今年も固定資産税および都市計画税の納付書が届く時期になった。要件を満たすと、資産を持っているだけで税金が課されるーー。考えてみれば、固定資産税・都市計画税は不思議な税金だ。1億円を銀行預金で保有していれば課税されないのに、それを不動産に替えた途端、課税対象となる。

東京主税局は、「令和3年度(2021年度)固定資産税・都市計画税の納税通知書は、6月1日に発送する」と公表している。東京の富裕層たちにとって、6月が嫌な季節なのは梅雨のせいだけではないだろう。今回はそんな固定資産税・都市計画税について見ていこう。

固定資産税
(画像=gukodo/stock.adobe.com)

固定資産税・都市計画税とは 誰に納税義務があるのか

まず、固定資産税・都市計画税とは何か。

固定資産税とは、毎年1月1日(賦課期日)現在の土地、家屋及び償却資産(これらを「固定資産」と呼ぶ)の所有者に対し、その固定資産の価格をもとに算定される税金のことだ。基本的には市町村が課税するが、東京都23区内においては、特例で都が課税をすることになっている。

毎年1月1日の時点で固定資産課税台帳に登録されている人が納税義務者となる。例えば2021年3月に不動産を購入した人は、令和3年度(2021年度)の固定資産税を払う必要はない。税率は1.4%だ。

都市計画税とは、都市計画事業または土地区画整理事業に要する費用に充てるために、目的税として課税されるものだ。課税の対象となる資産は、都市計画法による都市計画区域のうち、原則として市街化区域内に所在する土地及び家屋だ。

固定資産税と異なり、償却資産は課税の対象にはならない。こちらも毎年1月1日の時点で固定資産課税台帳に登録されている人が納税義務者となる。東京23区内の税率は0.3%だ。都市計画税は固定資産税と合わせて納付することになっている。

なお、償却資産とは、土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産で、その減価償却額(費)が法人税法または所得税法の規定による所得の計算上、損金または必要な経費に算入されるものを指す。具体的には、舗装路面、門・塀・緑化施設等の外構工事、クレーン等建設機械、ボート、飛行機、大型特殊自動車、パソコンなどを指す(これらはほんの一部であり、償却資産の範囲は広い)。

固定資産税は自治体の「言い値」を鵜呑みにしてはいけない?

固定資産税の納付時期は各地域によって異なるが、原則として4〜6月に納付書が配送される。東京都は前述のように、6月1日に発送されている。1年分を一括で納めることもできるが、1期(3ヵ月分)ごとの納付も可能だ。

固定資産税は、対象となる資産の「適正な時価」を課税標準として課税される。そのため、本来であれば毎年新しい評価を行うべきだが、膨大な量の土地、家屋について毎年度評価を見直すことは実務的に難しい。そこで原則として、3年ごとに評価額を見直す制度が採用されている。この3年ごとに評価額を適切に見直すことを「評価替え」という。

実は、令和3年度(2021年度)は、評価替えの年度(基準年度)にあたる。固定資産課税台帳に登録された価格(評価額)について不服があるときは、固定資産評価審査委員会に対して審査の申出をすることができる。しかし、原則として基準年度以外の年度で審査の申出をすることはできない。したがって、今年は例年以上に課税明細書や納付書をよく確認することが重要だ。

残念なことに、自治体が金額の計算を誤って、本来より過大な税金を徴収してしまうことがある。大阪府泉大津市は2020年9月、住宅用地とすべきところを非住宅用地としたことにより、税額を過大に課税していたと発表した。その数14件、金額にすると1,000万円以上の過大徴収だ。このようなミスは全国で度々報告されている。

自治体側の不手際が原因ではあるが、納税者側も自治体の「言い値」を鵜呑みにせず、しっかりと内容を確認して、自衛することが重要だろう。

「固定資産税・都市計画税課税明細書」のチェックポイント