インテリア小売業として異例の成長を続ける、ニトリホールディングス。コロナ禍でも巣ごもり需要を取り込み、順調に業績を伸ばしているようだ。業界をけん引するリーディングカンパニーの平均年収は、どれほどの水準なのだろうか。
インテリア・家具業界の平均年収ランキングは?
始めに、インテリア・家具業界の平均年収ランキングを見てみよう。ランキングは、各社が会計年度ごとに公表している「有価証券報告書」を参照して作成した。なお、イケア・ジャパンなどの非上場企業はランキングから除外している。
<インテリア・家具業界の平均年間給与ランキング>
順位 | 企業名 | 平均年収 | 時期 |
1位 | ニトリホールディングス | 851万2,000円 | 2020年2月20日 |
2位 | フランスベッドホールディングス | 822万8,152円 | 2020年3月31日 |
3位 | パラマウントベッドホールディングス | 799万5,242円 | 2020年3月31日 |
4位 | オカムラ | 677万5,000円 | 2020年3月31日 |
5位 | 三栄コーポレーション | 666万9,025円 | 2020年3月31日 |
6位 | 立川ブラインド工業 | 659万5,000円 | 2020年12月31日 |
7位 | サンゲツ | 644万2,000円 | 2020年3月31日 |
8位 | タカノ | 595万7,043円 | 2020年3月31日 |
9位 | ナフコ | 578万9,642円 | 2020年3月31日 |
10位 | 天馬 | 560万9,000円 | 2020年3月31日 |
1位:ニトリホールディングス 851万2,000円
ニトリホールディングスがトップに輝いた。持株会社の従業員数は558人、平均年齢は42.7歳、平均勤続年数は11.8年。なお、グループ全体の従業員数は1万4,337人だ。
2位:フランスベッドホールディングス 822万8,152円
2位はベッドのエキスパート、フランスベッドホールディングス。従業員数は18人、平均年齢は47.9歳、平均勤続年数は23.1年。連結子会社を含めた従業員数は1,554人だ。
3位:パラマウントベッドホールディングス 799万5,242円
3位には、医療・介護向け製品に強みを持つパラマウントベッドホールディングスがランクインした。従業員数は20人、平均年齢は46.7歳、平均勤続年数は22.2年。連結子会社を含めた従業員は3,494人だ。
ニトリの平均年収の推移は?
次に、ニトリの過去10年間の平均収入と経常利益を見てみよう。経常利益は右肩上がりだが、平均年収には波がある。2013年2月期に大きく落ち込んだが、その後上昇し、2016年2月期からはほぼ横ばいである。
<ニトリの平均年収と営業利益の推移>
会計年度 | 平均年収 | 経常利益 |
2020年2月期 | 851万2,000円 | 1,095億2,200万円 |
2019年2月期 | 855万1,000円 | 1,030億5,300万円 |
2018年2月期 | 860万7,000円 | 948億6,000万円 |
2017年2月期 | 877万7,000円 | 875億6,300万円 |
2016年2月期 | 860万0,000円 | 750億0,700万円 |
2015年2月期 | 810万2,000円 | 679億2,900万円 |
2014年2月期 | 783万8,000円 | 634億7,400万円 |
2013年2月期 | 770万5,000円 | 621億9,500万円 |
2012年2月期 | 827万4,000円 | 591億5,100万円 |
2011年2月期 | 851万9,080円 | 535億9,400万円 |
ニトリの最近の業績は?
最新の決算短信によると、2021年2月期の売上高は前年同期比11.6%増の7,169億円、経常利益は同26.4%増の1,384億2,600万円と、コロナ禍でも業績をさらに伸ばしている。
特筆すべきは、1988年2月期から34期連続の増収増益を果たしていることだ。1988年は店舗数16店舗、売上高103億円、経常利益5億円だったが、2021年には45倍の722店舗まで増やし、経常利益は276倍となっている。
この間、消費税増税やバブル崩壊、金融危機、リーマンショックなど景気後退局面が何度もあったが、それでも着実に前進を続けている。
ニトリは、自社のビジネスモデルを「製造物流IT小売業」と称している。商品の企画から原材料の調達、製造、物流、販売までを一貫して自社でコントロールする垂直統合型のサプライチェーンが高い競争力の源だ。
付加価値を求め過ぎず、多様化するニーズにスピーディーに対応する商品企画・開発力、また原材料の調達から販売まで自社グループ内で完結することで「お、ねだん以上。」を実現する。その成果が業績に結び付いているのだ。
2032年までに3,000店舗を目指す
近年は、複合商業施設「ニトリモール」の展開や婦人衣料専門店「N+(エヌプラス)」、ファミレス「みんなのグリル」といった異業種への参入などによって、集客力向上を目指した多角経営化を進めているようだ。
2020年にはホームセンター大手、島忠のTOB(株式公開買い付け)を実施し、傘下に収めた。住まいに関する包括的なサービスを提供し、さまざまなライフスタイルに対応した事業展開で、2022年に1,000店舗で売上高1兆円、2032年には3,000店舗で同3兆円を目指すという。
2022年2月期は国内市場の寡占化、デスティネーションストア化を加速する方針で、「お、ねだん以上。」の快進撃はまだまだ続きそうだ。
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。
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