レジャーとしての歴史が浅いグランピングは、日本においての認知度、知名度はまだまだ低いため具体的な統計データなども見当たりません。しかし、従来のデータや統計から、ビジネスとしての大きな魅力をグランピングは抱えていることが想定できます。また、観光立国、インバウンドの拡大、および地方活性化を目指す政策面からしても、グランピングはカジノ施設併設の統合IRとともに有望な新分野として考えられそうです。

統計からみるグランピングの成長期待

金融
(画像= 靖宜 小泉/stock.adobe.com)

公益財団法人「日本生産性本部」が2019年7月に発表した2019年版「レジャー白書」の概要によると、2018年の余暇市場は71兆9,140億円となり、その伸び率は前年比0.1%増と小幅ながら増加しました。種目別余暇活動の参加人口は、「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」が5,430万人と2017年に続いて2位の外食(日常的なものを除く)を引き離してのトップでした。

また、上位20位中、昨年よりも順位を上げた項目は5つありましたが、この中には自然と接する「園芸、庭いじり」が入っています。このほか、白書が第一章で取り上げたトピックスには20、30代の男性参加率上位種目としてゲーム関連のほかに、「映画(テレビは除く)」「ドライブ」「バーベキュー」「ソーシャルゲームなどのオンラインゲーム」「トレーニング」がランクアップしているとしていました。「国内旅行」のほか「ドライブ」「バーベキュー」という、グランピングにつながる社会的ニーズが高まっていることが注目できます。

一方、矢野経済研究所が2019年9月3日にプレスリリースした「2018年の国内アウトドア市場」では、アウトドアの市場規模は前年比107.5%の5,007億7,000万円と拡大し、キャンプを含むライトアウトドア分野の拡大が若年層からシニア層に至るまで幅広い層で続いていると分析しています。

こうした需要拡大に呼応する形で、スポーツ量販店におけるキャンプ用品売り場が拡大するとともに、売り場も通年展開となり、キャンプ場では繁閑の平準化が進みビジネス面での変化も生まれていると解説しています。

老朽化オートキャンプ施設の再生も

また、ユニークなデータとしては、国土交通省観光庁観光資源課が2019年3月にまとめた「ビーチの観光資源としての活性化に向けたナレッジ集」があり、キャンプ市場について触れられています。

日本のキャンプ市場は、「オートキャンプの参加人口が近年微増で推移しているもののピーク時の半分近くにまで減少している一方、キャンプ用品の市場規模は2000年に底を打った後、右肩上がりの回復傾向」にあるとしています。

さらに「国内の1泊2日・1回当たりの平均キャンプ費用は、2013年以降は上昇している」としています。その一方で、「国内のオートキャンプ場の約半数が1990年代以前に整備されており、施設の老朽化が懸念される」と問題点も指摘しています。

キャンプブームの再来がグランピング市場の成長につながり、老朽化したオートキャンプ施設が、立地条件次第でグランピング施設として生まれ変わる可能性が膨らんでいるわけです。

地方創生プラス都市型グランピング

一方、まち・ひと・しごと創生「長期ビジョン」として地方創生を掲げる国家戦略においても、グランピング市場の拡大は好感できる動きと言えるでしょう。地方だけでなく、民間を利用した都市公園の開発も有望です。

2017年6月には改正都市公園法が施行され、公園事業の幅広い民間委託が可能になりました。施設整備や運営を民間が手掛けることが可能になっています。BBQ(バーベキュー)場やキャンプ場といったレジャーのプランニングが可能となり、グランピングがビジネスとして成立する背景が整ってきています。第4回はグランピングの将来性について解説していきます。