京都議定書の内容を理解し環境問題を少しずつ意識しよう
京都議定書は一昔前の枠組みであるものの、その後の国際社会に大きな影響を与えている。特に2015年には新たな目標としてパリ協定が採択されたため、環境問題への意識は世界的により一層強まるはずだ。
本記事の最後で解説したように、環境対策が企業評価によりつながっていく時代も近いうちに訪れるので、これまで自社の成長のみに目を向けてきた企業は、環境問題への取り組み方も少しずつ意識していこう。
京都議定書のよくある質問集
近年における環境意識への高まりは、京都議定書やパリ協定と深く関わっている。世界の動向をしっかりと理解するには、1990年代からの流れを追う必要があるだろう。
ここからは京都議定書のよくある質問集をまとめたので、パリ協定やSDGs、ESG投資との関係性を意識しながら確認してほしい。
Q1.京都議定書とパリ協定の違いは?
1997年に採択された京都議定書では、先進国のみを対象に温室効果ガスの削減目標が示された。一方、2015年のパリ協定ではすべての締約国が対象に含まれており、途上国にも削減目標の策定・提出の義務が定められた。
また、京都議定書は2020年までの枠組みであるのに対し、パリ協定では2020年以降の削減目標が掲げられている。
Q2.京都議定書の第一期間と第二期間は?
京都議定書の目標達成期間は、「第一期間」と「第二期間」に分けられている。
第一期間は2008年~2012年であり、日本は1990年比で温室効果ガスの-6%削減を目標として掲げた。一方で、2013年~2020年の第二期間にはEUなどが削減目標を掲げたが、日本や米国、カナダなどは参加していない。
Q3.京都議定書はなんのために策定された?
京都議定書は、温室効果ガスによって引き起こされる地球温暖化を防止する目的で策定された。
内容としては、先進国における温室効果ガスの削減目標が定められており、第一期間(2008年~2012年)には日本も参加している。第一期間では、先進国全体の総排出量が95%以下(1990年比)となるように、各国の目標値が設定された。
Q4.日本が京都議定書から離脱したのはなぜ?
日本は京都議定書の第一期間目標を達成しているが、第二期間(2013年~2020年)には参加していない。その理由は、米国や中国をはじめとする主要経済国の不参加と言われている。
主要経済国が参加しないまま削減目標を設定すると、不公平かつ効果的ではない枠組みが固定化されてしまう可能性がある。日本はこの点を懸念し、2013年以降は京都議定書から離脱する形となった。
Q5.京都議定書は今どうなっている?
第二期間(2013年~2020年)が終了して以降、京都議定書の効力は失われており、2015年に採択されたパリ協定へと引き継がれている。
パリ協定は2020年以降の目標を定めたものであり、京都議定書には参加していなかった途上国も批准する形となった。温室効果ガスの削減目標は国ごとに設定されており、日本は2030年度までに26%の削減(2013年度比)を目指している。
Q6.京都議定書の特徴は?具体的な取り組みを知りたい
1997年に採択された京都議定書は、世界各国における温室効果ガスの削減目標を定めた枠組みである。目標値には法的拘束力があり、日本は2012年までに6%の削減(1990年比)を約束した。
なお、京都議定書の目標期間には「第一期間」と「第二期間」があるが、日本や米国は第二期間に参加していない。
Q7.パリ協定のデメリットは?
パリ協定における温室効果ガスの削減目標は、その実現可能性が疑問視されている。
多くの先進国は「2℃目標(※)」を掲げているが、世界の経済成長を維持したままこの目標を達成することは難しい。実態と目標のギャップを埋めるには、温室効果ガスを劇的に減らすようなイノベーションが必要とされている。
(※)産業革命前と比べて、地球の平均気温上昇を2℃未満に抑える目標のこと。
Q8.アメリカはなぜパリ協定から離脱した?
米国は2017年のトランプ政権時に、パリ協定からの離脱を表明している。
当時の政権によると、パリ協定は米国民に大きな負担を強いるものであり、工場閉鎖や雇用喪失などを引き起こすリスクがあった。この懸念により米国はパリ協定から一時離脱したが、2021年のバイデン政権時(2021年)には復帰手続きを行っている。