株式投資において、リスク分散は非常に重要だ。コロナ禍が拡大する中でも米国市場や日本市場では株価が安定しているが、だからといって先進国投資一辺倒では心もとない。より堅実なポートフォリオを組むためには、新興国投資も検討したい。

目次

  1. 自身のポートフォリオに新興国株式を加える意味
  2. 新興国市場は堅調に成長、いよいよ本格的な上昇フェーズに
  3. 新興国投資において依然注目度が高い「中国」
    1. 2030年までに中国は世界最大の経済大国に
    2. ブラジルやロシア、インドも投資先として有力
  4. 新興国投資への注意点:ボラティリティは高め
  5. リスクを分散するためにも新興国投資を検討しよう

自身のポートフォリオに新興国株式を加える意味

2020年は世界で新型コロナウイルスの感染が拡大したが、2020年後半はアメリカと日本の株式マーケットが上昇トレンドに入った。2021年に入って上昇はひと段落したが、他の国々と比較すると安定感は群を抜いている。

2020年後半から現在までの日米の株式マーケットの推移を見て、日本株や米国株への投資に魅力を感じる人は多いはずだ。日米市場の主要株価指数の騰落率は、以下のとおりだ。

<日米市場の主要な株価指数の騰落率>

株価指数 半年前からの騰落率 1年前からの騰落率
ダウ平均株価 +12.15% +30.01%
S&P500指数 +13.91% +33.07%
日経平均株価 -3.53% +21.59%
東証株価指数(TOPIX) +2.63% +20.77%

それでも、「先進国投資一辺倒」というのはリスクが高い。特に株価の上昇が過熱気味の時は、暴落の可能性も高まる。

個人投資家は市場の値動きの分析にかけられる時間が限られている。その意味でも、自身のポートフォリオに新興国株式などを加えることは、リスク分散として有効だ。

新興国市場は堅調に成長、いよいよ本格的な上昇フェーズに

新興国に投資することはリスク分散としても有効だが、新興国投資そのものにも魅力がある。「経済の成長余地」は、先進国より新興国のほうが大きく、経済成長とともに株価の上昇が中長期的に続く可能性があるからだ。

現在、新興国の株価はどうなっているのだろうか。それを探るための材料となるのが、新興国株式で組成された上場投資信託(ETF)の値動きだ。

例えば、新興国の大型および中型株式で構成される「iShares MSCI Emerging Markets ETF」(ティッカーシンボル:EEM)は、ここ半年はもみ合いが続いているが、直近1年で+23.71%、直近5年では+48.99%となっており、2005年の年初と比べれば140%近く上昇している。

米国市場の伸び率には及ばないが、逆の見方をすれば「新興国市場が本格的に上昇するのはこれから」とも考えられる。

株式投資で利益を得るためには「安く買う」ことが重要であり、割安な銘柄が多い新興国市場はまさに狙い目といえる。

新興国投資において依然注目度が高い「中国」

2030年までに中国は世界最大の経済大国に

これまで中国は、GDP(国内総生産)ベースで2033年にアメリカを抜き、世界最大の経済大国になるといわれていた。しかし、イギリスのシンクタンク「経済ビジネス・リサーチ・センター(CEBR)」が2020年12月に公表した報告書では、その予測よりも5年早い2028年に中国がGDPベースで首位に踊り出ると指摘している。

2021年3月に北京で開かれたシンポジウムで、北京大学の新構造経済研究所の所長であり中国の著名な経済学者の林毅夫氏も、年率5〜6%の経済成長を遂げていけば、2030年には中国が世界最大の経済大国になると予想している。

中長期的な視点では、今はまさに中国が世界一の経済大国になる「前夜」であり、絶好の投資タイミングといえるのではないだろうか。

ブラジルやロシア、インドも投資先として有力

中国には敵わないかもしれないが、ブラジルやロシア、インドも新興国投資における投資先として有力であることは間違いない。

中南米の経済大国であるブラジルでは、現政権が財政再建や公営企業の民営化、自由貿易の推進などを積極的に進めている。このような政策によって投資環境が改善すれば、外資の流入によって経済成長のスピードが加速するだろう。

ロシアでは、2020年の国民投票によってプーチン大統領が2036年まで続投可能になり、しばらくは政権移行による混乱が起こらないと考えられている。政情・政局の安定は新興国投資では重要なポイントであり、投資マネーがロシアに集まりやすくなる。

インドも高成長が期待できる「人口ボーナス期」が続き、生産年齢人口は中長期的に増え続けるだろう。2030年には、世界の生産年齢人口に占めるインドの割合が約2割になるという予想もある。

新興国投資への注意点:ボラティリティは高め

ただし、新興国投資においては注意すべき点もある。その一つが「ボラティリティ」(相場変動率)が高めであることだ。

新興国は先進国に比べて政治基盤や金融規制などが脆弱であるため、社会不安や金融不安が起こりやすい。例えば、2021年2月にミャンマーで軍事クーデターが突然起こったことは記憶に新しい。

そのため、新興国に投資をする際は投資先の国の情報にアンテナを立てておくことも重要だ。

リスクを分散するためにも新興国投資を検討しよう

この記事では、主に「新興国投資をすべきかどうか」について解説した。特に中国は、2030年までに世界最大の経済大国になると予想されている。

現在は新型コロナウイルスの感染拡大と収束の状況を見極めなければならない時期だが、長期投資を考えているのであれば、リスク分散の上でも新興国投資も検討したいところだ。

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