本記事は、本橋亜土氏の著書『ありふれた言葉が武器になる 伝え方の法則』(かんき出版)の中から一部を抜粋・編集しています

SNSや資料作成で活躍!相手に負担をかけない文字使い

SNS,文字
(画像=bee/PIXTA)

岐阜県各務原市
岐阜・各務原市

突然ですが、どちらが読みやすいですか?

断然、「岐阜・各務原市」ですよね。

実はこの表記、テレビのテロップで使われているものです。テレビのテロップは、多くの場合3秒程度しか映し出されません。さらに、他のテロップや、ナレーション、コメントなどの音声も重なるなど情報が多いため、瞬時に認識してもらわなければなりません。

「ん? 読みづらいな」と思われた時点で、視聴者はそれが気になってしまい、情報が伝わりにくくなってしまいます。番組のテロップは、そこまでこだわって入れられているのです。

先ほど、ユーチューブの動画は観ていて疲れるものが多いとお伝えしましたが、その原因の1つに、出演者の発言が一言一句すべてテキスト化されていることが挙げられます。これは、電車内などで音声なしで視聴する人への配慮だと思いますが、相手の文字を読むスピードや心理を無視したテキストは、観る人の頭を混乱させ疲れさせてしまうのです。

コミュニケーションの手段は会話だけではありません。特にツイッターなどのSNSや、LINEのようなチャットサービスが日常のやりとりの中心になった現代では、テキストにちょっとした工夫をするだけで大きな差をつけることができます。投稿をスルーされることが劇的に減るのです。

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(画像=『ありふれた言葉が武器になる 伝え方の法則』より)

これは、プレゼン資料や報告書の作成などビジネスシーンでも同じです。

当然ですが、テキストで情報を伝える際に重要なのは「読みやすさ」です。

特に気をつけるべきなのは、「平仮名が続いているとき」と「漢字が続いているとき」です。そんなときテレビ業界で使われているのが、

法則 ビジュアル的「区切り」をつける

という方法です。実は今、ちょうどこの法則を使いました。

ビジュアル的区切りをつける

ビジュアル的「区切り」をつける

何もない状態で読むと「的区切」という漢字3文字が連続し非常に読みづらいですが、そこにただ「」をつけるだけで、格段に読みやすくなります。

私たちは、テキストを1文字ずつ読んでいるわけではありません。「大統領」や「緊張感」など、1つの単語を1つの塊として読んでいます。ですから、同じ漢字3文字でも、1つの単語として認識している言葉は問題ないのですが、「的区切」のような見慣れない並びを見ると一瞬混乱してしまいます。

特にSNSのようなスクロールしながら読まれるメディアの場合、よくわからないテキストはどんどんスルーされてしまいます。

それを防ぐためのテクニックがビジュアル的「区切り」。テレビだけでなく、文字数に制約があるネットニュースの見出しなどにも使われています。

東証一時900円超下落

東証、一時900円超下落

※「ヤフーニュース」の見出し(2021年2月26日)

どちらの見出しが読みやすいか、一目瞭然ですよね。

このように「」ではなく「、(読点)」もビジュアル的「区切り」として活用することができます。

この他、テレビ番組のテロップでは、色やフォントを変えてビジュアル的「区切り」をつけていますが、SNSやメールなど、それが叶わない場面は意外と多いものです。

ひらがなが続く場合は、適度に漢字に変換して、読みやすくするのもいいでしょう。他にも、こんなビジュアル的「区切り」をつけて見やすくしていくことができます。

  • 「!」を意識的につける
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  • 区切りをつけたくないときは、下線を引く
    ビジュアル的区切りがあなたのものに
    ビジュアル的区切りがあなたのものに

  • 「・」やスペースを入れて漢字が続くのを回避する
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    岐阜・各務原市  中日監督 開幕指名を「封印」
    ※「ヤフーニュース」の見出し(2021年2月26日)

テレビに限らず、各メディアはこうした工夫をすることで、発信した情報がスルーされるのを防ぐ努力をしています。

あなたもぜひ、テキストで伝える際は、相手にパキッと分かりやすくイメージしてもらうことを念頭にひと工夫してみてください。

ありふれた言葉が武器になる 伝え方の法則
本橋亜土(もとはし・あど)
1978年生まれ。番組制作会社スピンホイスト代表取締役。大学卒業後、バラエティ番組専門の制作会社を経て、ドキュメンタリーを制作するフォーティーズに入社。同社代表で、日本ドキュメンタリー界の巨匠である東正紀氏に師事する。その後、複数の制作会社でディレクターとして「王様のブランチ」(TBS)「行列のできる法律相談所」「嵐にしやがれ」「しゃべくり007」(全て日本テレビ)など、複数の人気情報・バラエティ番組を制作する。その後、プロデューサーを経て2017年に独立し、株式会社スピンホイストを設立。「ニンゲン観察バラエティモニタリング」「バース・デイ」(ともにTBS)「それって!? 実際どうなの課」(中京テレビ)などの番組を制作。一方、独立時に本書の元となった、テレビ業界の「伝え方の勝ちパターン」を体系化し、そのノウハウを使った企業PR動画の制作業務をスタート。「テレビの手法を活かした完成度の高い動画が作れる」と評判を呼び、住友林業、新日本製薬、マルコメなど、数多くの企業から依頼が舞い込んでいる。

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