老後に向けて、資産を整理したいと考える人もいることだろう。この記事では、「持つこと」と「借りること」のメリット・デメリット・リスクをあらためて解説する。また、代表的な資産をとりあげて「持つこと」「借りること」の判断基準を紹介するので、ぜひ参考にしてほしい。

持つべき、借りるべき論争とは ?

老後資産の断捨離計画 持つべき、借りるべき ?
(画像=Monet / stock.adobe.com)

「持ち家か、賃貸か」を代表とする、持つべきor借りるべき論争。人生において「持つか、借りるか」の選択を迫られることも多いのではないだろうか。

所有が価値を生むこともあれば、逆に重荷になることもある。借りることには身軽さなどメリットもあるが、デメリットやリスクもある。

大切なのは、自分に合った「持つか、借りるか」の選択をし、ライフステージに応じて見直していくことだ。

「持つこと」のメリット・デメリット・リスク

まず、「持つこと」のメリット・デメリットとリスクを整理してみよう。

●「持つこと」のメリット

「持つこと」のメリットは、所有する安心感だろう。「自分のもの」という安心感は、目には見えなくとも大きな価値を持つ。「持つこと」によって愛着がわき、長く大切にできる側面もあるだろう。

また、自分好みに変えられるという点も魅力だ。賃貸と比べ、持ち家ならリノベーションやDIYの自由度が高い。車も、所有していれば好きなようにカスタマイズできる。所有によって「好き」を追求できるのが、「持つこと」のメリットである。

●「持つこと」のデメリット

「持つこと」のデメリットは、メンテナンスの手間がかかることにある。

持ち家だと、掃除やメンテナンスを小まめに行うとともに、必要に応じて専門家に点検を依頼したり、リフォームしたりする必要がある。車も洗車したり車検に出したりと、何かと手間がかかる。

手間に加えて、金銭的コストもかかる。持ち家だと固定資産税等の負担が発生する。また、一戸建てなら外壁塗装やシロアリ工事などにもまとまったお金が必要だ。

また、ライフプランの変更に対応しにくくなるのもデメリットだといえる。持ち家の場合、勤務地が変わったり転職したりしても、簡単に手放したり住む場所を変えられない。

●「持つこと」によるリスク

「持つこと」の最大のリスクは火災や地震、津波などの災害だ。災害によって資産が失われれば、資産の価値はゼロになる。

リスクを正しく認識し、保険などを活用して備えておきたい。

「借りること」のメリット・デメリット・リスク

続いて、「借りること」のメリット・デメリットとリスクを整理してみよう。

●「借りること」のメリット

「借りること」のメリットは、身軽さにあるだろう。賃貸なら、転勤や転職に伴う引っ越しなどにも迅速に対応できる。いつでも住む場所を変更できるのは、賃貸ならではの魅力だ。車についても、必要なときに必要なだけ乗って、要らなくなったら解約すればいい。

また、管理やメンテナンスが楽なのもメリットだ。賃貸なら、住んでいる間にトラブルが起きても、管理会社や大家さんに連絡すれば解決してもらえることが多い。修繕費用やリフォーム費用を自分で負担したり、そのために積み立てたりする必要もない。

車も、洗車や車検の必要がない。自動車税や自動車保険料がかからないため、金銭的にも負担が軽くなる。

●「借りること」のデメリット

「借りること」のデメリットは、自分好みに改変できない点だ。住んでいても乗っていても、あくまでも「借りている」という意識が必要になる。

また、収入が途絶えたとき、資産が手元に残らないのもデメリットである。長年家賃を支払い続けたとしても、家賃が支払えなくなれば、当然ながら住み続けることはできない。

お金の巡りがいいときは「借りること」のメリットを最大限享受できるが、収入が途絶えた途端にデメリットに直面することになる。

●「借りること」によるリスク

「借りること」のリスクは、年齢によって「借りること」が不可能になるケースがあることだ。例えば、一定年齢を超えると賃貸契約が決まりにくくなることも多い。

年齢に応じて「借りること」のリスクに注目し、対策しておきたい。

持つか、借りるか ? 資産別に考え方を整理

「持つこと」と「借りること」のメリット・デメリット・リスクを踏まえた上で、どのような判断基準で持つか借りるかを決めればいいのか。続いては、代表的な資産である家と車をとりあげ、「持つこと」「借りること」の判断基準を整理していく。

●家

現役で仕事をしているうちは、賃貸契約でも不都合を感じることは少ないかもしれない。場所に縛られず、いつでも引越しができるという点で、メリットを感じる人も多いだろう。

しかし、年齢によっては、新しく賃貸契約を結んだり、賃貸契約を更新したりするのが難しくなるケースがある。このようなリスクを考慮し、「借りること」から「持つこと」に切り替えるのも1つの選択肢だ。

定年退職後にマイホームを購入すれば、賃貸契約にまつわる不安が解消され、第二の人生を心置きなく楽しめるだろう。

●車

車を「持つこと」から「借りること」に切り替えるという選択肢もある。車というと、旅先でレンタカーを利用する場合などを除き、購入して所有するイメージを持っている人も多いだろう。

しかし、今はカーシェアリングという選択肢もある。カーシェアリングとは、毎月一定の会費を支払うことで、利用したい日時に車を利用できるサービスだ。普段は自宅近くの駐車場の車を選ぶと便利だろう。また、旅先などで車を利用したいときにも重宝する。

定年退職後に所有している車を売却し、カーシェアリングに切り替えれば、利用頻度の変化に柔軟に対応できるだろう。また、メンテナンスの手間がなくなり、維持費削減の効果も期待できる。

希望するセカンドライフを明確に

「持つこと」と「借りること」にはそれぞれのメリット・デメリット・リスクがある。どちらが正解というわけではない。大切なのは、自分がどんなセカンドライフを送りたいのかを想像し、資産を整理していくことだ。

子ども世帯と同居する予定があるのか、施設への入居も検討したいのか、日常生活に車が必要な地域か、旅行では車と電車どちらが好きか。そのような点を1つずつクリアにし、自分に合った選択をすることが大切だ。

(提供:大和ネクスト銀行


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