新規上場株を狙ったIPO株投資は、利益が出やすいことから、投資家に非常に人気があります。一方で、通常の株式投資とは違い、当選しなければ購入できません。今回は、IPO投資の仕組みや買い方、当選確率を上げる裏ワザを紹介します。ネット証券・対面証券に分けて証券会社も比較しましたので、参考にしてみてください。

IPOとは?仕組みを簡単におさらい

金融
(画像=SergeyNivens/stock.adobe.com)

IPO(アイピーオー)とは、「Initial(最初の)」「Public(公開)」「Offering(売り出し)」の頭文字をとった言葉で、日本語では「新規公開株」と呼ばれます。

規模拡大を狙う際に、上場を検討する会社はたくさんあります。証券取引所に上場すれば、誰もが株式を自由に売買できるようになり、投資家から資金を集めやすくなるからです。

IPO株投資とは、上場予定の会社の「株式を買う権利」を抽選で手に入れ、上場日に売却して利益を得る投資方法です。

上場を予定しているということは、業績が好調で、今後も事業拡大を狙っているということに他なりません。また、特殊な技術力を持つ会社や個性的なサービスを展開する会社だと、上場前から多くの投資家から注目を集めているケースもあります。

そのため、上場前に募集される「公募価格」に対し、上場後にはじめてつく株価「初値」が高くなることがほとんどです。

IPOの買い方は?4ステップで簡単解説

続いて、IPOの買い方を解説します。ここでは全体の流れをお伝えし、具体的なIPOの申し込み手順については、後の章で詳しく解説します。

証券口座を開設する

まず、証券口座を開設します。口座開設の手続きそのものは、銀行口座の開設手続きと似通っています。

証券会社によって、IPOの取扱銘柄数や当選確率は変わります。そのため、IPOに強い証券会社を選び、できれば複数口座開設しておきましょう。

IPOの取扱いがある証券会社は、この記事の最後に紹介します。6社を比較しているので、参考にしてみてください。

IPOを選ぶ

IPOの情報は、目論見書(もくろみしょ)でチェックします。目論見書には、次のようなことが記載されています。

  • 会社の概況、事業内容、事業状況、財務データ
  • 想定価格や売り出し株数等の募集条件、上場までのスケジュール
  • 取り扱いのある証券会社
  • 既存の株主

目論見書を読み、どのIPOの抽選に申し込むかを決めましょう。IPOは通常の株式投資と比較して、利益が出やすいのは過去の実績からも証明されていますが、100%利益が出ることが保証されているわけではありません。

場合によっては、せっかく抽選を勝ち抜いてIPOを購入したのに、初値が予想より下がって損失が出てしまうこともあり得ます。

事業内容や財務データをチェックし、初値が上がる見込みのあるIPOを選びましょう。

抽選に参加する

IPOは普通の株式のように、すぐに購入できるわけではありません。IPOを選んだら、抽選に申し込みます。抽選に申し込むことを、ブックビルディング(需要申告)といいます。

ブックビルディングができる期間は限られているため、興味のあるIPOがあったらブックビルディングを逃さないよう注意してください。

当選したら代金を支払う

抽選結果が発表され、当選・落選がわかります。抽選結果は、証券会社のホームページやメールで確認します。当選していた場合、忘れずに購入手続きをしましょう。購入手続きを忘れると、せっかく当選しても失効してしまいます。

その後、上場して初値が公募価格を上回れば、利益が確定します。

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IPO株投資をするなら知っておきたい証券会社の基礎知識

IPOは、どの証券会社でも同じように購入できるわけではありません。IPOの銘柄ごとに、主幹事証券・引受幹事証券・委託幹事証券が決まっています。

主幹事証券とは、上場に向けたサポートをする証券会社の中でも、中心的な役割を担う証券会社のことです。主幹事証券は、公募価格の算定など役割が多い分、IPOの引受数も最も多くなります。つまり、当選確率を上げたいなら主幹事証券で申し込みましょう。

引受幹事証券とは、主幹事以外の、上場をサポートする証券会社のことです。引受幹事証券は、証券取引所との協議や調整を担います。複数の証券会社が引受幹事証券になります。引受幹事証券でもIPOを購入できます。

委託幹事証券とは、幹事証券からIPOの販売を委託された証券会社のことです。目論見書に記載がないことから、「裏幹事」と呼ばれることもあります。裏とはいえ、正式に販売を委託されているため、不透明な部分があるわけではありません。

委託幹事証券でも、IPOを購入できます。ただし、上述したように委託幹事証券は目論見書に記載されません。そのため、自分で各証券会社のホームページをチェックして、取り扱いがあるかどうかを確認する必要があります。

IPOは、主幹事証券・引受幹事証券・裏幹事証券のいずれかの証券会社でしか購入できません。また、当選確率を上げるためには、主幹事証券で申し込むのはもちろんのこと、引受幹事証券や裏幹事証券でも申し込むことが大切です。

そのため、複数の証券口座を開設しておき、IPOの申し込みに備えておきましょう。

IPOの申し込み手順・スケジュールを紹介

続いて、IPOの具体的な申し込み手順を解説します。

IPOの上場承認から上場までは、約1ヵ月と非常に短い期間です。その間に、IPOの選定や抽選への申し込み、当選後の購入などを忘れずに行わなければなりません。

申し込み手順をよく理解し、表にして自分なりにまとめるなどして、確実に管理するようにしましょう。

上場承認

証券取引所が、上場を希望する会社を承認すると、証券取引所のホームページにそのことが公表されます。いち早く情報をキャッチしたい人は、証券取引所のホームページをチェックしましょう。

証券会社のホームページでも、IPOの情報は確認できます。IPOの当選確率を上げるためにも、複数の証券会社のホームページでIPOの情報をチェックし、情報が公開されたら速やかに確認しましょう。

抽選の申し込みであるブックビルディングが開始される前に、目論見書を読んで申し込むIPO銘柄を選んでおくことが大切です。

ブックビルディング

ブックビルディング(需要申告)とは、「どの銘柄を、何円で、何株買いたいか」を申告する手続きです。ブックビルディングができる期間は、IPO銘柄ごとに定められています。

もし発行される株式に対して申込者数が少なければ、抽選は行われません。しかし、利益が得やすいIPO株投資は人気があるため、ほとんどの場合は抽選になります。

ブックビルディングをしなければ抽選に参加できないため、忘れずに手続きを行いましょう。

当選と購入申し込み

ブックビルディング期間が終了すると、価格が決定されます。その後抽選が行われ、当選・落選の結果が投資家に通知されます。証券会社のホームページでチェックするのが確実ですが、メール通知サービスなどを活用することもできます。

当選したら、忘れずに証券会社のホームページで購入申し込みをしましょう。購入が完了していないと、せっかく当選しても意味がありません。購入後にあらためて契約一覧を閲覧するなど、二重チェックで確実に購入まで完了させることが大切です。

IPO株投資では、基本的に上場日の初値で売りに出します。初値で売るには、上場前に売り注文を出しておきましょう。売り注文の受付時間は証券会社によって異なるため、いつ売り注文を出すかまで計画的に決めておくことがポイントです。

どんなIPOが狙い目?IPOを選ぶ5つのポイントを解説

続いて、IPOを選ぶ時に重視すべき点を解説します。

事業の成長が見込める

IPO株投資といっても、この点は通常の株式投資と何ら変わりはありません。初値が公募価格を上回るのは、多くの投資家がその株式を保有したいと思うからです。

目論見書の事業内容や財務データをよくチェックし、今後大きな成長が見込める会社を選びましょう。

また、世間的に注目を集めている業界や、特定の技術・サービスを強みとする会社にも要注目です。例えば、AIやビッグデータ、IoTなどは今大きな注目を集めている分野であり、業界全体の成長も見込めます。

その他、多くの人が知っているサービスを提供している会社が上場するタイミングなども、IPO株投資で大きな利益をあげるチャンスです。

引受株数が少ない

上場の際に、投資家に回る株数が少ないということは、良くも悪くも株価によって大きく資産が増減しないということになります。投資家からすると、リスクを抑えて投資できることから、人気が高まる傾向があります。

そのため、引受株数が多いか少ないかもチェックしましょう。

また、大株主が保有している株を売る「売り出し」の場合、そこには何らかの「売りたい要因」があると考えられるため、投資家は敬遠する傾向があります。そのため、「売り出し」が多すぎないこともチェックポイントです。

ジャスダックやマザーズに上場する

ジャスダックやマザーズなどの新興市場に上場する会社のほうが、成長性を期待されて値上がりしやすい傾向があります。個人投資家が多いことも、値上がりにつながる1つの要因です。

一方で、値崩れしてしまう可能性もあるため、その点は注意が必要です。

直近のIPO株投資で大きな利益が出た

とある会社が上場し、公募価格を大きく上回る初値をつけ、メディアなどがこぞってそれを報じると、自然とIPO株に注目が集まります。

IPO株投資に興味を持ちつつ、口座開設まで踏み切れていなかった層が、口座開設をして次のIPO株投資に参入してくる可能性も高まるでしょう。その結果、競争率は上がりますが、初値が公募価格を大きく上回る可能性も出てきます。

抽選に参加する時点で、多くの投資家は目論見書を読み込み、その会社が成長するだろうという期待を寄せています。仮に抽選に落ちたとしても、上場後に株式を購入するかもしれません。

このように、直近のIPO株の動向は、競争率や初値に大きく影響を及ぼします。

SNSやブログで話題になっている

IPO株投資をするなら、SNSやブログなどインターネット上の情報にも注目しましょう。話題になれば、それだけ多くの人が会社の上場を知ることになります。競争率も上がりますが、初値が高くつく可能性も高まるでしょう。

IPO株投資に関連する情報を配信しているブログや、著名な投資家の発言などに気を配っておくことが大切です。

過去のIPO株投資の結果は?IPOが投資家に人気の理由

続いて、過去のIPOの結果を紹介します。年代別のIPOの件数と、初値が公募価格を上回った割合は下記の通りです。

2019年 86件 88%
2018年 90件 89%
2017年 89件 91%
2016年 83件 81%
2015年 92件 89%
2014年 83件 78%
2013年 60件 93%
2012年 50件 78%
2011年 36件 52%
2010年 22件 45%
2009年 19件 68%
2008年 52件 38%
2007年 121件 73%

2008年の結果がかんばしくないのは、2008年9月にリーマンショックが起きたからです。2012年に入り、リーマンショックの影響が薄れた頃からは、初値が公募価格を上回る割合は8~9割程度と、非常に高くなっています。

この結果を見れば、IPOが投資家の間で非常に人気があり、抽選になる理由がわかるでしょう。

IPO株投資で当選確率を上げる5つの裏ワザを紹介

続いて、IPO株投資で当選確率を上げるための方法を紹介していきます。

証券口座を複数開設する

IPO株投資の基本中の基本ですが、証券口座は複数開設しておきましょう。特に主幹事を多く務めている証券会社の口座は、それぞれ開設しておくと安心です。主幹事を務めている場合、IPOの引受数が多いため、それだけ当選確率も上がります。

また、証券会社には、店舗や窓口のある対面証券と、インターネットのみで完結するネット証券があります。

対面証券は、割り当てられたIPOのうち、すべてを抽選に回すわけではありません。大口顧客に優先的に紹介する割合と、抽選に回す割合が設定されており、抽選に回す割合が低い傾向があります。

一方ネット証券の場合、100%抽選に回している証券会社が多い傾向があります。そのため、初心者の場合は、ネット証券のほうが当選しやすいといえます。

とはいえ、対面証券は主幹事証券の実績が豊富など、対面証券ならではのメリットもあります。それぞれの特徴を踏まえてどちらの口座も開設しておくことが大切です。

資金を多く準備する

証券会社によっては、資金を多く準備することも、IPOの当選確率を上げることにつながります。IPOの抽選に関して、申し込んだ株式数に応じて当選確率が決まるシステムと、申し込んだ株式数にかかわらず平等に当選確率が決まるシステムがあります。

申し込んだ株式数に応じて当選確率が決まる証券会社に資金を集中させ、申込株式数を増やすのも1つの戦略です。

また、証券会社によっては、証券口座や銀行口座の預かり資産残高に応じて、当選確率が上がるサービスを提供しているところもあります。資産をどのように口座に配分するかも、当選確率を上げるためにできる工夫の1つです。

主幹事の証券会社から応募する

落としたくないIPO銘柄がある場合は、必ず主幹事の証券会社から申し込みましょう。主幹事の証券会社は、目論見書に記載されています。

ただし目当てのIPO株がある場合、主幹事証券の証券口座で抽選に申し込むだけでは十分ではありません。多くの投資家は、複数の証券口座から申し込みをしています。主幹事証券以外の引受幹事証券や委託幹事証券もしっかりチェックし、抽選に申し込みましょう。

主幹事証券と引受幹事証券は目論見書で確認できますが、委託幹事証券は目論見書では確認できません。そのため、証券会社のホームページにアクセスし、取り扱いがないか確認しましょう。

競争確率が下がることで、委託幹事証券のほうが当選しやすい場合などもあるため、要チェックです。口座開設数を確認し、あえて口座開設数の少ない証券会社を狙うのも戦略の1つです。

対面証券であれば担当者と懇意にする

対面証券なら、担当者と親しくすることで、優良なIPO銘柄を紹介してもらえる可能性が高まります。ただしこれは、一定の資金力があり、日頃から積極的に投資を行っている人にしかできない戦略です。

裏を返せば、一定の資金力がある場合は上手に対面証券を活用していきましょう。

中にはIPOを狙って対面証券で口座開設し、担当者にIPOを要求する人も存在します。担当者との付き合いも人と人との関係です。積極的に投資をして担当者の売上に貢献することはもちろんですが、担当者とは良好な付き合いを続けていくことが大切です。

「このお客様に貢献したい」という思いを担当者が抱くようになれば、自然とIPOを優先的に配分してくれるようになるでしょう。

取引量を増やす

取引量を増やすことで、当選確率を上げられる可能性があります。証券会社の中には、IPOの抽選に外れた場合もポイントがたまり、その後の当選確率が上がるといった制度を設けているところもあります。

また、IPO以外の取引で貯まったポイントに応じて、IPOの当選確率が上がるサービスを用意している証券会社もあります。

また、単純に取引量を増やしても当選確率が上がるわけではありません。証券会社が提供しているサービス内容をよく確認し、それに応じた戦略を練って取引量を調整することが大切です。

IPO株を買うならココ!証券会社6社を徹底比較

続いて、IPO株投資を始めたい人にぴったりの証券会社をネット証券・対面証券に分けて、それぞれ3社ずつ紹介します。

ネット証券会社の大手3社を比較

IPOを取り扱っているネット大手証券会社を3社紹介します。それぞれの取扱実績や主幹事実績、その他の特徴は下記の通りです。

(1)SBI証券

  • 2019年の取扱実績は82件
  • 2019年の主幹事実績は7件
  • 抽選への申し込み回数に応じて当選確率が上がるIPOチャレンジポイント制度がある

(2)マネックス証券

  • 2019年の取扱実績は45件
  • 2019年の主幹事実績は0件

(3)楽天証券

  • 2019年の取扱実績は26件
  • 2019年の主幹事実績は0件
  • 手数料が安いのが魅力

対面証券会社の大手3社を比較

IPOを取り扱っている対面大手証券会社を3社紹介します。それぞれの取扱実績や主幹事実績、その他の特徴は下記の通りです。

(1)野村證券

  • 2019年の取扱実績は35件
  • 2019年の主幹事実績は17件
  • 国内最大手の証券会社なので、注目されるIPO銘柄で主幹事を務めることも多い

(2)SMBC日興証券

  • 2019年の取扱実績は61件
  • 2019年の主幹事実績は20件
  • 取扱い銘柄が多く、IPOに力を入れている
  • 資産残高で当選確率が変わるステージ別抽選がある

(3)大和証券

  • 2019年の取扱実績は43件
  • 2019年の主幹事実績は22件
  • 2019年は主幹事数トップ
  • 過去の取引実績等で当選確率が変わるチャンス抽選がある

IPO株投資は経験を積むことが大事

IPO株投資は、魅力的な反面、競争率が高いことが特徴です。そのため、早くからIPO株投資を始め、少しずつ経験を積んでいくことが大切です。その結果、担当者との人間関係を構築できたり、取引量やポイントが貯まったりすれば、自然とIPOの当選確率は上がります。

「普通の株式投資と違って難しそうだから」「口座開設が面倒だから」と敬遠していては、いつまでもチャンスはめぐってきません。抽選に落ちたからといって、損をするわけでもないので、口座開設と申し込みの流れだけを一度体験しておきましょう。

最近では、20代30代のうちからIPO株投資に注目し、抽選申し込みを始める人もいるほどです。IPO株投資を賢く行い、将来の成果につなげましょう。

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