EBITDAを活用する4つのメリット

EBITDAを活用するメリットを4つ紹介する。

メリット1.国や借入金の影響を除ける

税金や支払利息は国によって変化し、支払利息は借入資金によっても変わってくる。

多くの設備投資が必要な事業だったり、創業から間がなく借入金の残高が大きかったりすると、事業が順調でも数字で劣ってしまいかねない。支払利息は返済が進めば自然と減少するため、通年で利益を比較する場合、支払利息の影響でブレが発生してしまう。

このような点を加味して、EBITDAの計算式では、まず税引前当期純利益に支払利息を足す。こうすることで、借入金の影響を除いて純粋に企業のお金を稼ぐ力を判断できる

メリット2.設備投資の影響を除ける

減価償却費とは、固定資産の購入価格を毎年少しずつ経費計上していくための勘定科目だ。減価償却費は、採用している計算方法にもよるが、期ごとに増減する。新しく設備投資をすれば増えるし、償却が終われば減っていく。また、定率法という計算方法を採用している場合、設備投資から時間が経つと自然に減価償却費も減少する。

つまり減価償却費が高くても、その年にたくさん出費があったとは限らない。減価償却費を差し引くと利益は赤字だが、実際にはキャッシュがしっかり残っているケースは多々ある。事業の特性上、設備投資額が大きければ、それだけ減価償却費がふくらむ。中古資産がある場合も、減価償却費が跳ね上がる要因になりえる。

このような点を踏まえると、減価償却費を足すことで、キャッシュベースで得られた利益を知る参考になる。設備投資の影響も排除しやすくなるだろう。

メリット3.M&Aの指標にできる

EBITDAという言葉は、M&Aにおいて頻繁に用いられる。それもそのはず、EBITDAはM&Aの意思決定や企業の売却価格の決定において重要な指標となるからだ。

EBITDAは、企業のお金を稼ぐ力を表す。買い手にとってM&Aを実行するときの判断基準になり、売り手はEBITDAの数値を根拠として自社の魅力をアピールできる。

M&Aにおける企業の売却価格は、計算方法が指定されているわけではない。目安としていくつかの計算方法はあるが、結局のところは買い手と売り手の交渉で売却価格が決まる。そのため、売り手はEBITDAで企業の魅力をうまく伝えれば、売却価格を上げることも可能だろう。買い手にとっては投資となるため、EBITDAが価値を見極める指標となる。

メリット4.国際比較が可能となる

EBITDAは世界で通用する指標だ。EBITDAでは、税率や会計基準をはじめ、各国で違いのある項目があらかじめ計算式で排除されている。そのため、国ごとの影響を除いてグローバルな企業比較が可能となる。

たとえば、海外企業との取引や、海外企業への投資を考える際にも、同一条件で「企業のお金を稼ぐ力」を比較できる。