インターネットショッピングモールなどでおなじみの「楽天グループ」。同グループ会社の中には、ネット証券会社の「楽天証券」もある。楽天証券は、どのような特徴がある証券会社だろうか。今回は、手数料の面にスポットをあてて解説していく。利用する際のメリット・デメリットも確認しておこう。
楽天証券とは?
楽天証券は、大手ネット証券会社の一つである。2021年5月には、口座数が600万口座に到達し勢いに乗っているネット証券会社だ。楽天証券の主な特徴は、以下のとおり。
・手数料が業界最低水準
・国内外株式だけでなく投資信託やFX、金・プラチナなど取扱商品の種類が豊富
・楽天ポイントがたまる
・証券総合口座と楽天銀行との連動が可能。優遇金利の適用も
この中でも注目したいのが手数料だ。次章以降で一般的な証券会社の手数料や、楽天証券の手数料コースについて解説する。
証券会社の「手数料」にはどんな種類がある?
証券会社が徴収する手数料には、以下のものがある。
・売買委託手数料
・入出金手数料
・口座管理料
1.売買委託手数料
株式や投資信託など金融商品を売買するときは、証券会社に委託する。その際、証券会社に支払うのが売買委託手数料だ。手数料率は証券会社が自由に設定でき、同じ証券会社内でも取引金額の多さや回数、取引ツール(インターネット取引・電話取引等)などで手数料率に差をつけているところもある。取引口座を開設する際は、各社見比べておくことが大切だ。
ちなみに証券会社のタイプごとに以下の違いがある場合が多い。
証券会社 | 手数料 | 特徴 |
---|---|---|
ネット証券会社 | 低い | ・口座開設、取引などはネットを通じて行う ・サポートはメールやコールセンターのみ |
店舗型証券会社 | 高い | ・街中に店舗があり対面で相談可能 ・口座開設、取引は対面手続き・ネット手続きから選択可能な場合も多い |
手数料の安さを求めているのであれば、ネット証券会社を中心に検討することをおすすめしたい。
2.入出金手数料
証券取引をする場合は、証券総合口座へ資金が入っている必要がある。証券総合口座への入金は、銀行からの振り込みで行ったり、リアルタイム入金などネットから行ったりすることが一般的だ。その際、入出金手数料がかかる会社とかからない会社がある点に注目しておきたい。取引コストを抑えたい場合は、入出金手数料無料の会社を選ぶのが賢明だ。
ただし無料となっていても、「指定銀行との入出金の場合だけ手数料無料」といった条件が付く場合もあるため注意しておきたい。
なお入出金手数料無料の証券会社の中で比較する場合は、入金手続きから入金の反映のスピードも確認しておこう。できれば「即時反映」となっているところがベストで、入金手続きをすればすぐに取引ができるようなる。その他「ワンクリック入金」など入金手続きのしやすさもチェックしておきたいポイントだ。
3.口座管理料
開設した口座の管理料が必要な証券会社もある。コストを抑えるためには口座管理料無料のところを選ぼう。ただし「預かり資産評価額が〇万円以上の顧客に限る」など条件付きで無料になっている会社もある。この点も要チェックだ。
ネット証券会社の手数料が低いワケは?
証券会社のタイプは、大きく分けて「店舗型証券会社」と「ネット証券会社」の2つ。手数料は「ネット証券会社」のほうが低い傾向だ。ネット証券会社の手数料が低い理由はどこにあるのだろうか。
・1.すべての手続きを自分で行うから
店舗型証券会社の場合、口座開設など各種手続きは店舗で行えるようになっている。不明点があれば目の前で確認ができるのだ。しかしネット証券会社ではパソコンやスマホを使い自分で手続きを行わないといけない。不明点があった場合は、メールやコールセンター経由で相談し解決しないといけないのだ。また店舗型証券会社の場合、アドバイザーがおすすめ銘柄の紹介や売買のタイミングなどアドバイスをしてくれるがネット証券会社では自分で考えることが必要だ。
・2.店舗がなく家賃等のコストがかからないから
店舗型証券会社は、各都道府県の街中に支店を設置しているため、家賃コストおよび人員コストがかかる。しかしネット証券会社には店舗がなく、家賃コストがほとんどかからない。ネット証券会社は、その分運営コストが低く抑えられるため、手数料を下げることができるのだ。
楽天証券でかかる手数料を紹介
楽天証券の手数料コースには「超割コース」「いちにち定額コース」の2つがある。それぞれの違いを見ていこう。
超割コースの概要と手数料
超割コースの特徴を紹介する。
・国内株取引手数料業界最低水準
まずは、超割コースの手数料一覧を見てみよう。
※現物株取引手数料
取引金額 | 手数料 |
---|---|
~5万円 | 55円 |
10万円まで | 99円 |
20万円まで | 115円 |
50万円まで | 275円 |
100万円まで | 535円 |
150万円まで | 640円 |
3000万円まで | 1013円 |
3000万円超 | 1070円 |
5万円までの取引であれば手数料は55円だ。低位株など株価が低い銘柄中心に取引する投資家におすすめしたい。ただし取引ごとに手数料がかかるため、1日のうちで何度も取引をする人は手数料負担が大きくなる可能性もある。
・取引手数料1~2%のポイントバック
超割コースを選択している場合、商品ごとに1日の取引手数料合計100円につき1ポイント付与される。たまったポイントは、国内株式(現物)の購入代金や手数料にあてることが可能だ。 ※楽天ポイントコースの設定が必要
・大口優遇がある
以下の超割コース大口優遇判定条件をクリアすると手数料の割引が受けられる。
毎日判定 | 信用取引 | 本日の新規建約定金額の合計が3000万円以上 |
1ヵ月の新規建約定金額の合計が3億円以上 | ||
本日15時30分時点の信用建玉残高が3000万円以上 | ||
毎月判定 | 貸株 | 1ヵ月の平均残高が3000万円以上 |
投資信託 | 1ヵ月の平均残高が3000万円以上 |
大口優遇条件をクリアすると手数料率は、以下のように変わる。
※現物株取引手数料
取引金額 | 手数料 |
---|---|
~5万円 | 0円 |
10万円まで | 0円 |
20万円まで | 110円 |
50万円まで | 261円 |
100万円まで | 468円 |
150万円まで | 559円 |
3000万円まで | 886円 |
3000万円超 | 936円 |
また「超割大口優遇」の場合はポイント還元率も上がり100円につき2ポイントが付与されるようになる。
いちにち定額コースの概要と手数料
いちにち定額コースの特徴は、以下の通りだ。
・1日の取引金額100万円までは0円
いちにち定額コースの手数料は、現物取引と信用取引を合算した1日の合計取引金額で決定する。
取引金額 | 手数料 |
---|---|
100万円まで | 0円 |
200万円まで | 2200円 |
300万円まで | 3300円 |
以降100万円増えるごとに1100円追加 |
1日の売買取引が100万円までならば手数料無料で取引できる。
・デイトレード割引がある
楽天証券のデイトレード割引は、1日のうちに同一銘柄を売買した場合、「片道分の約定代金を合算させずに手数料を計算する」というものである。現物株取引の場合は、売りの約定分が合算されないのだ。例をご紹介しよう。
例)1000株買い、1000株売りの場合
銘柄 | 取引 | 株数 | 株価 | 約定代金 |
---|---|---|---|---|
A社 | 現物買 | 1000株 | 2000円 | 200万円 |
A社 | 現物売 | 1000株 | 2100円 | 210万円 |
通常ならば1日の約定代金は200万円+210万円で410万円となる。しかし売りの約定代金が合算されないため、1日の約定代金は200万円となるのだ。この例であれば手数料も2200円に抑えることができる。
楽天証券で手数料を無料にする方法とは?
株取引の手数料負担をできるだけ少なくしたいと感じる人もいるだろう。そこで楽天証券で手数料無料となるパターンを挙げておく。
※現物株取引の場合
・パターン1:
手数料「超割コース」を選択し、大口優遇を受けて1回10万円までの取引を行う
・パターン2:
手数料「いちにち定額コース」を選択し1日の取引金額を100万円以内にする
楽天証券を利用するメリット・デメリットとは?
楽天証券を利用するメリット・デメリットも知っておきたい。
楽天証券を利用するメリット
まず楽天証券を利用するメリットを確認しよう。
・取扱商品の種類が多い
株式や投資信託だけでなくFXや金・プラチナなども取り扱っている。投信積立は、毎月100円という低額から行えるため、少しずつ投資をしていきたい人にもおすすめだ。
・ポイントプログラムの充実
友人紹介や取引に応じて楽天ポイントがためられる。ポイントは、ショッピングだけでなく投資にも利用可能。
※株式は現物株購入のみ
・楽天銀行との連携で大きなメリット
「楽天銀行」口座と連携させると優遇金利や自動入出金、ワンクリックでの入出金などが利用可能になる。
楽天証券を利用するデメリット
楽天証券を利用するデメリットも確認しておこう。
・ネット取引のみ
ネット証券会社のため店舗がない。取引や手続きは、すべてパソコンやスマホ経由となるため、操作が苦手な人には不向きといえる。
・連携する金融機関によっては入金の反映が遅い
楽天銀行や一部銀行との連携時は、「手数料が無料になる」「入金の即時反映ができる」というメリットがあるが、提携銀行以外を利用する場合は手数料負担が必要。また入金の反映も即時ではない。
楽天証券はどんな方におすすめ?
メリットやデメリットをふまえたうえで楽天証券をおすすめしたいのは、以下のような人だ。
・ネット利用に抵抗がない人
・楽天ポイントを利用する人
・楽天銀行に口座がある人
・楽天銀行に口座開設ができる人(口座がない場合)
・多くの金融商品から投資するものを選びたい人
紹介した通り楽天証券の手数料は、非常に割安だ。そのため頻繁に取引したい人にぜひおすすめしたい証券会社といえる。またショッピングなどで使える楽天ポイントがたまる点も楽天ユーザーにとっては大きなメリットだ。「楽天ポイントをためたい・使いたい」という人も口座開設を検討してみてはいかがだろうか。
楽天証券を活用して資産運用を始めよう
楽天証券は、多くの金融商品を取りそろえたネット証券である。手数料も割安となっており少額の取引でもかなり大きなメリットがあるといえるだろう。特に楽天銀行に口座がある人であれば証券総合口座と連携させることで金利優遇も受けることができる。ぜひ一度詳しく調べてみて欲しい。