株価が伸長する銘柄は決して多くない。

一方、米国、中国、ASEANなどの各国株式市場には、将来的に巨大企業に変貌する可能性のある新興企業が多く上場している。

米国市場では、現在も、グローバル企業に成長する新興企業が後を絶たない。中国市場でも、世界的に存在感を発揮するIT企業を多く輩出している。ASEANは、市場としての成長性に大きな期待をもてる。

株価伸長による値上がり益や定期的な配当金など、外国株取引は、日本株以上に利益獲得のチャンスがある投資方法だといってもよいだろう。

特徴2,証券会社によって対象国や銘柄が異なる

国内株式の取引では、どの証券会社を使っても、売買できる上場銘柄に違いはない。それに対して外国株は、取扱対象国や銘柄が証券会社によって異なるため、外国株取引ではどの証券会社を利用するかは重要なポイントになる。

投資したい国や、購入したい外国株銘柄があるならば、そうした国あるいは銘柄を取り扱っているネット証券を探す必要がある。

特徴3,為替リスクがある

外国株を取引する場合、円貨決済あるいは外貨決済のどちらを選択しても、必ず為替取引が発生する。為替取引では、外国株を購入する際(外貨購入時)に適用される為替レートより、外国株の売却益を円貨に戻す際(外貨売却時)の為替レートが下がる(円高になる)と、為替差損が生じる。

為替取引では、このような為替差損が出る可能性があるため、取引で得た利益を減らさないように、為替相場を注視しながら、最良のタイミングで取引することを心掛けなければならない。

特徴4,カントリーリスクがある

外国株の中でも、一部のアジア株やトルコ、メキシコなどの新興国株を取引する場合、日本では考えられないような事態、例えば、現地での戦争や内乱による治安の悪化、政権交代による政情不安、通貨の暴落などが発生するリスクが高い。

外国株に投資する際には、投資するタイミングや投資金額、通貨下落が起こった際の資金引き上げ水準なども考慮した上で、最終的な投資判断を下すことが求められる。

2,SBI証券の外国株の特徴やメリット・デメリット

ネット証券の中で、外国株取扱国数最多はネット証券最大手のSBI証券である。外国株投資を検討する上で外せないSBI証券の概要やメリット・デメリットを紹介する。

なお、以降に記載する各証券会社の基本情報では、サービス内容に焦点を当てるため、現地および国内課税に関する情報は省略する。

SBI証券の外国株基本情報(2021年4月3日現在)

<取扱国や銘柄数など>

取扱国 取扱状況 銘柄数
(ETFとADRを含む)
米国 NYSE 1,532銘柄
NYSE Arca 232銘柄
NASDAQ 2,217銘柄
中国 1,367銘柄
韓国 66銘柄
ロシア 30銘柄
ASEAN
(ベトナム、インドネシア、
シンガポール、タイ、マレーシア)
ベトナム株 310銘柄
インドネシア株 73銘柄
シンガポール株 44銘柄 
タイ株 76銘柄
マレーシア株 44銘柄

<外国株のサービス概要>

項目 米国株 中国株(香港株)
取引手数料(税込) 約定代金の0.495%
(0~22米ドル)
約定代金の0.286%
(51.7~517香港ドル)
為替スプレッド 25銭 15銭
注文チャネル ・外貨建商品取引サイト
・米国株アプリ
外貨建商品取引サイト
注文の種類 ・指値
・成行
・逆指値
指値のみ
NISA取り扱い
外貨決済 〇(香港ドル)
項目 韓国株 ロシア株
取引手数料(税込) 約定代金の0.99%
(9,900韓国ウォン以上)
約定代金の1.320%
(550ロシアルーブル以上)
為替スプレッド 20銭 8銭
注文チャネル 外貨建商品
取引サイト
外貨建商品
取引サイト
注文の種類 指値のみ 指値のみ
NISA取り扱い
外貨決済
項目 ベトナム株 インドネシア株 シンガポール株
取引手数料
(税込)※
約定代金の2.2%
(132万
ベトナムドン以上)
約定代金の1.1%
(26万1,800
インドネシアルピア以上)
約定代金の1.1%
(30.8
シンガポールドル以上)
為替スプレッド 2.00円 3銭 83銭
注文チャネル 外貨建商品
取引サイト
外貨建商品
取引サイト
外貨建商品
取引サイト
注文の種類 指値のみ 指値のみ 指値のみ
NISA取り扱い
外貨決済
※売却代金が最低手数料に満たない場合、約定代金の55%(税込)が手数料になる
項目 タイ株 マレーシア株
取引手数料(税込)※ 約定代金の1.1%
(837.1
タイバーツ以上)
約定代金の1.1%
(83.6
マレーシアリンギット以上)
為替スプレッド 8銭 43銭
注文チャネル 外貨建商品
取引サイト
外貨建商品
取引サイト
注文の種類 指値のみ 指値のみ
NISA取り扱い
外貨決済
※売却代金が最低手数料に満たない場合、約定代金の55%(税込)が手数料になる

SBI証券で外国株を取引するメリット

・メリット1,外国株取扱国数がネット証券No.1

外国株の取扱国数は9カ国で、ネット証券の中では最多。ネット証券だけでなく、総合証券を含めても、韓国、ロシア、ASEAN主要加盟国の株式を取り扱う希少な証券会社である。

SBI証券は、新興国やASEAN諸国に投資したい人にとっては、必ず口座を開設しておきたい証券会社であるのは間違いない。

・メリット2,外国株はすべてNISA口座対応

9カ国の外国株はすべてNISA口座での取引が可能。外国株取引ができるネット証券といっても、NISA口座を利用できる証券会社ばかりではない。NISAの非課税制度を活用できれば、成長力のある外国株への投資で得た値上がり益を、しっかり温存できる。

・メリット3,米国株取引専用アプリが登場

SBI証券では2021年4月9日に、待望の米国株専用アプリがリリースされた。スマートフォン専用アプリを使用できるようになったため、外国株取引サイトより利便性が向上し、外出先でも取引しやすくなった。

外国株のうち、米国株のみの対応ではあるが、利用頻度の高さからいっても、米国株取引専用アプリの利用価値は高い。

・メリット4,すべての外国株で、外貨決済か円貨決済かを選べる

取り扱う9種類の外国株すべてで、外貨決済か円貨決済かを選ぶことができる。外貨決済であれば、為替取引による為替リスクを回避できるので、為替相場を監視し続ける必要がない。

さらに、売却益や配当を外貨で受け取ることができれば、外貨から円貨への為替取引、次に同通貨の外国株を購入する際の円貨から外貨への為替取引を省き、為替スプレッドを節約することもできる。

SBI証券で外国株を取引するデメリット

・デメリット1,お得な外貨入出金サービスを利用できるのは住信SBIネット銀行だけ

SBI証券では、住信SBIネット銀行を使えば、米ドルの入出金時に片道4銭という破格の安さの入出金手数料が適用される。

これは裏を返せば、自分の外国預金口座が住信SBIネット銀行以外の場合は、米ドルの入出金には、従来通りの高い手数料を支払わなければならないことを意味する。

外国株、とりわけ米国株取引において、格安の入出金手数料を適用したければ、新たに住信SBIネット銀行に外国預金口座を開設する必要があることを記憶しておくべきだ。

・デメリット2,取扱外国株は多いが、新興国株やASEAN株の投資情報が少ない

ネット証券を含め、米国株以外の外国株を取り扱う証券会社全体に言えることであるが、個別銘柄の詳細情報を除けば、ネット証券サイトから入手できる投資情報は限られる。

特に、韓国株、ロシア株、ASEAN株については、国内で報道される現地の経済情報も限定的だ。現地国内での株式市場全体の動向や、上場企業の決算発表、業績修正などの情報もつかみにくい。

SBI証券サイトで公表されている個別銘柄の詳細情報以外にも、各国の経済情報や個別銘柄のファンダメンタルズ分析に必要な情報を、できる限り自分で入手する努力が必要だろう。

・デメリット3,中国株の取り扱いは香港株だけ

SBI証券の中国株は香港株だけで、本土市場株(上海株、深セン株)を取引することはできない。

とりわけ、深セン証券取引所には、成長余力のある新興のIT関連企業が多く上場しているため、中国のグロース株(成長株)に積極的に投資したい人にはSBI証券だと物足りなさを感じるかもしれない。

3,楽天証券の外国株の特徴やメリット・デメリット

SBI証券に次いで、外国株取引が充実しているのは楽天証券である。取り扱う外国株の対象国や豊富な取扱銘柄など、楽天証券の外国株サービスの概要を確認していこう。

楽天証券の外国株基本情報(2021年4月3日現在)

<取扱国や銘柄数など>

取扱国 取扱状況 銘柄数
(ETFとADRを含む)
米国 NYSE 1,485銘柄
NYSE Arca 245銘柄
NASDAQ 1,971銘柄 
中国 香港 702銘柄
上海A 235銘柄
韓国 ×
ロシア ×
ASEAN
(シンガポール、タイ、
インドネシア、マレーシア)
シンガポール株 49銘柄
インドネシア株 72銘柄 
タイ株 74銘柄
マレーシア株 43銘柄

<外国株のサービス概要>

項目 米国株 中国株(香港、上海A)
取引手数料(税込) 約定代金の0.495%
(0~22米ドル)
約定代金
10万円以下
550円
10万円超、
100万円未満
約定代金の
0.55%
100万円以上 5,500円
為替スプレッド 25銭 ・香港ドル 15銭
・人民元 20銭
注文チャネル ・WEBサイト
・マーケットスピード
・iSPEED
WEBサイトのみ
注文の種類 ・指値
・成行
・逆指値
指値のみ
NISA取り扱い
外貨決済 ×
項目 シンガポール株 インドネシア株
取引手数料(税込) 約定代金の1.1%(最低手数料550円)
為替スプレッド 83銭 0.03銭
注文チャネル WEBサイトのみ WEBサイトのみ
注文の種類 指値のみ 指値のみ
NISA取り扱い
外貨決済 × ×
項目 タイ株 マレーシア株
取引手数料(税込) 約定代金の1.1%(最低手数料550円)
為替スプレッド 8銭 43銭
注文チャネル WEBサイトのみ WEBサイトのみ
注文の種類 指値のみ 指値のみ
NISA取り扱い
外貨決済 × ×

楽天証券で外国株を取引するメリット

・メリット1,ネット証券で唯一、上海A株を購入できる

主要ネット証券のうち、SBI証券、楽天証券、マネックス証券の3社では、香港株(中国株)を扱っているが、楽天証券だけは、中国株として香港株以外に上海A株(本土株)も取り扱っている。

上海A株は本土の上海証券取引所に上場する銘柄であり、中国国内投資家が中心となり、一部の適格国外機関投資家によって取引されている人民元建ての株式である。

中国本土の優良企業に投資したい、あるいは中国を拠点に事業を展開する企業に投資したい場合は、上海A株を購入できる楽天証券を選ぶとよい。

・メリット2,操作性の高いスマホアプリ「iSPEED」で米国株も注文できる

楽天証券のiSPEEDは、PC用取引ツール並みの豊富な情報量を備えながら、シンプルでスピーディな注文を可能にする人気のスマートフォンアプリ。iSPEEDでは、国内株以外に米国株も取引できる。

操作性と利便性の高いスマホアプリで米国株を取引できることは、楽天証券の大きなメリットの一つと言えるだろう。

・メリット3,外国株取引でも楽天ポイントが付与される

楽天証券といえば、株式取引に応じて、楽天市場や店舗で使える楽天スーパーポイントが付与されることで有名。外国株取引も例外ではなく、取引手数料の1~2%のポイントバックを受けられる。

外国株取引でもポイントを貯められるのは、楽天ポイント会員には大きな魅力だ。

・メリット4,NISA口座でも外国株を購入できる

楽天証券のNISA口座では、米国株や中国株、ASEAN株、海外ETFのすべてを取引できる。外国株の売却益や配当金については、国内の所得税と住民税が非課税になるので、節税対策として利用できる。

・メリット5,シンガポールの大手証券会社が提供する投資情報を日本語で読める

国内ではASEAN株に関する投資情報は決して多くないが、楽天証券なら、シンガポールの大手証券会社であるフィリップ証券が毎週発行する「アセアン株式レポート」の日本語版を閲覧することができる。

ASEAN株に積極的に投資する予定があれば、楽天証券の「トウシル」に連載されているアセアン株式レポートを大いに活用するとよい。

楽天証券で外国株を取引するデメリット

・デメリット1,SBI証券に比べると、中国株の手数料が高い

ネット証券の双璧をなすSBI証券と楽天証券は、ともに中国株とASEAN株を取り扱っている。その中で、人気のある香港株の国内取引手数料については、楽天証券のほうが、SBI証券に比べて高めに設定されている。

SBI証券の香港株の国内取引手数料が約定代金の0.286%(税込、最低手数料51.7香港ドル~最高手数料517香港ドル)。それに対して、楽天証券の香港株の手数料は約定代金の0.55%(税込、最低手数料550円~最高手数料5,500円)になっている。

楽天証券の中国株は香港株と上海A株からなるため、中国株としては決して高い手数料とは言えない。しかし、香港株を中心に中国株投資を検討している人には、SBI証券の2倍にもなる楽天証券の手数料率は高めと言わざるをえない。

・デメリット2,中国株とASEAN株は外貨決済を選択できない

米国株は外貨決済可能であるが、中国株(香港株と上海A株)およびASEAN株はすべて日本円決済のみで、現地通貨決済に対応していない。これらの現地通貨には外貨建MMFも提供されていない。

中国株とASEAN株の取引では、買付または売付時には必ず、楽天証券の適用為替スプレッドが加味される。そのため、為替相場の状況を注視して、為替差損が出ないように取引のタイミングには常に注意を払う必要がある。

4,マネックス証券の外国株の特徴やメリット・デメリット

マネックス証券は外国株取引の充実度では業界トップレベルのネット証券である。豊富な取扱銘柄や多彩な注文種類など、マネックス証券の外国株サービスを紹介する。

マネックス証券の外国株基本情報(2021年4月3日現在)

<取扱国や銘柄数など>

取扱国 取扱状況 銘柄数(ETFとADRを含む)
米国 NYSE 1,471銘柄
NYSE Arca 230銘柄
NASDAQ 2,510銘柄
中国 香港株 2,579銘柄
韓国 ×
ロシア ×
ASEAN ×

<外国株のサービス概要>

項目 米国株 中国株(香港株)
取引手数料(税込) 約定代金の0.495%
(0~22米ドル)
約定代金の0.275%
(49.5~495香港ドル)
為替スプレッド 買付時 無料
売却時 25銭
15銭
注文チャネル ・米国株取引ツール
(トレードステーション)
・トレードステーション米国株スマートフォン
・マネックス証券アプリ
中国株取引サイト
注文の種類 ・成行
・指値
・逆指値
・ツイン指値
・連続
・OCO
・トレールストップ
・トレールストップ(%)
指値のみ ※1
NISA取り扱い
外貨決済 〇 ※2 〇 ※2
※1,プレオープニング・セッション中の売り注文のみ、成行注文も可能
※2,米国株と中国株の買付時は外貨決済と円貨決済のどちらも可能。売却時は外貨決済のみ

マネックス証券で外国株を取引するメリット

・メリット1,米国株は買付時の為替スプレッドが無料

主要ネット証券の米国株の為替スプレッドは横並びの傾向がある。そんな中、マネックス証券は、米国株の買付時為替スプレッド無料を打ち出しており、他社と一線を画している。

買付時の為替スプレッドについては定期的な見直しを表明しているが、実際には買付時為替スプレッド無料は長期にわたって継続されている。

マネックス証券の米国株買付時為替スプレッド無料サービスは、外貨決済だけでなく、円貨決済を選択した場合にも適用される。米国株に関わるコスト削減につながる有力サービスとして覚えておきたい。

・メリット2,NISA口座での外国株買付手数料は実質無料

マネックス証券のNISA口座で外国株を購入すると、買付時の国内取引手数料が全額キャッシュバックされる。

NISAですべての外国株買付手数料が恒久的かつ実質的に無料になるのは、主要ネット証券ではマネックス証券だけ。米国株や香港株を低コストで取引したい人には外せないネット証券だろう。

・メリット3,中国株(香港株)の国内取引手数料は業界最安水準

主要ネット証券の米国株取引手数料は横並びの状態であるが、中国株の取引手数料についてはマネックス証券が他社より若干安く、業界最安水準となっている。

2021年4月6日現在の中国株(香港株)の約定代金に対する税込み取引手数料は、SBI証券が0.286%(51.7~517香港ドル)、楽天証券は0.55%(550円~5,500円)、そしてマネックス証券は0.275%(49.5~495香港ドル)である。

マネックス証券で外国株を取引するデメリット

・デメリット1,取り扱う外国株は米国株と香港株だけ

マネックス証券で取引できる外国株は、米国株と中国株のうち香港株のみ。豊富な取扱銘柄数や低コストといったメリットはあるが、さまざまな国に投資してリスク分散したい、あるいは中国本土株やASEANの成長余力のある新興企業に積極的に投資したいという人には向いていない。

・デメリット2,外国株の売却代金を外貨で受け取っても、外貨のまま出金できない

マネックス証券では、外国株(米国株、香港株)の売却代金は外貨のまま支払われる。ただし、出金できるのは日本円だけなので、自分で外貨から日本円に振替えなければ、指定の金融機関に出金することができない。

出金時には、外貨から日本円に必ず振り替える必要があるので、為替差損の発生を防ぐために、買付時より円高になっていれば、振替と出金の時期を先延ばしにするといった対応が求められる。

5,DMM.com証券の外国株の特徴やメリット・デメリット

DMM.com証券が提供する唯一の外国株は米国株である。米国株の国内取引手数料についても、国内株式の取引手数料同様に、圧倒的な安さを誇る。

低コストサービスを追求するDMM.com証券が提供する外国株(米国株)取引サービスを詳しく見ていこう。

DMM.com証券の外国株基本情報(2021年4月3日現在)

<取扱国や銘柄数など>

取扱国 取扱状況 銘柄数
米国 個別銘柄 934銘柄
ETF 87銘柄
ADR 117銘柄
中国 ×
韓国 ×
ロシア ×
ASEAN ×

<外国株のサービス概要>

項目 米国株
取引手数料(税込) 0円
為替スプレッド 25銭
注文チャネル ・DMM株PRO+
・DMM株STANDARD
・DMM株(スマホアプリ)
・DMM株プレミアチャート(投資情報ツール)
注文の種類 ・指値
・成行
・IFDONE
NISA取り扱い
外貨決済 ×

DMM.com証券で外国株を取引するメリット

・メリット1,米国株の国内取引手数料がいつでも無料

DMM.com証券が取り扱う外国株は米国株だけであるが、米国株の買付時と売却時の国内取引手数料は、どちらも恒久的に無料であり、業界内では圧倒的な低コストを誇っている。

とにかくコストをかけずに米国株を始めてみたい人には、もっとも適したネット証券といえるだろう。

・メリット2,NISA口座を利用して米国株を取引しても、国内取引手数料はもちろん無料

外国株(米国株)はNISA口座でも取引できるが、特定口座同様に、買付時と売却時の国内取引手数料がすべて無料になる。

DMM.com証券の「NISA口座×米国株」の組み合わせは、非課税と手数料無料で、ダブルでお得なサービスだ。コストにこだわる人なら、ぜひとも覚えておきたい活用方法だ。

・メリット3,どのツールやアプリを使っても、米国株の取引ができる

外国株の取引チャネルは、取引ツールまたは専用アプリ経由、あるいは外国株取引サイトのみ対応など、ネット証券各社で対応が異なる。それに対して、DMM.com証券は、どの取引ツールやスマホアプリでも、国内株と米国株の両方を取引することができる。

国内株と米国株のどちらにも投資したい人には、一つのツールまたはアプリで事足りるので便利だ。

DMM.com証券で外国株を取引するデメリット

・デメリット1,米国株以外の外国株は取り扱っていない

DMM.com証券の国内取引手数料無料に魅力を感じても、中国株やASEAN株への投資を望むなら、SBI証券、楽天証券、マネックス証券といった外国株サービスが充実しているネット証券を利用するしかない。

・デメリット2,主要ネット証券に比べると、投資情報が不十分

外国株に関しては、主要証券といえども、外国株の株式市場全体の動向や、ファンダメンタルズ分析に役立つ投資情報が不足気味。DMM.com証券の場合は、公式サイト上では、外国株(米国株)の投資情報をほとんど入手することはできない。

取引ツールやスマホアプリには多彩なテクニカル分析指標が搭載されており、テクニカルな側面からのアプローチは充実しているが、依然としてファンダメンタルな投資情報には不足感がある。

取引ツールとしての操作性、利便性に問題はないが、投資判断を適切に下すためには、追加的に他社で投資情報を入手する必要が出てくるだろう。

6,PayPay証券の外国株の特徴やメリット・デメリット

新興ネット証券のPayPay証券は業態に特徴があり、相対取引が主体となっている。この点において、総合的に証券サービスを提供する主要ネット証券とは大きく異なる。

業態が特殊なPayPay証券が提供する外国株サービスは、他のネット証券とは手数料体系や取引方法なども異なるので、以下でサービス内容を確認してほしい。

PayPay証券の外国株基本情報(2021年4月3日現在)

<取扱国や銘柄数など>

取扱国 取扱状況 銘柄数
米国 個別銘柄 134銘柄
BDC 2銘柄
ETF 25銘柄 
中国 ×
韓国 ×
ロシア ×
ASEAN ×

<外国株のサービス概要>

項目 米国株
スプレッド ※ ① 現地時間9:30~16:00
(日本時間23:30~翌6:00、
夏時間期間10:30~翌5:00)
⇒基準価格の0.5%

② ①以外の時間帯
⇒基準価格の0.7%
為替スプレッド 1米ドルあたり35銭
注文チャネル 日米株アプリ
注文の種類 PayPay証券が提示する価格のみ
NISA取り扱い ×
外貨決済 ×
※基準価格に加味される(買付時は加算、売却時は減算)、実質的な手数料相当額のこと

PayPay証券で外国株を取引するメリット

・メリット1,為替取引などを気にせず、気軽に低額から米国株取引を体験できる

PayPay証券の外国株取引(米国株のみ)は相対取引であるため、PayPay証券が提示する日本円換算の価格のみで取引を行う。そのため、自分で為替取引をしたり、為替レートを気にしながら売買したりする必要がない。

買付金額も1,000円から金額指定することができるので、自分の余裕資金の範囲内で金額を調整しながら簡単に取引できる。

・メリット2,銘柄選びに苦労することがない

2021年4月3日現在で、PayPay証券が取り扱う米国株は、個別銘柄やBDC、ETFをあわせても合計161銘柄程度。

世界的に有名な米国企業や優良企業が厳選されており、主要ネット証券のように、非常に多くの銘柄が提供されているわけでもないので、銘柄を選別する手間もかからない。

少額から取引可能で、取引方法も手軽、さらに、米国株投資の実体験も積むことができるので、PayPay証券の米国株取引は、米国株を始めるきっかけ作りとしては最適だ。

PayPay証券で外国株を取引するデメリット

・デメリット1,為替取引によって為替差益を出すことができない

米国株でありながらも、日本円換算された1本値による取引となるので、為替相場をにらみながら、自分で最良の売却時期を判断して為替差益を出すことが難しい。

同様の理由から、外国株初心者の体験の場であっても、外国株特有の為替リスクを実感として受け止めにくいのもデメリットになる。

・デメリット2,主体的な米国株取引ができない

PayPay証券が厳選した銘柄から投資対象を選ぶ、あるいは提示された価格で取引するなど、手軽である反面、取引が受け身になりがちなのがデメリットといえるだろう。

米国株を含め、株式投資は本来、さまざまな投資情報にもとづいて、自ら投資判断を下すべきである。PayPay証券を利用しても、株価や為替相場を意識的に補足しながら取引のタイミングを探るなど、主体的な姿勢を意識したほうがよい。

7,外国株取引が充実しているのはSBI、楽天、マネックス、手軽さならPayPay

5社のうち、主要ネット証券であるSBI証券、楽天証券、マネックス証券の3社の外国株は、豊富な取扱銘柄数や安い手数料、充実したサービスなど、いずれも本格的な外国株取引ができる環境が整備されている。

DMM.com証券は、主要ネット証券3社より取扱銘柄が少ないものの、外国株取引サービスがシンプルでわかりやすく、業界トップクラスの低コスト取引環境を備えており、米国株初心者やコスト最優先の中級者に最適な証券会社だ。

PayPay証券は円貨決済のみ、1,000円からの金額指定による注文など、米国株ながら手軽に取引できるのが特徴だ。身近に感じられる米国株から気軽に外国株取引をスタートしたい人には最適だ。

今回紹介したネット証券5社の中から、まずは株式取引の経験値や投資スタイルに適したネット証券を選んでみよう。自分にとって快適な取引環境を提供してくれるネット証券なら、初めての外国株取引でも利益獲得に期待がもてるはずだ。

執筆・近藤真理
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。

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