ジニ係数は絶対的な指標ではない? 批判的な見方も

ジニ係数は一般的に広く利用されているものの、実は所得格差を示す絶対的な指標ではない。世帯数と所得の累積比をもとにした指標であるため、算出される結果はどうしても相対的な値になってしまうのだ。

その影響で、実際に所得格差が開いているケースであっても、同比率で所得が変化した場合にはジニ係数が変わらないといった事態が起こり得る。「格差を正確に測定できない」といった懸念の声も聞かれるので、ジニ係数はあくまで目安のひとつとして参考にしておきたい。

ちなみに、所得を再分配すればジニ係数は低下していくが、超高齢社会が到来した日本においては、高齢者の社会保障が充実する代わりに若者の負担が増えていく。所得再分配は当初所得ジニ係数を下げるひとつの対策に過ぎないため、本当の意味で所得格差を減らしたいのであれば、別の観点から対策を進めることが必要になるだろう。

現状が続けば、国民生活や企業活動に弊害が生じる恐れも

ジニ係数の推移を見ると分かるように、日本の所得格差は徐々に広がっている。この状態が続けば、SDGsの目標達成が難しくなることはもちろん、国民の生活に大きな弊害が生じてくる恐れもあるだろう。

ひいては、企業活動に悪影響が及ぶ可能性も十分に考えられるため、世の中の経営者は引き続きジニ係数の推移や世の中の実情をチェックしておきたい。

著:片山 雄平
1988年生まれのフリーライター兼編集者。2012年からフリーライターとして活動し、2015年には編集者として株式会社YOSCAに参画。金融やビジネス、資産運用系のジャンルを中心に、5,000本以上の執筆・編集経験を持つ。他にも中小企業への取材や他ライターのディレクション等、様々な形でコンテンツ制作に携わっている。

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