成長を続ける中国では富裕層の数も増加の一途にあり、GDP世界1位のアメリカを凌駕しつつあります。中国人富裕層のマネーはどこに向かうのか、隣国である日本はどのような影響を受けるのかについて考えます。
ついにアメリカを抜いた!増え続ける中国人富裕層
外資系金融機関の調査(2019年)によると、資産100万ドル以上のミリオネアは、米国人9,900万人に対して中国人は1億人を突破、ついに中国がアメリカを抜きました。1億人といえば、日本の総人口に匹敵する人数です。
中国における経済的豊かさの端緒は、1992年に遡ります。当時の最高指導者・鄧小平は北京から全国を巡り、経済改革・市場開放を呼びかけました。いわゆる「南巡講話」です。以降30年近く、中国はグローバル経済の波に乗り、GDPは35倍に膨れ上がりました。高度経済成長の恩恵を一身に受けたのが、いまの富裕層です。
靴や縫製工場といった「世界の工場」を担う製造業から、最近ではIT企業を立ち上げ成功した実業家も大勢います。中央・地方政府と二人三脚を組んで一族でビジネスを営み、財を成した「官商」と呼ばれる特権層も少なくないとされています。
子どもの留学費、都心タワーマンション……。チャイナマネーの向かう先
過去10年、中国は輸出産業により2兆ドルもの経常黒字を稼ぎました。一方で対外純資産は0.7兆ドルしか増えていません。統計上の差は1.3兆ドルにものぼり、大部分が富裕層による資産フライト(逃避)だとする指摘もあります。
また投資先として人気を集めているのが海外不動産、とくに流動性が高く換金しやすい物件です。日本では都心一等地のタワーマンションへの投資が目立ちますが、湾岸エリアなど海辺のマンションも意外に注目を集めています。
留学も盛んで、多くの高官や大富豪たちがアイビーリーグをはじめとする海外名門校に子弟を留学させています。為替市場における「元安」への警戒のほか、将来の移住先としても視野に入れ、こうした動きが進んでいるようです。
富裕層ビジネスと多少でもかかわりがあるビジネスパーソンなら、中国人富裕層マネーの動向に注視しておくとよいかもしれません。