資産運用のポートフォリオに外貨預金を組み入れる際、大事な要素となるのが「金利」だ。金利は「経済の温度計」ともいわれ、様々な要素で変動する。その動向をフォローすることは外貨預金での運用には欠かせないが、実際にはどの要素を見ればよいのだろうか。

景気、物価の変動が金利を左右する

外貨預金を始める上で大事な「金利」 金利動向はどうやって何を見ればいい?
(画像=SB / stock.adobe.com)

外貨預金には為替リスクが伴うため、元本割れの可能性が潜在する。そのリスクを認識した上で運用の手段とするには、円預金では得られない金利収入を獲得できるかが鍵となる。銀行の預金金利は、中央銀行が決定する政策金利の影響を受けるが、各国の中央銀行が定める政策金利の水準が異なるため、外貨預金では日本より高い金利収入が期待できるというわけだ。

中央銀行は、景気の過熱感を抑えたり、逆に不景気の際には経済を刺激したり、あるいは物価を安定させるために、金利の上げ下げを実施する。

景気との相関性でみると、景気が上向いている状況では、個人消費も伸びて需要が旺盛になる。
その需要に応えるべく、企業による積極的な設備投資のための資金需要も高まる。景気が過熱すると、中央銀行が金利を引き上げることでコントロールを図るのだ。金利が引き上げられることで借り入れのコストが上昇すれば、資金需要も収まり、景気の過熱感が落ち着いていく。

一方、不景気の状況では、個人消費が落ち込み、それによって設備投資等の資金需要も後退する。景気刺激策として、中央銀行は金利を引き下げ、資金需要を呼び起こそうとする。このように、景気との相関性では、好景気の際は金利が上昇、不景気では下落する傾向がある。

外貨預金を始める上で大事な「金利」 金利動向はどうやって何を見ればいい?

物価との相関性でも、金利は変動する。物価が上昇すると、お金の価値が下がることになるため、貯蓄よりも消費が進む。消費が加速することで更なるインフレを呼び込むことになる。

債券価格と金利の仕組み

金利は景気や物価を左右するだけでなく、債券価格にも影響を及ぼす。例えば、利率3%、価格100万円で債券が発行されたとしよう。その後、仮に金利が4%に上昇すると、3%の債券は利率が低くなり見劣りすることで、結果的に債券価格が100万円から下落する。反対に金利が2%に下落するケースでは、利率3%の債券の魅力が高まり、債券価格も上昇することになる。

債券と一口にいっても、期間や発行元などによって様々な種類がある。その中で、長期金利の指標ともなるのが「10年長期国債」である。この10年長期国債は、発行量が多く、債券市場で中心的な銘柄として、銀行や証券会社、機関投資家らによって売買されている。

その売買を通じて取引される金利が長期金利の指標ともなり、預金金利や住宅ローン金利などに影響を及ぼす。したがって、10年長期国債が市場で売買される際の利回りは、金利の状況をフォローする上では不可欠な情報となる。

日本では1999年3月以降、金利指標として直近に募集された10年物国債銘柄の利回りを用いてきた。国が発行する長期国債の市場での利回りが、長期金利の市場というのは日本のみならず、諸外国も同様である。

足下の日本国債10年物の利回りは0.1%であり、円預金からの利息収入は期待できないため、米ドルをはじめとする外貨預金に目を向ける投資家も多い。

外貨に目を向ける際には、米国の長短金利をフォローすると、金利の動向を掴むことができる。米国の短期金利は、フェデラル・ファンド (FF) レートが代表的な指標となる。

これは中央銀行に預入れる準備金の貸し借りを銀行間で実施する際に適用される金利で、連邦公開市場委員会 (FOMC) によって、景気が拡大局面ではFFレートは引き上げられ、減速局面では引き下げられる。

長期金利は前述のとおり、米国も市場で取引される10年長期国債の利回りがその指標となる。

外貨預金の運用の要となる金利は、景気や物価、国債の市場利回り、中央銀行の政策などにより常に変化する。運用実績を確保するためにも、こうした金利動向をきちんと把握した上で、外貨預金を始めることが大切だ。

(提供:大和ネクスト銀行


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