PPMにおける4つの事業分類

PPMでは「市場シェア」「市場成長率」を2つの軸として、製品や事業を以下の4つのフェーズに分ける。

  1. 問題児
  2. 花形
  3. 金のなる木
  4. 負け犬

たいていの製品や事業は「問題児」からスタートし、「花形」「金のなる木」の順に成長する。しかし、徐々に需要が落ち、最後は「負け犬」という形で撤退を余儀なくされる。

ここでは、4つの事業分類の意義や考え方について解説する。

問題児

市場シェアが低く、市場成長率の高い製品や事業を指す。通常は、売り出したばかりの製品や始まったばかりの事業が「問題児」に分類される。

製品でも事業でも開始当初は売上がほとんどなく、「広告宣伝費などの投資コストがかかる」「市場での需要が成熟していない」といった理由で、売上があっても赤字になりやすい。しかし、赤字だから撤退すべきであると決断するのは早計だ。今後の市場での成長が期待できるため、今は赤字でも将来は大きな利益を生む可能性がある。

そのため、「問題児」に分類される事業は積極的な投資が必要とされる。ただし、投資をしても、次の「花形」に至ることなく「負け犬」になってしまい、撤退せざるを得ないときもある。

花形

市場シェアも市場成長率も高い状態の製品や事業を指す。事業が成長している最中であり、今後もさらなる売上や利益の増加が期待できる状態だ。

「花形」フェーズでの課題は、市場シェアを維持・拡大しつつ、次の「金のなる木」に移行させて安定的な収益の柱とすることだ。市場シェアが高い状態であり、尚且つ伸びしろもあるので、設備や販促活動への投資は必要となる。

金のなる木

市場シェアが高い一方で、市場成長率は低い状態の製品や事業を指す。市場シェアが高いので、あまり資金を投じなくても利益を生むが、すでに需要がピークに達しているため、今後の成長は見込めない。競合他社の製品や事業も、市場でひしめきあっている。

「金のなる木」フェーズに分類された製品や事業については、新たな投資を控えて、得られた利益を他の事業に充てる方がよい。加えて、「現在のシェアをいかに守るか」「今後の動向がどうなるか」を検討し、撤退の時期についても視野に入れておいた方がよい。

負け犬

市場シェアも市場成長率も低い状態の製品や事業を指す。収益が縮小し、将来の利益も期待できない。利益をできるだけ確保しつつも、撤退のタイミングを検討する対象となる。状況によっては事業売却を行い、得た資金を「問題児」「花形」に充てることで次の事業成長につなげられる。