中国は「世界の工場」として高い存在感を示し続けてきたが、近年は先進テクノロジーの進化が急加速し「テクノロジー国家」としての立ち位置をすでに強固なものにしている。中国におけるテクノロジーの発展の状況を探っていこう。

目次

  1. テクノロジー国家中国!さまざまな先進技術で存在感
    1. 5G:基地局を急ピッチで整備、5Gスマホも急増
    2. キャッシュレス決済:銀聯カードがきっかけ、モバイル決済が爆発的普及
    3. 次世代スマートフォン──中国ロヨル、ファーウェイが続々新商品
    4. 自動運転:すでにアメリカを抜く?自動運転タクシーの商用サービスも
  2. テクノロジー開発、諸外国と比べてどうか?
  3. 政府が強力支援!中国発の技術が世界へ「輸出」される時代に

テクノロジー国家中国!さまざまな先進技術で存在感

## 5Gやキャッシュレス決済、次世代スマートフォン、自動運転……中国が世界の中で優位に立っているテクノロジーは、枚挙にいとまがない。まず中国におけるそれぞれの技術の現状を紹介していく。

5G:基地局を急ピッチで整備、5Gスマホも急増

中国が世界をリードしている技術の一つに次世代通信規格「5G」がある。中国は、世界に先駆けて2019年11月に5Gを国内で商用化させた。その後5Gネットワークを中国全土に拡大するため、5G基地局の整備を急ピッチで進行。中国の工業情報化部によると5G単独のネットワークを使う「スタンドアローン方式」でのネットワークは、すでに2021年3月時点で中国の主要都市をカバーしている。

2021年中には、中国国内の各地の中規模・小規模都市でも5Gが活用できるようになる見込みだ。こうした5Gの使用環境が整うにつれて5G対応のスマートフォン端末なども中国国内で飛ぶように売れている。工業情報化部によると2021年1月時点で5G対応端末の接続数は2億台を突破しているという。さらに5Gはスマートフォンだけで活用されているわけではない。

「高速大容量」「低遅延通信」「同時接続性」といった特徴がある5Gは、中国国内における遠隔医療や自動運転、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)などのテクノロジー領域でも活躍している。

キャッシュレス決済:銀聯カードがきっかけ、モバイル決済が爆発的普及

中国は「キャッシュレス大国」「電子決済大国」などと呼ばれるほどキャッシュレス化が進んでいる。一般社団法人「キャッシュレス推進協議会」が2020年3月に公表した「キャッシュレス・ロードマップ2020《要約版》」によると2017年時点でキャッシュレス決済比率は70.2%で世界2位(1位の韓国は97.7%)だった。

広大な国土と約14億人(2021年3月末時点)という人口を有しながらも70%台に達しているのは、特筆すべき点だろう。

東洋証券05
(出典:キャッシュレス・ロードマップ2020《要約版》)

ちなみに3位以下は、カナダ(62.1%)、オーストラリア(59.9%)、イギリス(56.1%)と続き日本は21.4%で10位に甘んじている。中国でキャッシュレス化が進んだきっかけとしては、2002年に中国の中央銀行である「中国人民銀行」が設立した「中国銀聯(ぎんれん)」がデビットカードとして「銀聯カード」を発行したことが大きい。

その後、中国ではモバイル決済も爆発的に普及した。アリババ集団の「Alipay」やテンセントの「WeChat Pay」などのユーザーが急速に増えQRコード決済やアプリを使った個人間送金の利用は、もはや中国において当たり前の光景となっている。

次世代スマートフォン──中国ロヨル、ファーウェイが続々新商品

スマートフォン業界をけん引しているのは、米アップルや韓国サムスン電子、中国のファーウェイ(華為技術)など米中韓の3社で激しいシェア争いが繰り広げられていることは有名だ。しかし「次世代スマートフォン」ですでに中国が高い存在感を示していることはご存じだろうか。次世代スマートフォンとは、折りたたみが可能なスマートフォンのことだ。

中国の深センのテクノロジー企業「ロヨル(柔宇科技)」がまず世界的に注目を集めた。ロヨルが発売した折りたたみ式スマートフォンは、日本のガラパゴス携帯(ガラケー)のように「片面がディスプレイ」「片面がキーボード」という構造ではない。全面がディスプレイのスマートフォンを真ん中で折り曲げる形だ。「折りたたみ式」というより「折り曲げ式」と呼ぶほうがイメージしやすいかもしれない。

ロヨルは、すでに初代に続いて第2世代の折りたたみ式スマートフォンを発売しており20万回折り曲げても耐えることができるディスプレイを採用している。2021年2月21日、ファーウェイも折りたたみ式スマホを続々と発表。次世代スマートフォンの領域での中国の台頭を鮮明にしている。

自動運転:すでにアメリカを抜く?自動運転タクシーの商用サービスも

自動車は、今も人が運転するのが当たり前だ。しかし「自動運転」技術の開発の本格化でその常識が塗り替えられようとしている。AI(人工知能)とセンサーを駆使した無人運転がすでに実用化の段階まできているのだ。自動運転技術でまず存在感を高めたのは米国だったが近年はもはや中国が米国を上回っているという声も少なくない。

運転席にドライバーが座らない自動運転タクシーの商用サービスも中国で始まり米国以上に普及の機運も高い。中国において自動運転技術で先頭を走るのが検索プラットフォーム大手の百度(バイドゥ:Baidu)だ。先ほど触れた自動運転タクシーは、百度が北京で2021年5月から走らせており公道の走行許可が下りた都市で今後続々と自動運転タクシーサービスを開始するものとみられる。

自動運転関連のスタートアップやベンチャーの中には、企業価値が10億米ドル以上の「ユニコーン」と化す企業も出てきており中国の自動運転シーンがさらに熱くなっていくこと間違いなしだ。

テクノロジー開発、諸外国と比べてどうか?

「5G」「キャッシュレス」「次世代スマートフォン」「自動運転」など先進技術・サービスにおいて中国は、世界の主要国に先んじている状態だ。例えば自動運転技術では、日本よりもはるかに進んでいる。日本の場合、自動運転タクシーの実証実験は日産自動車やベンチャー企業などがすでに実施しているが商用サービスを展開するまでには至っていない。(2021年5月時点)

次世代スマートフォンでは、中国一強時代となっている。2021年1月に米Apple社が折りたたみ式画面のiPhoneの開発を進めている報道があったがまだ発売開始には至っていない。アジアの先進国としてはシンガポールが挙げられるがキャッシュレス決済比率では中国にかなわない。この記事で紹介した2017年の調査では53.3%で中国とは約17%の差がある。

中国でキャッシュレス化がさらに進んでいることを考えると2021年現在その差はさらに開いている可能性が高いだろう。

政府が強力支援!中国発の技術が世界へ「輸出」される時代に

なぜ中国は、技術力でここまで世界に対抗することができるようになったのだろうか。その理由は、複数あるが中国政府の強力な支援が大きいことはたしかだ。5Gネットワークの構築支援や公道での自動運転の走行認可などにおいて中国政府のスピード感はすさまじいものがある。長年にわたって中国は、さまざまな技術を世界から「輸入」してきた。

しかし中国発の技術を世界へ「輸出」する時代が本格的にやってきている。そんな中、その技術を開発する中国企業の業績は今後一層うなぎ上りに高まっていくはずだ。こうしたことを考慮すれば中国の株式市場の将来も明るいといえるだろう。現代は米国の株式市場が世界最大のマーケットだ。しかし中国の株式マーケットが徐々に台頭し米国を抜く時代もそう遠くないかもしれない。

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