2019年の世界の都市総合力ランキングを見ると、1位はロンドン、2位はニューヨーク、東京は前年と同じ3位でした。東京が評価された点や伸び悩んだ点は何だったのか?どうしたら世界1位になれるのかなどをランキングから紐解いていきます。

世界の都市総合力ランキングとは?

金融
(画像= Sergii Figurnyi/stock.adobe.com)

「世界の都市総合力ランキング」は、森記念財団の都市戦略研究所が世界48都市を対象に、経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセスの6分野を複眼的に評価し毎年ランキングしているものです。

都市総合力ランキングは、国際的な都市間競争において、人や企業を惹きつける“磁力”は、都市がもっている総合力によって生み出されるという考えに基づき作成しています。

2019年のランキング10 ( )内は前年のスコア

1位:ロンドン 1669.1(1692.3)

2位:ニューヨーク 1543.2(1565.3)

3位:東京 1422.2(1462.0)

4位:パリ 1387.7(1393.9)

5位:シンガポール 1262.9(1310.6)

6位:アムステルダム 1236.0(1265.9)

7位:ソウル 1205.6(1237.5)

8位:ベルリン 1201.7(1232.2)

9位:香港 1170.4(1204.9)

10位:シドニー 1162.9(1200.7)

トップ10の順位は2018年から変わらず、ロンドンはロンドンオリンピックが開催された2012年から上昇し、ニューヨークは2012年に起きたハリケーンサンディから停滞していましたが上昇に転じました。東京は2011年の東日本大震災から下降していましたが、2015年から2018年までは上昇。ちなみに大阪は29位、福岡は42位にランクインしています。

6分野の中で高いのは研究・開発で低いのは環境

東京は圧倒的に強い分野や極端に弱い分野がなく、総合力の高いバランス型の都市として位置づけられています。その中でも研究・開発分野は3位となっており、「研究者数」「研究開発費」「学力の高さ」「特許登録数」が高評価されました。さらに経済、文化・交流も4位でした。

逆に東京が評価を得られなかったのが環境分野(23位)です。同分野は「持続可能性」「大気質」「自然環境」などで判断されるため、スイスやオーストラリア、北欧の都市が「緑地の充実度」「自然環境」「CO2排出量の少なさ」などを強みに上位にランクインしました。

6分野のうち、さらに細かく分かれている指標をさらに見ると、環境の中にある「気温の快適性」は努力では解決できないものですし、「緑地の充実度」も数年で向上するものではありません。

これらの指標は地理的な問題でいかんともしがたい面が多分にあるため、上位にランクインされるのは、それ以外の改善可能な指標のスコアを伸ばすことが重要になってくるのです。