ビットコインは340万円ほどまで下落して以降、軟調な推移が続いている。

直近では、エルサルバドルにおけるビットコインの法定通貨化の検討や、米国における早期のテーパリング(量的金融緩和の縮小)の可能性が後退するなど、暗号資産(仮想通貨)市場にとって好要因が散見されているが、動きは鈍い。

ビットコイン
(画像=月刊暗号資産)

記事執筆時点では前日比0.6%増の395万円ほどで推移しており、400万円の上抜けに力を要する展開となっている。上値を押さえつけられている背景としては、引き続き警戒感が高まっている中国におけるマイニングを中心とした暗号資産規制の動向や、電気自動車テスラのCEOであるイーロン・マスク氏の一挙一動が要因として挙げられるだろう。

マスク氏に関しては、先週金曜日もビットコインに対してネガティブなイメージを与えるツイートをしており、その際にはわずか数分で1000ドル(約11万円)ほど価格が下落した。

今年に入ってから、同氏のツイートによって市場が大きく変動する場面が度々見受けられている。すでに市場はマスク氏の言動を織り込んでいると見る声もあるが、世界でも有数の発信力を持つ同氏の力は依然として強く、時として大きな懸念材料となる状況に変わりはない。

市場の最重要点であるビットコインの動きが芳しくないなか、アルトコイン価格は上昇傾向にある。

イーサリアムを中心に価格を徐々に伸ばし、前週比で2桁%以上を記録する銘柄も散見されている。直近2週間で46%ほどまで回復したビットコインドミナンスも緩やかに下降し40%ほどになっていることから、主要アルトコインおよびテザーなどのステーブルコインへの退避が顕著になっていることがうかがえる。

ビットコインが現在抱えている中国の暗号資産規制や環境問題など、あらゆるリスクの解消には時間を要することが予想されるため、しばらくはアルトコイン優勢の展開が続く可能性もあるだろう。

今週は欧州中央銀行(ECB)やカナダ中銀における政策金利発表、日本やEUなどにおいてGDPが公表されるほか、米国の消費者物価指数(CPI)が発表されるなど、多くの経済指標が控えている。

そのため、ビットコインやハイテク株を中心に様子見の展開が予想されるほか、状況によっては大きく変動する可能性もあるため、引き続き暗号資産市場と株式市場の動向は注視した方がいいだろう。(提供:月刊暗号資産