株式投資の知識は「未来を明るくするための大事な金融リテラシー」のひとつです。株式投資初心者の皆さんに、成功するために必ず知っておくべきことを10のポイントに絞ってお伝えします。
 

目次

  1. 株式投資の3つの魅力
    1. 魅力1 キャピタルゲイン:10倍、100倍も夢ではない
    2. 魅力2 インカムゲイン:利回り5%超えの銘柄も存在する
    3. 魅力3 株主優待:魅力的な商品がもらえる
  2. 株を買うことの「意義」
    1. 株式会社とは
    2. 株主とは
    3. 証券取引所とは
    4. IPO(新規上場株式、新規公開株、新規上場株)とは
  3. 自分に適した証券会社の選び方
    1. 手数料は見かけの安さだけでない
    2. ウェブサイト、OMS、アプリなどの使いやすさ
    3. リサーチ力が投資成果に直結
    4. 外国株などの商品カバーで選ぶことも大切
    5. IPO投資に有利な証券会社
    6. ポイント還元目当てで口座開設
  4. 株価指数、株価、為替をチェックする定番サイト
    1. 日本経済新聞のウェブサイト
    2. 株価チェックは株探やYahoo!ファイナンス
    3. ニュースサイトの定番はブルームバーグ、ロイター
  5. 株価の上がる銘柄の選び方
    1. 株式投資銘柄選択の3つの方法
  6. 口座開設後の株式取引の流れ
    1. 入金
    2. 発注
    3. 約定
    4. 受け渡し
  7. 税制優遇でメリットが大きいNISAの活用法
  8. 損をしたときの対策がいちばん大切
    1. (1)塩漬け
    2. (2)ナンピン買い
    3. (3)損切り
  9. 初心者の失敗“あるある”例から解説
    1. あるある1:ディズニーのパスポートが欲しくて買ったのに株主優待が届かない
    2. あるある2:SNSで著名な投資家が推奨する銘柄を購入して値下がり
  10. 株式は期待収益率が高い未来にふさわしい金融商品
  11. 実際に株式投資を始めてみる

株式投資の3つの魅力

魅力1 キャピタルゲイン:10倍、100倍も夢ではない

投資で得た売買差益をキャピタルゲインといいます。株式投資の醍醐味はキャピタルゲインにあるといっても過言ではないでしょう。10倍、100倍になるような値上がり益がでる金融商品はそうはありません。

株式市場では10倍になる銘柄を「テンバガー」と呼ぶこともあります。投資家にとってテンバガー銘柄を持つことは憧れです。2019年には、東証マザーズ上場で自治体向けの広告やメディア発進などを手掛けるホープ<6195>が約14倍、同じく東証マザーズ上場でオンライン英会話最大手のレアジョブ<6096>が約12倍と2社が年間でのテンバガーを達成しました。毎年年間でテンバガーを達成する銘柄が誕生しています。

長期では100倍を超えるような銘柄が数多くあります。代表的なのがユニクロを展開しているファーストリテイリング<9983>でしょう。ユニクロは1994年に投入した、カラフルで暖かくてリーズナブルなフリースが大ヒット、フリースを前面に打ち出した原宿店をオープンして話題となったのが1998年でした。

その後ユニクロは急成長を遂げることになります。ユニクロのマイルストーンである1998年のファーストリテイリングの安値は262円、98年8月期の売上は831億円、最終利益は29億円でした。その後、世界のユニクロに成長したファーストリテイリングが2019年につけた過去最高値は7万230円、2019年8月期の売上は2兆2、905億円、最終利益は1,625億円でした。売上が28倍、最終利益が55倍、なんと株価は268倍になったのです。
みなさんがよく知っているトヨタ<7203>、ソニー<6758>、任天堂<7974>、セブン&アイ・ホールディングス<3382>、ソフトバンクグループ<9984>などの銘柄も、会社規模が小さいタイミングで購入すれば、その後100倍を超えています。

魅力2 インカムゲイン:利回り5%超えの銘柄も存在する

投資から得られる金利、配当益をインカムゲインと呼びます。キャピタルゲインのように大幅な利益を狙うことはできませんが、配当利回り5%を超える銘柄もあるため、預貯金の低金利に満足していない人にとっては有望な選択肢となるでしょう。また、株価暴落局面で購入することで、市場の反発時にキャピタルゲインを狙うことも期待できます。

配当利回りは、株価に対して配当金の割合を指します。株価1,000円で年間配当が50円受け取れる場合、配当利回りは5%です。

例えば2020年5月23日時点で、JT<2914>は7.68%、ソフトバンク<9434>6.52%、みずほフィナンシャルグループ<8411>6.18%、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>6.07%、住友商事<8053>5.82%、三菱商事<8058>5.63%など、5%を超える配当利回りの大手企業があります(手数料、税抜き)。ただし、配当はあくまで予想のため、業績の悪化等で減配、無配となることも起こりえます。

魅力3 株主優待:魅力的な商品がもらえる

株主優待も魅力のひとつです。株主優待は株主がもらえる特典で、個人投資家から気に入られる優待を提供する会社は、長期保有される傾向があります。企業も安定株主を増やすことを狙い、魅力的な株主優待特典を充実させようと考えているのです。

個人投資家に人気があるのはディズニーランドのパスポートがもらえるオリエンタルランド<4661>、株主に対する割引が大きいイオン<8267>、無料券がもらえる日本マクドナルド<2702>などさまざまです。株主優待は、保有株数や保有期間に応じて、優待特典の内容が変わります。

企業の配当と株主優待の金額的メリットを足したものを、「株主優待利回り」と呼ぶこともあります。

例えば、オリエンタルランド<4661>は100株(2020年5月23日終値で152万円相当)保有していると、年間配当4,400円(配当利回り0.28%)に加えて、ディズニーランドのパスポートが1枚〔8,200円相当)をもらえます。配当と優待を加えると年間で1万2,600円になりますので、株主優待利回りは0.82%になります。

ほかには、SBIグループで投信情報を提供しているモーニングスター<4765>は、株価362円(2020年5月23日終値)に対して配当が15円と、配当利回りが4.14%です。この配当自体も悪くありませんが、SBIグループ株を500株保有すると年会費5万2,800円が無料になります、さらに仮想通貨リップルを50XRP〔1,070円相当、2020年5月23日時点)をもらえます。株主優待利回りは驚きの33.9%です。
 

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株を買うことの「意義」

株式投資の世界に足を踏み入れると、株式会社、株主、証券取引所、IPO…‥専門用語が登場します。最低限知っておくべき用語を簡単に解説します。

株式会社とは

会社形態は、株式会社、合同会社、合名会社、合資会社の4種類が会社法で規定されています。会社運営には資金が必要です。通常は自己資金や金融機関からの調達などで資金を集めますが、株式会社は他の3形態と違い、株式を発行して幅広く資金調達をすることができます。経営陣や社員でなくても多数の投資家から出資を募ることができるのです。幅広く資金集めができることで、事業拡大の可能性が広がります。

株主とは

株式会社への出資者を株主といいます。株主は株式を受け取り、以下の3つの権利を受け取ります。

(1)会社の最高意思決定期間である株主総会に参加し、会社の意思決定の決議に参加する権利
(2)配当金等の利益分配を受け取る権利
(3)会社清算時には残余資産を分配して受け取る権利

つまり、株式投資の基本は投資する会社の株主になることを意味します。株式会社の経営は役員である取締役などが行いますが、株主は株主総会等を通じて会社の意思決定に携わることができます。

証券取引所とは

投資家がある企業の株主になりたいと考えたときに、流通していない企業の株を買うことは容易ではありません。企業の資金調達と投資家の投資を円滑にして、市場を広げる存在が証券取引所です。投資家は証券会社を通じて簡単に株を買えます。

東京証券取引所には、メインの取引市場である「本則市場」の東証1部、東証2部、「新興市場」である東証マザーズ、JASDAQなどの市場があり、約3,700社が上場しています(2020年5月20日)。時価総額は5,736億円(2020年4月30日)と日本は米国に次ぐ世界2位の株式市場です。

各市場にはそれぞれ上場基準がありますが、一般的な特徴を挙げます。

東証1部、東証2部は、国内外を代表する大企業・中堅企業が上場する日本の中心的な株式市場で、主に株主数、流通株式数、時価総額など上場基準の違いから上場する市場が異なります

マザーズは、近い将来の東証1部へのステップアップを視野に入れた成長企業向けの市場です。高い成長可能性がある企業に資金調達の場を提供するという観点から、規模や業種などによる制限を設けていません。成長の可能性さえあれば赤字上場も可能です。

JASDAQは、「1.信頼性、2.革新性、3.地域・国際性」という3つのコンセプトを掲げる市場です。一定の事業規模と実績を有する成長企業を対象とした「スタンダード」と、特色ある技術やビジネスモデルを有し、より将来の成長可能性に富んだ企業群を対象とした「グロース」という2つの異なる区分を設けています。

IPO(新規上場株式、新規公開株、新規上場株)とは

証券取引所に上場することをIPO(Initial Public Offering)と呼びます。IPOは、日本語では「新規上場」「新規上場株」といいます。企業が自社の株式を証券取引所へ上場させることで、幅広い投資家からの資金を集めることが可能となります。上場することで資金調達しやすくなるだけでなく、知名度も上がり、営業活動、採用活動でもメリットはあります。

一般的に、個人投資家は証券会社を通じて市場に流通している株式を購入しますが、株式市場への上場承認が降りてから上場前に手にすることができる株式をIPO株と呼ぶことがあります。成長企業のIPO株は大きく値上がりすることも多く、「IPO投資」と呼ばれる投資法が存在するほどです。

IPO株は申込みが必要で、抽選制が取られていることも多いので手にするためには宝くじをあてるような運のよさも必要になります。したがって、IPO後に上場してから流通したあとに株式市場で購入する「セカンダリー投資」も人気があります。

自分に適した証券会社の選び方

証券会社を選ぶにあたっては、手数料に目がいきがちですが、大切な条件はほかにもたくさんあります。

手数料は見かけの安さだけでない

株式投資のはじめの一歩は、証券会社で証券総合口座を開設することです。証券会社選びでいちばん焦点となるのが売買手数料です。証券会社には、営業員やコールセンターを通じて株式投資をする「対面営業の証券会社」と、すべてネットで完結する「ネット証券」に大きくわかれます。大手証券では対面とネットの両方を展開している場合もあります。

一般的に、対面営業の証券会社のほうが株式手数料は高く、ネット証券は安い傾向にあります。よほどネットが苦手であるとか、特に証券会社の営業員からの情報が欲しいということでなければ、ネット証券に口座を開設するのがいいでしょう。

各証券会社も顧客獲得に向けての取り組みとして、手数料の引き下げ競争を展開しています。その時点でいちばん安かったとしても、変動する可能性もあります。米国のネット証券会社のなかには、株式手数料を完全無料にした会社も出てきました。将来的には日本株の売買手数料も無料になる可能性があるでしょう。
単なる表面上の手数料率よりも、取引金額や取引方法(現物・信用取引)が自分にとって有利かどうかを判断して会社を選ぶことが大切です。

ウェブサイト、OMS、アプリなどの使いやすさ

証券会社を決めて、トレードを始めたら、ネット証券の場合は発注や資金管理など証券会社との直接の窓口になるのが、ウェブサイト、OMS(オーダー・マネジメント・システム)、スマホアプリなど発注ができるツールです。

ほとんどのネット証券では、パソコンでウェブサイトからも発注や資金管理ができます。スマホアプリからも可能です。それぞれ、発注画面やポジション、損益、チャートの見え方などが違いますので、自分が主に発注する環境でどの証券会社が使いやすいかを見比べるとよいでしょう。

特にデイトレードなどで発注量が多い場合は、ウェブサイト、スマホではなく、SBIなら「ハイパーSBI」、楽天なら「マーケット・スピード」などといった、証券会社が提供するPC用のOMSアプリで発注することがメインになるはずです。OMSは会社によって使い勝手が大きく異なり、チャートの表示数も変わってきます。

リサーチ力が投資成果に直結

株式投資や投資全般において、情報収集は欠かせません。証券会社のレポートやセミナーなどを通じたインプットが投資の成果に直結します。ストラテジストの話やアナリストによる個別銘柄のレポートなどを元に株価が動くこともよくあります。

自分の投資スタイルにあった情報を、タイムリーに提供してくれる証券会社の価値は高いです。証券会社が、メール、スマホ、動画、セミナーなど、どういうツールでどういうリサーチを提供しているか。自分にとって欲しい情報が欲しい時間にとれるかが大切です。

外国株などの商品カバーで選ぶことも大切

日本人で日本に住んでいれば日本株をイメージするかもしれませんが、意外と見逃しやすいのが外国株です。

日経平均株価は、1999年末の1万8,934円から2019年末の2万3,656円までの20年間で25%上昇したのに対し、NYダウは同じ期間に、1万1,497ドルから2万8,538ドルまで2.5倍になっています。結果を見れば、米国株のパフォーマンスが圧倒的です。

世界では「GAFA」と呼ばれる、アルファベット(グーグルの親会社)、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、アップルのプラットフォーマーの力が強大になり、株価も大きく上昇しています。GAFAにマイクロソフトを加えた「GAFAM」の時価総額が2020年5月に約5兆3,000億ドル(約560兆円)を超え、東証1部全体の時価総額を上回ったとの報道もありました。たった5社で日本を代表する企業2,000社超の時価総額を超えてしまったのです。

証券会社によって、取り扱っている国や銘柄数、手数料体系が異なります。証券口座の開設は何社でもできますが、まずは自分が欲しい外国株を取り扱っているかどうかなどを基準に選択するとよいでしょう。

IPO投資に有利な証券会社

IPO投資は、上場前の公募株売出し企業の主幹事に入っている証券会社でないと申込みできません。したがって、主幹事数が多い証券会社ほど、IPO銘柄を取り扱うことが多くなります。

少しでも当選確率を高くするためには、複数の証券会社に口座を持つのが有利なのは間違いありませんが、IPO株抽選のロジックが完全平等の会社など証券会社により方針はさまざまです。

ポイント還元目当てで口座開設

証券会社によっては、新規口座開設でキャッシュバックやポイントを付与してくれるようなキャンペーンをやっていることがありますので、キャンペーンはこまめにチェックしてみましょう。また、株式手数料や投信買い付けなどでポイントを得られる場合や、つみたてNISAでもポイントがもらえる場合があります。ネット証券では、SBI証券、楽天証券、マネックス証券などでポイント還元をやっています。選択基準として、「楽天ポイントが貯まるなら楽天証券にする」でも構いません。

株価指数、株価、為替をチェックする定番サイト

日本経済新聞のウェブサイト

新聞やニュースで「株価指数」という言葉を耳にしたことがある人も多いでしょう。代表的な指数が日本株では日経平均株価、米国株ではNYダウです。株価指数は相場動向を表す指標です。個別銘柄の株価の動きは、その銘柄のニュースや需給関係だけでなく、相場全体の動きの影響を大きく受けます。「日経平均株価が全面安だから、ソフトバンクやファーストリテイリングが売られた」といった具合です。そのため、投資家は必ず自分の保有株とともに株価指数をチェックします。

株式投資をはじめたら、自分の保有銘柄だけでなく株価指数をチェックする習慣を作りましょう。日経平均などの株価指数は「日本経済新聞」のサイトでチェックするのが、金融関係のニュースも同時にチェックできるので定番です。日経新聞のサイトならPCでもスマホでもリアルタイムで株価指数がチェックできます。

株価チェックは株探やYahoo!ファイナンス

相場全体の動きや、市場関連のニュース、個別銘柄の情報や株価をチェックするのには、「Yahoo!ファイナンス」や「株探(かぶたん)」もおすすめです。ともに金融関係のニュースやデータが豊富で、チャートが見やすいことが人気の理由です。Yahoo!ファイナンスや株探にはスマホ向けのアプリもあります。どちらも保有している銘柄が登録できますので、株価指数と保有銘柄情報のチェックが同時にできるので便利です。

ニュースサイトの定番はブルームバーグ、ロイター

金融市場はニュースのヘッドラインで動きます。トレーダーはニュース、株価指数、為替には敏感に常にチェックしています。日本経済新聞とともに金融系のニュースベンダーとして有名なブルームバーグとロイターです。本格的に株式投資をはじめるならこのサイトのニュースをチェックしてみるとよいでしょう。

株価の上がる銘柄の選び方

まずは自分の投資方針と投資スタイルをある程度最初に決めておくことが重要です。長期で資産形成したいのか、短期で勝負をしたいのかなど、資産のターゲットと達成までの期日、損失の許容範囲などを決めておくことです。

そのうえで、次の「株式投資銘柄選択の3つの方法」に添って銘柄を選ぶ方法を紹介します。株式投資は「再現性」が重要です。「たまたま」儲かったのではなく、同じ手法で銘柄を分析して、また儲かる確率が高い手法を身につけると強い武器になります。

株式投資銘柄選択の3つの方法

・(1)ファンダメンタルズ分析
株式価値を決める基本は企業の業績であるという考え方をベースに、企業業績を分析する手法を通じて、株式価値を見極めるアプローチです。企業の成長性に注目する成長株投資と保有する資産などに注目する割安株投資があります。

・(2)テクニカル分析
株価チャートを利用し、過去の価格動向や出来高などのデータから、将来を予想する手法です。主なテクニカル分析として、「ローソク足」、「移動平均線」、「ボリンジャーバンド」、「RSI」、「MACD」、「ストキャスティクス」などがあります。株価は長期ではファンダメンタルズ、短期では需給やテクニカルで動くという見方が多く、ファンダメンタルズとテクニカルは複合して分析することが実際は多くなります。

・(3)配当利回り、株主優待
「配当利回り」「株主優待」で選ぶのも正当な株価選択の戦略のひとつです。上場銘柄は3,700銘柄もあります。その中から上がる銘柄を探すことが株式投資の醍醐味でもあり、投資して株主になった企業がテンバガーになる魅力がロマンなのです。

口座開設後の株式取引の流れ

入金

口座開設時の最初の壁が「特定口座」と「一般口座」の選択かもしれません。簡単にいうと取引に関する税金計算の作業を自分でやるか、証券会社にまかせるかです。初心者なら「特定口座(源泉徴収あり)」を選ぶのが簡単です。あとでほかの所得や損失などとの合算が必要なときは、確定申告をすれば問題ありません。

特定口座なら、株式売買で利益が出た場合のキャピタルゲイン課税や配当課税、投信の分配金のインカム課税の計算はおまかせで、年末には「年間取引報告書」が自動作成されます。これだけで納税の手続きの負担は軽くなります。

株を買う場合、まず証券口座に株式買い付けのための資金を入金します。多くのネット証券では、ウェブ経由で銀行口座から手数料なしでリアルタイムに資金移動ができます。証券口座に入っている金額内でしか株は買えませんので余裕をもって入金しましょう。

発注

いよいよ、株式の買い付けです。ウェブサイト、スマホのアプリ、OMSなどで発注が簡単にできます。株の注文には、銘柄、株数、値段、売買の別、有効期間を入力する必要があります。

銘柄については、4桁の証券コードか社名をいれて検索して入力します。株数は通常は100株単位ですが、株によって1株、1,000株などの場合もあります。

値段は、「成行注文」か「指値注文」が表示されているはずです。希望する売買価格を具体的に入れるのが「指値注文」、値段を指定せずにいちばん有利な値段で売買するのが「成行注文」です。期間は、当日中、週中、期日指定が選べます。

注文は東証の立会時間である9時から11時30分、12時30分から15時はもちろん、早朝も夜も受け付けてくれます。ただし証券会社によって異なる場合があるため、証券会社に確認しましょう。

約定

注文成立を約定と呼びます。ウェブサイト、スマホアプリ、OMSなどで約定もしくは発注履歴をチェックすると株が約定できているかが確認できるはずです。それ以外でも、口座開設時に登録してあれば、メールなどで約定確認の連絡をもらうことも設定できるはずです。

受け渡し

株式は、約定日から2営業日後が受渡日となります。口座から購入代金を売り方に引き渡して、売り方から株式を受け取ります。これを株式の受け渡しと言います。普段の取引ではオンラインでの売買のため、この株式の受け渡しをあまり意識しないかもしれません。しかし、配当金や株主優待を受け取るときは注意が必要です。株主の権利は、受け渡しが確定し企業の株主名簿に登録されることで、正式にその会社の株主となり、確定します。権利が確定しなければ、配当金や株主優待を受け取ることができないのです。いつの時点で実際に株主となっている必要があるかを注意しましょう。

税制優遇でメリットが大きいNISAの活用法

NISA(少額投資非課税制度)は、政府が国民の資産を貯金から投資にシフトするために用意した投資優遇税制の仕組みです。株式投資でキャピタルゲインやインカムゲインにかかる税金の20.315%が非課税となります。

NISA制度を利用するためには、専用口座の開設が必要となります。証券総合口座と異なり、口座開設できるのは、1社のみです。非常に有利な制度なので新規口座開設とあわせてNISA口座も開設しておくとよいでしょう。

成人が利用する場合、NISAは「一般NISA」か「つみたてNISA」のいずれかを選択することができます。1年単位における併用は不可能で、いずれかを利用した年にもう片方を利用することはできません(翌年以降は申請することで変更可能)。制度背景を考えると、長期運用による資産形成を考えるならば、「つみたてNISA]が向いているでしょう。

・「一般NISA]
株式、投資信託、ETFなどを対象に年間120万円を上限、5年間で600万円の投資で得られる利益が優遇される

・「つみたてNISA]
投信とETFを対象に毎月のつみたてで年間40万円を上限、20年間でトータル800万円が優遇される

同じような政府が進めている自分年金をサポートする制度として、iDeCo(個人型確定拠出年金)もあります。iDeCoも毎月の積立が一般的で、年間積立額が所得控除できるため税負担の軽減効果が高い点がメリットです。ただ、iDeCoは年金制度であるため60歳以降になるまで受け取ることができず、原則解約も不可能です。その点、NISAはいつでも解約が可能なので、投資のスタートはNISAがよいでしょう。

損をしたときの対策がいちばん大切

投資の達人の話や投資本を見ると、「株は買いよりも売りが難しい」「ロスカットができる事」が株の成功には必要だという記述を目にするでしょう。それは、下落時の対処法で投資の結果が大きく変わってくることが多いためです。

株式投資で損が拡大した場合、以下の3つの方法が考えられます

(1)塩漬け:そのまま放置して回復するのを待つ
(2)ナンピン買い:買い増しして買いコストを下げる
(3)損切り:売却によるロスカットで損失を確定

(1)塩漬け

長期投資で資金に余裕がある場合は決して悪い方法ではありません。ただ、待っていても取り戻せるとは限りませんし、時間が長くかかる可能性もあります。したがって、投資効率は決して良くないのです。しかも、塩漬けで放置しておくことは、金融リテラシーや相場の経験値を上げるのにも役に立ちません。

(2)ナンピン買い

買い株数が増えてコストが下がるため、狙い通り株価が反発した場合は損失を取り戻せます。しかし、「ファンダメンタルズがいいので戻るはずだ」などと自分の考えに固執し、急落時にナンピンを入れてさらに大きく下げ、株式市場から退場せざるを得ないといった例が多いのも事実です。

(3)損切り

結局、被害を少なくするのは、早めのロスカットかもしれません。自分の投資方針、投資スタイル、最大許容される損失額などから、限界まで待ってロスカットするのでなく、できるだけ早めにロスカットすることです。とくに急落時は、戻りを取ることよりも大きな損失を防ぐことを第一に考えられるようになると、投資家としての未来が見えてくるはずです。

早めにロスカットし、もう一段下げたら買いに出るくらいの投資行動が、資金効率もよくなり、大きなロスを防ぐ方法のひとつです。損切りは、相場のスキルアップ、相場の経験値向上にもつながります。だからこそ、暴落を何度も経験して資産を増やしてきた達人や投資本は「ロスカット」をすすめるのでしょう。また、損失を出してしまった場合は、確定申告をしておくと、翌年以降に損益合算し、税額控除することができることも覚えておいてください。

初心者の失敗“あるある”例から解説

あるある1:ディズニーのパスポートが欲しくて買ったのに株主優待が届かない

おそらく、配当、株主優待確定日を間違えています。オリエンタルランドの配当とパスポートをもらうためには3月末に株主にならなくてはダメなのですが、それは3月末に買えばいいというわけではありません。株式取引の流れで説明したように、株は約定日の営業日後に受け渡しが完了して、株主名簿に記載されることで株主の権利が確定します。「権利付き最終日」は念には念をいれて確認しましょう。

あるある2:SNSで著名な投資家が推奨する銘柄を購入して値下がり

TwitterのようなSNSなどで、著名投資家アカウントが推奨銘柄をつぶやくことがあります。こういった銘柄は、急上昇することもあれば、急落することもあります。株式初心者には取引タイミングが難しく、だいたい利益は小さく損失は大きくなりがちです。こうした投資をイナゴが群れて跳ぶことから「イナゴ投資家」と呼ぶこともあります。

イナゴ投資家は損することも多く、投資判断を人に委ねてしまっているので自分にとって「再現性」がありません。仮に利益が出たとしても、その成功は続きません。「イナゴ投資家」になるのではなく、自分で投資できる投資家になれるように努力したいものです。

株式は期待収益率が高い未来にふさわしい金融商品

ファンダメンタルズやテクニカルを勉強し、自分なりの投資ルールや資金管理の方法を身につければ、長期投資で株にまさる金融商品はありません。株式は短期の変動率は高いためリスクはありますが、長期の期待収益率では主要資産クラスの株、債券、不動産、商品などのなかでいちばん高い期待値があります。株式投資の初心者から、経験値を上げて成長できるようにしていきましょう。株式投資の知識は「未来を明るくするための大事な金融リテラシー」のひとつです。
 

実際に株式投資を始めてみる

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