京都議定書が採択された背景と経緯

京都議定書が採択されたきっかけは、1992年にブラジルで開催されたリオ・サミット(地球サミット)だ。このサミットでは、地球上の温室効果ガスの濃度を安定させることを目的として、「国連気候変動枠組条約」が採択された。

しかし、この条約では各国の一般的な義務を定めるのみに留まり、拘束力のある具体的な取り組みを決めるまでには至らなかった。そこで、1997年の気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)において新たに採択されたものが、まさに京都議定書である。

京都議定書の意義

1997年に採択された京都議定書では、「各国の具体的な目標(※詳しくは後述)」が設定された。京都議定書は国際的な環境対策としての大きな一歩であり、この条約の採択をきっかけとして先進国が本格的に温室効果ガスの削減に取り組み始めた。

では、リオ・サミットをきっかけとして国際社会がどのように動き始めたのか、京都議定書以降の動きも含めて簡単に紹介していこう。

○リオ・サミットからパリ協定までの国際的な動向

京都議定書とは?

この年表を見ると分かるように、気候変動に関する世界的な会議は何回も開催されているが、2000年代に入ってからの国際的な環境対策は停滞しつつあった。特にCOP6での交渉決裂や、京都議定書からアメリカが離脱した出来事は、各国の環境対策を停滞させる深刻な要因になってしまう。

しかし、2015年に開催されたCOP21によって、国際的な環境対策の風向きは大きく変わっていった。

パリ協定とは? COP21で採択されたこと

2015年に採択されたパリ協定では、2020年以降の環境対策への具体的な取り組みが定められた。また、目標の達成を目指すべき国として、発展途上国が新たに追加された点もしっかりと押さえておきたいポイントだ。

ただし、第二約束期間と呼ばれる2013~2020年の環境対策については、パリ協定においても具体的な取り組みが定められなかった。とは言うものの、これまで停滞気味であった国際的な環境対策が動き出すきっかけとなったため、パリ協定は世界各国にとって意義のある協定となった。

経営者が押さえておきたい京都議定書やパリ協定の達成目標

ここまで解説したように、国際的な環境対策に大きな影響を与えたのは「京都議定書」と「パリ協定」の2つだ。これらの条約・協定では、どのような取り決めがされているのだろうか。

○京都議定書とパリ協定の達成目標

京都議定書とは?

上記のほか、京都議定書・パリ協定では削減対象となる温室効果ガスが明記されている。

○削減対象の温室効果ガス(京都議定書・パリ協定)
・二酸化炭素
・メタン
・一酸化二窒素
・ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)
・パーフルオロカーボン類(PFCS)
・六フッ化硫黄(SF6)

なお、京都議定書では世界的な削減目標が設定されているが、各国の目標値も個別に設定されている。例えば、日本は第一約束期間に6.0%の削減、EUは8.0%の削減目標を掲げた(※いずれも1990年比)。