米国株を扱うネット証券各社が、手数料をどんどん安くしています。米国株に興味はあるものの始めていなかったという方は、今がチャンスです。人気のネット証券のなかから数社をピックアップし、手数料や日本株との違いなどを比較して、ポイントをまとめました。

目次

  1. ネット証券各社が、米国株取引手数料を相次いで値下げ
  2. 米国株式市場のメリット・デメリット、そして日本株との違い
  3. ネット証券の米国株の取引手数料を徹底比較
  4. 投資スタイル別、あなたにおすすめの証券会社はどこ?
  5. まとめ:自分に合った証券会社選びを!

ネット証券各社が、米国株取引手数料を相次いで値下げ

米国株、ネット証券の手数料を徹底比較!始めるならどこがいい?
(画像=joyfotoliakid/stock.adobe.com)

これまでの米国株取引は、手数料の高さや取り扱っている証券会社が少ないことが問題でした。米国は経済成長率が高く、世界中の投資家から注目されている企業が多いといわれています。米国株取引手数料の引き下げによって、日本でも魅力的な米国株をお得に買えるようになったのです。

日本では米国株に手を出しづらかった

これまで、日本人投資家は積極的に米国株を取引していませんでした。しかし、最近外国株を取り扱う証券会社に大きな動きがあったことで、米国株取引が注目を浴びています。

かつて、日本の投資家が米国株を取引する際にかかる手数料は、最安でも1取引あたり5ドルでした。特に取引額が小さい場合は負担が大きいため、資金効率の観点で米国株に手を出せない投資家も少なくありませんでした。

ところが、マネックス証券がその最低手数料を10セント(0.1ドル)まで引き下げたことから、各社の手数料改定競争が始まったのです。

大手ネット証券会社が繰り広げる「最安争い」

マネックス証券が手数料の値下げを発表したすぐ後、楽天証券が1セント(0.01ドル)とさらに最安を更新しました。するとマネックス証券もすぐに1セントに改定したのです。

その後SBI証券は手数料を「無料(最低手数料を撤廃)」とし、ほぼ同時期に大手3社の手数料が無料になりました。

投資家の興味は一気に米国株へと移って行く

取引手数料が無料になったことは、いうまでもなく投資家にとって大きなメリットです。米国株は日本株と違って、1株からでも取引ができることもメリットといえます。

経済紙やニュースなどのメディアで勢いのある海外企業の存在を知ってはいても、その企業の株を買うことをためらっていた投資家は少なくなかったため、米国株取引のハードルが大きく下がったといえるでしょう。

日本でも海外企業の商品や情報を目にする機会が増えていることもあり、米国株を取引したいと考えている投資家は多いでしょう。これから株取引を始める方にとっても、米国株には大きなチャンスがあるといえます。

米国株式市場のメリット・デメリット、そして日本株との違い

ここからは、米国株取引を始めるにあたって必要になる証券会社選びや、日本株と米国株の違い、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。

米国株を取引するメリットとは

米国株取引には、以下のようなメリットがあります。

・1. 株から投資ができる

日本株は通常の取引の場合、基本的に100株単位でしか取引ができません。通常の取引とは異なるミニ株などのサービスにより、小さな単位での取引もできますが、この場合、配当や株主優待を得られなかったり、手数料が高かったりと不利な点があります。一方で米国株は、1株から購入できます。資金が少ない投資家でも、分散投資ができるのは大きなメリットといえるでしょう。

・2. 株主還元に積極的

米国企業は株主還元に積極的であり、高配当銘柄が多いのが特徴です。日本株の配当は年1~2回が一般的ですが、米国株は年4回行われる銘柄も珍しくありません。インカムゲイン(保有中にもらえる利益)を重視する方には大きなメリットといえるでしょう。

・3. 魅力的な成長企業が多い

米国企業には、知名度は低くても将来有望なベンチャー企業が多いため、急成長することで大きな利益を得られるチャンスがあることも魅力です。

米国株を取引するデメリットとは

米国株を取引する前に、以下のデメリットも把握しておくことをおすすめします。

・米国企業の情報がまだ少ない

現在は米国株の取引が増えている段階であり、日本株に比べると米国株の情報はまだ少ないことは否めません。ただしアナリストの財務分析といった情報は増えているため、今後は増えていくと思われます。

・株主優待のない企業が多い

株主への配当金以外の還元制度として知られる株主優待は、日本独自のものです。したがって、株主優待を期待して米国株を購入するメリットはないと考えてよいでしょう。

・日本株よりもハイリスクハイリターン

米国には世界最先端の研究や技術を誇る企業も多いため、その技術やイノベーションが米国株式市場を動かすことがあります。その意味では「ハイリスクハイリターン」といえるため、世界情勢を含めて視野を広げておく必要もあるでしょう。

米国株おすすめ証券会社比較一覧表
ネット証券
会社名
特徴 取扱
銘柄数
手数料

最大20万円
キャッシュバック
為替
手数料
0円
4,005 0.45%(※)
最大21万5千円
キャッシュバック
NISAで
米国株
取扱
3,820 0.45%(※)

楽天ポイント
200ポイントプレゼント
取引ツールに強み 3,954 0.45%(※)
IPOに注力 169 0.20%(※)

※約定代金に対する割合。各社最低手数料は0ドル
上限手数料は20ドル (税抜) ・2021年1月20日現在

日本株との違いは?

日本株と米国株には、どのような違いがあるのでしょうか。米国株の取引を始める前に確認しておきましょう。

・値幅制限がない

日本株は、1日に動く最大値幅が決まっています。急落や急騰があったとしても、ストップ高・ストップ安という仕組みによって制限がかかるため、損失を一定の範囲に収められます。しかし、米国株には値幅制限がありません。日本株にはない急上昇による利益もあれば、急落によってすぐに強制ロスカットが発動されることもあります。

・手数料や税金が高い

日本での米国株取引には、国内の委託手数料に加えて米国での委託手数料が必要になるため、委託手数料が二重にかかってしまうのです。同じく税金も二重課税となっているため、注意しなければなりません。手数料の無料化を大手ネット証券が打ち出しましたが、まだ手数料が高い証券会社もあるため、事前にしっかり確認しておく必要があるでしょう。

最低取引手数料だけではなく、最大取引手数料も証券会社によって異なり、無料のところもあれば20ドルを超えるところもあります。また、配当に対して二重課税されてしまわないように、確定申告を行って外国税額控除を受けることも忘れないようにしましょう。

・株主優待がない企業が多い

前述のとおり、米国株では株主優待を行っている企業が極めて少ないです。ただし日本株よりも配当金が高いというメリットがあるため、シンプルに資金を運用するという考え方が求められます。

ネット証券の米国株の取引手数料を徹底比較

米国株を取引できる大手ネット証券の中で注目すべき証券会社をピックアップし、取引手数料を比較しました。

▽主要ネット証券各社の米国株取引の手数料

ネット証券 取引手数料 最低取引手数料 最大取引手数料
楽天証券 約定金額の0.45% 無料 20ドル
SBI証券 約定金額の0.45% 無料 20ドル
マネックス証券 約定金額の0.45% 無料 20ドル
DMM.com証券 無料 無料 無料

※2020年11月時点、編集部調べ。サクソバンク証券の税込み

大手ネット証券は取引手数料の競争でほぼ同位

米国株の最低取引手数料の競争によって、大手ネット証券の上位3社の手数料はほぼ横並びなので、各社は取引できる銘柄数、注文方法やキャンペーンなどで差別化を図ろうとしています。ネット証券では、取引をする際にツールやスマホアプリを使う投資家が増えているため、サポートの体制や内容、受付時間なども証券会社を選ぶ際の判断材料になるでしょう。

今後、新たな証券会社がさらに良いサービスや大きなメリットを打ち出してくる可能性もあるため、上記のネット証券だけでなく新規参入する証券会社もチェックしておきましょう。

投資スタイル別、あなたにおすすめの証券会社はどこ?

ここでは、投資スタイルに合った証券会社を見つけるためのポイントをまとめました。自身のこだわりにマッチする証券会社を見つけてください。

マネックス証券:低コスト、複数の企業に分散投資

マネックス証券の最大の魅力は、取引できる銘柄数が他社よりも多いことです。米国株は普通株式とETF・ADRを合わせて3,800銘柄以上で、大型株だけではなく中小型株も増えています。中国株の取扱銘柄数も最高であり、複数の企業に分散投資をしたい方におすすめです。

手数料も最安水準であり、取引において安心感があります。外国株の口座開設キャンペーンなどもあるため、チェックしておくことをおすすめします。米国株でも「源泉徴収あり」の口座を開設できるため、初めて株式投資をする方にもおすすめできます。

SBI証券:米ドル入金で為替振替コストを抑えたい

SBIグループは各種投資部門が充実しており、新規口座開設数でトップのネット証券会社です。特に、為替レートにおいては住信SBIネット銀行と連携し、外貨預金の口座から米ドルを入金する際に4銭(通常は25銭)しかかからない点も魅力です。為替の振替コストを抑えるために、銀行口座と証券口座を両方開設するのがおすすめです。

楽天証券:ポイントを貯めながら投資をしたい

楽天経済圏の一角である楽天証券の魅力は、楽天ポイントを活用できることです。たとえば楽天クレジットカードで投資信託を購入すると、楽天スーパーポイントが付与されます。また、楽天銀行口座を利用して楽天証券との連携を便利にする「マネーブリッジ」を利用すると、株取引の口座間での入出金手数料が無料になるというメリットもあります。すでに楽天銀行やそのほかのサービスを利用している方は、各種手続きがスムーズになるでしょう。

DMM.com証券:徹底的に低コストで米国株投資

2020年11月現在、手数料に関してはDMM証券のみが「約定代金にかかわらず一律無料」となっており、口座の維持費や管理費なども無料であるため、他社よりも低コストを徹底しているといえるでしょう。ただし、配当金の為替スプレッドが高いことを踏まえる必要があります。

DMMのオリジナルツールは非常に使いやすいため、株の取引を始めたばかりでアプリを使った売買を考えている方には、特におすすめしたい証券会社です。

口座開設の申し込みは最短5分で済み、条件がそろえば即日開設可能であることも魅力なので、すぐにでも口座を作って株取引を始めたい方は、スマホを使った「スピード本人確認」を利用するとよいでしょう。

証券口座は複数持つことができる

「証券口座を1つに絞れない」という方は、複数の口座を開設するのも手です。ほとんどの証券会社では口座開設は無料でできるため、複数の口座を開設して取引画面やサポート対応などを比較して、自分に合う証券会社を見つけてください。

まとめ:自分に合った証券会社選びを!

各社が米国株の取引手数料を引き下げたことで、米国株取引が一気に身近になりました。手数料や取引ツール、各種サービス、サポート体制など、証券会社によって強みが異なるため、複数の口座を開設して「いいとこ取り」をするのもよいでしょう。

各証券会社の公式ホームページには、さらに詳しい情報が掲載されています。最新のキャンペーンやお得な情報を入手できる可能性もあるため、定期的にチェックすることをおすすめします。投資スタイルに合う証券会社選びの参考になれば幸いです。