本記事は、渡邉貴義氏の著書『自己流は武器だ。 私は、なぜ世界レベルの寿司屋になれたのか』(ポプラ社)の中から一部を抜粋・編集しています。

SNS
(画像=PIXTA)

SNSとうまくリンクしたこと

Facebook、Instagram の功績

照寿司が世界一有名な寿司屋になれたのには、SNSの存在がとても大きい。この話もあとで詳しく書きますが、僕がFacebookを始めたのは2012年です。

その頃は、まだカウンターも今のような形に改装をしておらず、どうやら最近Facebookなるものが世界で流行っているらしい、ということで、何も考えずに仕入れた魚やお酒の写真をあげたりしていました。最初の投稿には「いいね!」が2つ、ついたのを今でも覚えています。

それが今ではFacebookやInstagramを見て世界中からお客様が来てくれています。2015、2016年あたりから、照寿司に来てくれたお客様が、照寿司をタグ付けしてくれるようになったのです。最初は何だか気恥ずかしい気持もありましたが、次第にそれもなくなり、いつしかFacebookにあげるのは食材の写真から自分の顔になっていきました。

うまく時代のツールを利用したといいますか。

でも集客をするために何か新しいツールや仕組みが出てきたのなら、とりあえずやってみた方がいいというのが僕の考えです。

照寿司も最初はFacebookだけでしたが、そのうちInstagramなるものが出てきて、FacebookよりもInstagramに写真をあげるようになってから爆発的に人気が出ました。

照寿司の寿司が自分の顔と一緒に一枚の画角に収まったことにより、いわゆる写真「映え」したことと、Instagramがほぼ写真だけで見せる形態のSNSだということがうまくリンクしたからです。

今では照寿司のInstagramの写真を見て、世界中からお客様が来てくれていますし、逆に日本中、世界中のさまざまな著名人、お寿司屋さんから子どもまでが、僕のあのポーズをまねた写真を撮ってInstagramにあげています。

照寿司はファンビジネス

照寿司のお客様のほとんどが初めての方です。みなさん世界中からInstagramを見て僕に会いに来てくれます。

もちろんお寿司も食べてみたいけど写真も撮りたい、そんなお客様がほとんどです。

ですから、8人での貸切のお客様がいらしたとしたら、1人が代表して写真を撮ればいいのではないんです。全員それぞれが自分のスマホで撮りたい。全員が思い出として自分のスマホに写真を残したい。あとからLINEで共有ではダメなんです。

僕が寿司を出してるのをみんな撮りたいんです。ですから、僕もお客様一人一人が自分の席で写真をしっかり撮れるように、ゆっくりポーズをとりながらお客様の手の平に寿司を置いていきます。

こうなるともうお客様が体験するショーです。

Facebookを始めたころから比べると、そんな時代が来たことに、本当に自分でもびっくりしています。

8年前にガラケーからスマホに変えたタイミングでFacebookを始めて、約3年半、5年前からInstagramを始めました。5年前というのは徐々にInstagramが流行りだした頃です。Instagramの流行とともに、照寿司も一気に駆け上がったと言っていいと思います。

それまで、世界中のどこを探してもこんな寿司屋がなかったので、本当にタイミングが良かったのではないでしょうか。

自己流は武器だ。
渡邉貴義
寿司職人・照寿司三代目。1977年、福岡県北九州市戸畑区生まれ。中学・高校・大学と柔道に打ち込み、大学卒業後は地元のホテルなどで修業を積んだ後、27歳のときに父親が営む「照寿司」に入る。営業部門などを経験した後、カウンター担当になり、地元の食材にこだわったネタとオリジナリティあふれるパフォーマンスが評判を呼び、SNSなどでも話題に。年間5000人のお客様を戸畑に呼ぶことに成功する。2021年にはInstagramの認証バッジを取得。そのフォロワーは13万人を超え、料理人では随一。2020年、農林水産省が主催する「日本の食文化にこだわり、その文化を伝えることに尽力した料理人」に贈られる料理人顕彰制度「料理マスターズ」を受賞。2019~2020年の間にスウェーデン、マカオ、タイ、中国、アメリカで計7回のイベントを実施。2021年にはファイドンというアメリカの出版社が数年に1度選出する「新進気鋭の料理人100人」にも選出される。北九州市観光大使。

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