不動産投資ローンは完済時の年齢制限が金融機関ごとに定められているため、シニア層が投資用不動産を一棟所有するために多額の融資を受けて35年など長期ローンを組むことは困難です。そこでまとまった自己資金を用意できるシニア富裕層の方におすすめなのが「新築ワンルームマンション経営」です。なぜ、シニア富裕層は新築ワンルームを選ぶべきなのでしょうか。シニア富裕層向けのブランドマンションの概要や、マンション経営初心者が不動産会社を選ぶときの注意点もあわせて紹介します。
1.年金減額でわかった老後資金は自分で作る時代
2021年4月1日から2021年度の年金支給額が0.1%減額されました。現役世代の賃金水準を反映したものです。
国民年金は40年間保険料を納めた満額支給の場合、月66円減の6万5,075円、年間で792円の減額となります。厚生年金は夫婦2人のモデル世帯で月228円減の22万496円、年間で2,736円の減額となります。
大きな減額ではありませんが、ただでさえ少ないといわれる受給額がさらに減ることは年金受給者にとって好ましくない改定であることは確かでしょう。しかし、年金支給のルールに則った改定であれば受け入れざるを得ません。
1-1.続く超低金利時代
それでは、マイナス分をどのように埋めたらよいのでしょうか。
ある程度の預貯金を持っていたとしても、超低金利で利息収入もわずかな額にしかならないのが現状です。このような現状から、年金に頼るだけでなく、老後資金は自分で作る時代になったといえます。
1-2.シニアは積立投資で資産を築くのは難しい
ただ、難しいのが60歳以上のシニア層は積立投資で資産を築くことが適切な年齢ではないことです。
いま持っている資産を運用するしかありません。では、シニア富裕層が老後資金を運用するにはどのような方法があるのでしょうか。
2.シニアの投資は低リスクが原則
シニアが投資する場合は「リスクが低い商品を選ぶことが原則」といえます。
若ければ投資で失敗してもやり直すことはできますが、シニアといわれる年齢で失敗すれば老後の生活に大きく影響します。とはいえ、超低金利の金融情勢にあっては債券に投資しても運用益に対してリスクが大きいといわれます。
2-1.高配当利回り株に投資をする
比較的リスクを低減しながら投資できる選択肢の1つとして、業績の安定している「高配当利回り株」に投資する方法があります。
配当収入を得ることが目的ですので、目先の株価の変動を気にする必要がなく、落ち着いた運用を期待できるのもメリットです。
預貯金3,000万円を投資して3%の利回りで1年間運用した場合、運用益にかかる税金20.315%を引いた金額が年間で約72万円、月当たり約6万円の収入を得ることができます。
配当収入を年金にプラスすることで生活にゆとりを持つことができるでしょう。
2-2.株式は暴落のリスクがある
ただし、株式で保有すると2020年にあったコロナショックのような暴落相場に遭遇したときに大きな損失を被るリスクがあります。企業業績と直結する株式は経済危機があったときに真っ先に影響を受ける金融商品です。
2-3.不動産投資は経済危機の影響が少ない
そこで考えたいのが株式に比べ経済危機の影響が少ない不動産を購入することです。
不動産経営は安定した家賃収入を得ることができるため、老後の生活資金を得るシニア層の投資先としては最も適していると考えることができます。
3.ワンルームマンションは自己資金で買いやすい
では、どのような不動産を購入すればよいでしょうか。
不動産投資ローンは完済時の年齢が75~80歳程度に制限されているので、シニア層は短期のローンしか組むことができません。
自己資金の割合を高めにして購入することが理想です。自己資金を用意できるのであればワンルームマンションの経営が最適といえます。
3-1.ワンルームマンションは2,000万円台から購入可能
その理由の1つは購入価格が手ごろであることです。
ワンルームマンションは2,000万円台から購入可能であるため、全額自己資金でマンション経営を始めることも検討しやすいのではないでしょうか。
4.単身世帯の増加でワンルームマンションの需要が伸びる
ワンルームマンション経営が適している理由の2つめは、核家族化が益々進み、今後も単身世帯の増加が見込めることです。
この核家族化によって、これからもワンルームマンションの需要が伸びることが期待できます。
4-1.世帯構成別で最も多いのが単身世帯
厚生労働省が公表している「2019年国民生活基礎調査」によると、2019年6月6日現在、全国の世帯総数に占める単身世帯の割合は28.8%で世帯構成別では最も多くなっています。
夫婦と子どもがいるファミリー世帯(28.4%)をわずかに上回っており、1986年に調査が開始されて以来、両者の比率が初めて逆転しています。
1986年の時点では単身世帯が18.2%、ファミリー世帯が41.4%と大きな開きがあったことを考えると、核家族化が進んだことがわかります。
4-2.2040年に単身世帯の割合が約40%に
総務省の予測では、未婚率の増加や核家族化の影響で、2040年に単身世帯の割合が約40%に達するとみられています。
特に65歳以上の高齢者の単身世帯が増え続ける見込みです。
そのような社会情勢を考えると、ワンルームマンションは単身のビジネスパーソンや学生だけでなく、高齢者の需要も取り込める物件形態といってよいでしょう。
5.新築なら出口戦略に有利
次に、ワンルームマンションの購入を考える場合、問題になるのが新築と中古のどちらを選ぶかです。
シニア層がマンション経営で出口戦略(売却)を考える場合、新築と中古の比較では新築マンションのほうが有利になります。
5-1.シニアは相続のことも考慮する
またシニア層といわれる年齢になると、将来訪れる相続のことも考えなくてはなりません。
子どもが複数いる場合は不動産を売却して分けやすくすることも必要です。現金化することで無用な遺産争いを防ぐことができます。
5-2.空室リスクが少ない好立地の物件を選ぶ
65歳で購入したマンションを75歳で売却する場合、築年数10年程度であれば資産価値は大きく減少しないと考えられます。
東日本不動産流通機構の調査によると、首都圏における中古マンションの平均成約価格は、築0~5年で5,411万円、築6~10年では4,602万円となっており、15%程度の下落にとどまっています。東京都心の好立地物件ならもっと下落率は小さいかもしれません。
仮に東京都心の好立地ワンルームマンションを3,000万円で購入し、10%の下落率で売却した場合は300万円の売却損が生じます。
しかし、家賃10万円で10年間賃貸した家賃収入1,200万円を得ていますので、売買諸経費を差し引いても投資は成功といえる結果になることが期待できます。
そのためにも購入する場合は入居者が見込め、空室リスクが少ない好立地の物件を選ぶことが大前提になります。
5-3.中古マンションは修繕費がかかる
加えて、マンション経営のコストの1つに修繕費がありますが、新築から10年程度までは修繕が必要になる可能性は低いため、余分なコストがかかりません。
年金にプラスする収入を得ることが目的ですので、中古を買って修繕費やリフォーム代がかかるのは得策とはいえないでしょう。当然家賃も新築のほうが高く設定できます。
一方、子どもが1人であれば売却せずにそのまま賃貸経営を続けて、不動産で相続させる選択肢もあります。
子どもがマンション経営を引き継げば安定した家賃収入を得ることができます。相続に関しては生前に家族でマンション経営を引き継ぐ意思があるか話し合っておくことが望ましいでしょう。
6.シニア富裕層ならブランドマンションの経営がおすすめ
資金に余裕のあるシニア富裕層ならブランドマンションと呼ばれる優良物件を経営するのがおすすめです。なぜならブランドマンションには、以下の4つのメリットがあるからです。
ブランドマンションのメリット
1.利便性の高い立地に建っている
2.銀行からの融資が受けやすい
3.資産価値が落ちにくい
4.キャピタルゲイン(売却益)も狙える
6-1.利便性の高い立地に建っている
ブランドマンションは東京や首都圏の駅から徒歩圏内の利便性の高い立地に建っていることが多いです。
立地の良さは、空室リスクの減少や入居率の維持にも大きく影響します。
6-2.銀行からの融資が受けやすい
東京や首都圏にあるブランドマンションは資産価値が落ちにくいため、銀行からの融資が受けやすい点もメリットの1つです。
ある程度の頭金を用意できるシニア富裕層であれば、価格が高くても購入できる可能性があります。
6-3.資産価値が落ちにくい
資産価値が落ちにくいのも大きなメリットです。
先に紹介したように立地・設備などが優れているため、キャンセル待ちの入居希望者が多く、空室になってもすぐに次の入居者が決まるという安心感があります。
6-4.キャピタルゲイン(売却益)も狙える
ブランドマンションは家賃収入の他にもキャピタルゲインを狙える点で魅力があります。
一般的にマンションを売りに出す場合は、不動産会社が売れやすい価格を提示するのが普通です。そのため、相場より若干安い水準で売却することになる可能性があります。
ブランドマンションは建築したデベロッパーと同じ系列の不動産会社に売却を依頼すると、ブランド価値を下げないために、高く売れるように努力してくれます。
7.ブランドマンションの選び方
ブランドマンションはどのようなポイントで選べばよいのでしょうか。
一番重要なのは中古になっても価値が下がらないブランドを選ぶことです。毎年インターネットでブランドマンションの騰落率が公表されているので参考にするとよいでしょう。
これは単年度の騰落率なので、複数年保有していればさらに売却益は拡大している可能性もあります。ブランドマンションの人気を裏付けるデータといえるでしょう。
(参照:住まいサーフィン「売主別中古マンション値上がり率(騰落率)ランキング2021」)
8.マンション経営の初心者必見!不動産会社の見分け方
初めてマンション経営を行う際に、どの不動産会社を選ぶかは大きな問題です。質の低い不動産会社を避けるためには、次の5つのポイントをチェックする必要があります。
不動産会社を見分けるためのチェックポイント
1.基本的な要件を備えているか
2.営業マンの質が高いか
3.問い合わせに対する対応が誠実か
4.丁寧な説明がなされているか
5.地域での営業実績が豊富か
8-1.基本的な要件を備えているか
まず、基本的な要件を備えているかチェックする必要があります。不動産取引を行うには「宅地建物取引士」の資格、不動産会社を開業するには「宅地建物取引業」の免許が必要です。
免許書番号は事務所に掲示する義務がありますので、誰でも確認することができます。
8-2.営業マンの質が高いか
直接交渉に当たる営業マンの質も見極めたほうがよいでしょう。
経営開始後も営業マンとは長い付き合いになるので、何でも相談できる雰囲気があることはとても大事です。それに加えて不動産や法律、金融などに関してスキルが高ければなお理想です。
8-3.問い合わせに対する対応が誠実か
電話等で問い合わせた際の対応も判断材料になります。その場で不明な点があった場合でも、素早く丁寧な回答があればきちんと対応する不動産会社と考えてよいでしょう。
最近はメールやチャットで問い合わせる機会も多くなっていますが、対応の雰囲気を確認するには電話のほうが適しています。
8-4.丁寧な説明がなされているか
不動産は高価な買い物ですので、物件に対して丁寧な説明がなされているかは重要なポイントになります。
契約の前に、内覧したときの説明の仕方がどうだったかも参考になるでしょう。営業マンが話しやすい人であることも大事です。
8-5.地域での営業実績が豊富か
不動産会社の見分け方で一番わかりやすいのは、地域での営業実績が豊富かという点でしょう。
その地域で長く営業を続けていることは顧客の信頼を得ている証でもあり、悪い対応をすればすぐ地域に広まるため、誠実に対応する可能性は高いでしょう。
他では上場不動産会社や著名な不動産グループチェーンなども信頼性は高く、少なくとも悪質な不動産会社という可能性は低いので安心感があります。
9.マンション経営の初心者が避けるべき不動産投資会社
マンション経営初心者が避けるべき不動産投資会社は次のような会社です。
マンション経営初心者が避けるべき不動産投資会社
1.規模が極端に小さい
2.本社が賃貸マンションの一室
3.広告に誇張がある
9-1.規模が極端に小さい
資本金1,000万円以下で極端に規模が小さい不動産会社は不安があります。
かつて株式会社の設立には1,000万円以上の資本金が必要でしたが、現在では1円の資本金でも設立できるようになっています。したがって、株式会社と名乗っていても実態は不動産ブローカーに近いというケースも考えられます。
9-2.本社が賃貸マンションの一室
本社の所在地が賃貸マンションの一室という会社も注意したほうがよいでしょう。
資本金が少なく、マンションの一室で営業している会社は、他社の分譲マンションを転売しているだけの不動産ブローカーという可能性があります。
賃貸マンションではいつ移転されてもおかしくありませんので、売りっぱなしでアフターケアがないという恐れもあります。
ただし、本社がマンションでも自社所有物件の1階で営業している場合は自社ビルと同じようなものなので問題ありません。
9-3.広告に誇張がある
自社の不動産広告にやたら「物件数ナンバーワン」とか「地域最大の不動産ネットワーク」などと誇張した表現を使う会社にも注意が必要です。
現在物件情報は「REINS(レインズ)」という全国共通のデータバンクを不動産各社が共有しているため、特定の不動産会社がナンバーワンと断定することはできません。そのような会社は物件の説明でもメリットばかり強調する可能性があります。
10.シニアはリスクが低い新築ワンルームマンション1択
シニア富裕層のワンルームマンション経営は株式投資に比べてリスクが低く、老後の生活費の足しにするには最適な方法といえます。
とくに新築のワンルームマンションは中古に比べて空室リスクが低く、修繕費も10年程度はほぼかかりません。シニア富裕層のマンション経営は新築ワンルーム1択でよいと考えられます。
ただし、マンション経営においては不動産会社との付き合いが大事になるので、良い会社を見極める目が必要です。
パートナーである不動産会社と相談しながら、初めてのマンション経営を軌道に乗せることが求められます。
(提供:Dear Reicious Online)
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