新型コロナウイルスの蔓延をよそに、いま不動産投資への熱が高まっているという。そこで今回は、全3回に渡って「不動産投資」および不動産投資の前提となる「融資」について特集してみたい。

不動産投資は積立貯蓄?足元の融資事情は?
(画像=PIXTA、ZUU online)

不動産投資は積立貯蓄?

「先日、渋谷区にある中古ワンルームマンションを買いました。価格は約2,500万円、利回りは4%前半、頭金10万円のフルローン、借入利率は1.65%です。キャッシュフローはほぼトントンですが、もともとキャッシュフロー狙いの投資じゃないし、トントンであれば保険代わりになるし、積立貯蓄の感覚で、しばらく放っておけば良いかなと」(都内在住の30代サラリーマン男性Bさん)

ほとんどの投資家は、不動産投資を行う際に融資を活用する。不動産投資と融資は深い関係にあり、極論すると「融資を制する者が不動産投資を制す」と言えるだろう。そんな「融資を活用した不動産投資」が「積立貯蓄」であると言うと、違和感を感じる人が多いかもしれない。

借り入れをすると、元利均等返済であろうと元金均等返済であろうと、毎月の借入返済が発生する。この返済は「利息部分」と「元本部分」に分けることができる。元本部分を返済するということは、投資家側の純資産が少しずつ増えているということだ。Bさんが「積立貯蓄」と表現したのは、この「元本部分を毎月少しずつ返済していく」ことだ。確かに、この部分にフォーカスして考えてみると、積立貯蓄と言えなくもない。

これは「キャッシュフロー星人(とにかく利回りとキャッシュフローを重視する人)」には抜けがちになる視点だ。不動産投資で成功した人に話を聞くと、毎年のキャッシュフローはそこまででもないが、売却して大きなキャッシュを得たときに「こんなに儲かっていたんだ」と改めて気づいた、という人が多い。

反対に言うと、いくら潤沢なキャッシュフローを得ていたとしても、売却時に大きくキャピタルロスを計上して、「トータルでは損のほうが大きかった」では元も子もない。地方物件がすべて悪というわけではないが、地方物件で陥りやすいことと言えるだろう。投資である以上、インカムゲイン(もしくはインカムロス)とキャピタルゲイン(もしくはキャピタルロス)のトータルリターンで投資成果を判断したい。

「融資を活用した不動産投資」は金融システムを上手に利用した資産運用法