内山 瑛
内山 瑛(うちやま・あきら)
公認会計士。名古屋大学法学部在学中に、公認会計士試験に合格。新日本有限責任監査法人に入所し、会計監査・コンサルティング業務を中心に研鑽を積む。2014年に同法人を退所し、独立。「お客様の成長のよきパートナーとなる」ことをモットーに、記帳代行・税務申告にとどまらず、お客様に総合的なサービスを提供している。近年は、銀行評価を向上させる財務コンサルティングや内部統制構築支援、内部監査の導入支援にも力を入れている。

自己資本比率というものをご存じだろうか。会社を経営している方であれば、銀行融資について検討している際に、自己資本比率が高いとか、低いとかいう話をきいたことがあるかもしれない。今回は、企業の財務分析の基本である自己資本比率についての話を中心に、他にもさまざまな指標について紹介する。

目次

  1. 自己資本比率でわかることは何か
    1. 自己資本と他人資本
    2. 十分な自己資本比率とは
  2. 自己資本比率のチェックポイント
  3. 自己資本比率を高めるための3つの方策
    1. 1.利益を自己資本に回す
    2. 2.遊休資産の売却
    3. 3.役員借入金を資本金へ
  4. 自己資本比率の計算方法
  5. 自己資本比率の高い会社の例
    1. 株式会社キーエンス
    2. 株式会社しまむら
    3. ファナック株式会社
  6. 自己資本比率以外の重要な財務指標
    1. 流動比率
    2. 当座比率
    3. インタレスト・カバレッジ・レシオ
  7. 自己資本比率とともに他の指標もチェック
  8. 自己資本比率に関するQ&A
    1. Q.自己資本比率から何がわかる?
    2. Q.自己資本比率の計算方法を教えて
    3. Q.自己資本比率が高いことのメリットは?
    4. Q.自己資本比率を高める方法は?
    5. Q.自己資本比率を見る際の注意点は?
キーエンスやしまむらからみる、自己資本比率を高める3つの方法とは
(画像=memyjo/stock.adobe.com)

自己資本比率でわかることは何か

自己資本比率は、一般に、企業の安全性の指標として活用される。自己資本比率は、すべての資産に対する自己資本の割合であり、自己資本比率が高いほど安全性が高いと言われる理由は、その性質に依存する。

自己資本と他人資本

会社の資本は、自己資本と他人資本に大別される。自己資本は、一般に返済不要の資金とされ、利益が出ている場合には配当を求められる場合もあるが、そうでない場合や特に中小企業の場合には、キャッシュアウトを生まないことが通常である。

逆に他人資本は、返済が必要な資金と言われる。典型的なものが金融機関からの借入だ。定期的な利息の支払とともに、元本の返済も求められ、キャッシュアウトを生むことになる。

自己資本比率が高い場合は、将来のキャッシュアウトが小さいことを示している。その状態は、より安全性が高いことになり、経営が安定していくと推測される。

十分な自己資本比率とは

では、どの程度の自己資本比率があれば、十分なのだろうか。一般に、自己資本比率が70%以上であれば理想的な状態、40%以上であれば一応安全な企業であるといえる。金融機関の借入の査定上も、自己資本比率が50%を超えていれば、安全な会社と判断される可能性が高まる。

仮に、自己資本比率がマイナスであれば、数年以内にその状態を解消できるような合理的な計画を立案しなければ、融資を受けることもままならないであろう。そのため、可能であれば自己資本比率50%以上を維持し、最低でもマイナスに陥るのは避けたいところである。