本記事は、大須賀祐氏の著書『リモート輸入ビジネス 成功マニュアル』(あさ出版)の中から一部を抜粋・編集しています
輸入ビジネスに「不安」を抱く必要はない
●間違った思い込みを捨てれば、可能性が見えてくる
「輸入ビジネス」と聞くと、多くの人は「期待」よりも先に「不安」を抱きます。
「不安」は、次の5つに集約されます。
しかし断言します。これらはすべて間違った思い込み、「誤解」です。
リモート輸入ビジネスをはじめるために、まずはこれらの「誤解」を払拭しておきましょう。
誤解① 英語ができないから難しそう
日本語以外の言語を話せない。だから輸入ビジネスなんて無理――そう考える人はたくさんいます。
結論からいえば、日本語以外の言語を話せなくても、もちろん英語を話せなくても、輸入ビジネスにまったく支障はありません。
やりとりはメールや書類といった、文書がメインなので、即座に答える必要はありません。じっくりと文面の意味を調べたり、人に聞いたりすることができます。また、こちらから英文を作成する場合にも、ネット上にある程度のテンプレートがありますから、最低限の形を整えることができます。
オンライン展示会であれば、自分がしたいことを示すボタン(オーダーやカタログ送付希望など)を選択すると、簡単な文章が英語で表示されるようになっています。これをもとにして、加筆・修正すれば、ほぼ間違いなくやりとりができるでしょう。
現在は無料で使えるうえにすぐに訳してくれる優秀な翻訳アプリも発達しており、会話をする場合も翻訳アプリを使うことで、仮に外国語が話せなくてもスムーズにやりとりができるようになりました。
外国語を話せないことをおそれる必要も、引け目に感じる必要もないのです。
誤解② 手続きが煩雑だから難しそう
輸入ビジネスに専門的な手続きや書類はつきものです。
しかし、実際に輸入ビジネスを始めてみるとわかりますが、あなたが扱わなくてはならない書類は、かなり限られたものだけです。
さらに、輸送から保険、通関にいたるまで、それぞれ「その道のプロ」がおり、あらゆる手続きを一括し、窓口となってやってくれる業者も存在します。
書類関係は基本的に、専門家に任せることが可能なのです。
あなたが力を注がなければいけないのは、「よい商品の発掘」と、その商品をいかに売るかの「マーケティング」と「セールス」の3つです。
煩雑なことは、「その道のプロ」の力を借り、あなた自身は、単純な「物販」に注力すればよいのです。
誤解③ お金がないから難しそう
「輸入」=「莫大な量の商品をたくさんのコンテナに詰めて、船を丸々使って運ぶ」。
こんな想像を膨らませている人もいるかもしれません。
たしかにこのような、大規模な輸入ビジネスも存在します。しかしそれは、「食品」「エネルギー」「原料」「繊維」など、毎日のように消費され、かつ莫大な量を必要とされるものや質量が大きなものがメインの場合の話です。コンテナが必要になるのは、相当な規模でビジネスを展開するようになってからでしょう。
大規模な輸入ビジネスは、商社の専門分野。 あなたが始める輸入ビジネスとはまったく違います。
個人がまず始めるべき輸入ビジネスは、商社をはじめとした大企業とはぶつかりようのない、ニッチなジャンルの取引をオススメします。
具体的には「一般生活消費財」と呼ばれる、いわゆる「雑貨」です。そうすることで、あなたは初期投資を一気に抑えることができます。
ヨーロッパとの雑貨の取引は「Ex Works」と呼ばれる「工場渡し」が条件で、最小注文数(MOQ)が設定されていないことがほとんどです。
つまり、あなたが必要な分だけ、極論を言えば、それこそ「1個」からでも商品を取り寄せることができてしまうのです(他の国、特にアジア地域のような商品・サービス単価の低い国・地域からの輸入の注意点については、後述します)。
あなたは、少量輸入した雑貨をサンプルとして営業先に見せたり、展示会に出展したりすることが可能となります。
サンプルを活用して見込み客を獲得し、実際のオーダーを得てから本格輸入する。これが最も安全かつ、効率的な方法です。
輸入ビジネスでの最大のリスクは、「売れるかどうかわからない商品を、受注前に大量に見込み発注すること」です。
「雑貨」を扱い、かつ手始めに「ヨーロッパと取引する」ことで、「売れるかどうかわからない商品を、受注前に大量に見込み発注する」というリスクを回避することができるわけです。
「1個」から注文できてしまうので、「お金がないから」と二の足を踏む必要もなくなります。
ちなみに中国をはじめとしたアジアの国々との取引は、単価は低く抑えられるものの、ヨーロッパとの取引とは違って最小注文数が設定されていることがほとんどです。最小注文数が定められているということは、大量に在庫を抱えるのはもちろんのこと、莫大な運送費もかかってきます。それこそ、先述したコンテナでの大量輸入を最初からやることになりかねませんので、注意が必要です。
いくら単価が安いとはいえ、売り先も決まらないままに5000個、1万個と在庫を抱えてしまうのは、結果として大きなリスクを負うことになります。
最初は「単価は高くともヨーロッパと少量取引」、そして引き合いが増えて軌道に乗ってきたら「単価の低いアジアと取引」と、段階を踏んで取引相手を広げていくのが賢い選択です。
誤解④ 個人では難しそう
輸入ビジネスは、すべての人に均等なチャンスが与えられる、とてもフェアな世界です。
個人でも、ひとり会社、中小企業でも大丈夫。
海外メーカーは基本的に「長く取引できそうな相手か?」を考え、新規顧客と取引するかどうかを決めます。
国境を越えた取引には、通信や手続き、輸送などに大きな労力がかかりますから、取引ごとにいちいち送り先を変えたり、やりとりする相手を変えたりといった煩わしいことをしたくないのです。
「いくつ買ってくれるのか」という条件面よりも「いかに長く安定したパートナーシップを組めるか」に重きを置くのは、そのためです。
海外メーカーは、個人やひとり会社に対して、案件によってやりとりする相手が部門ごとに異なる大企業とは違い、「トップと直接やりとりできる」ことに大きな魅力を感じるのです。
むしろ「大企業」より「個人」や「ひとり会社」のほうが歓迎されやすいともいえます。
「いかに長く安定したパートナーシップを組めるか」という条件には、「自分たちの商品の哲学を深く理解し、愛してくれているのか」という要素も含まれます。
輸入ビジネスにおいて重要なのは「情熱」と「愛情」です。
海外メーカー側に「情熱」と「愛情」をストレートに伝えやすい点や、他に取り扱う商品やメーカーが少なく専任しやすいという点でも、個人やひとり会社など、事業規模が小さいほうがむしろ有利であるといえます。
誤解⑤ 販路の開拓なんてできないから難しそう
「B to B」の販路開拓については、難しく考える必要はまったくありません。
「展示会に出展する」。
これが最もシンプルで確実です。
展示会に出展するのが「売りたい人」であるのと同様、展示会に来場するのは基本的には「買いたい人」です。相手は「買う気」でいるわけですから、まったく販路がない状態から自分の足で営業するよりも数倍、数十倍の効果があります。
コロナショックを契機に展示会の来場者は減少傾向ですが、同時に来場者の本気度が上がり、無駄な商談が減っている印象もあります。来場者はより「純化」され、成約率はむしろ高まっているといえるでしょう。
さらに現在は、実験的に国内でのオンライン展示会も開催され始めました。
オンライン展示会の特徴としては、会期が長いこと、出展費用やブースの施工費用が抑えられることなどがあります。
場所や時間、天候などに左右されることがないため、リアルな展示会よりも参加者が増えるうえ、幅広い客層が集まります。
さらに、オンライン展示会はオンラインという強みを活かし、あらゆるデータを集計することもできます。ブースの参加者の連絡先や属性、業態、アンケート、さらには何を閲覧し、どんな商品に興味を持ったかなどをデータとして手に入れることができます。
これをもとに営業活動ができるので効率化が進むでしょう。
こう書くと、いいことずくめのようにも見えますが、もちろんオンラインでのデメリットも存在します。
たとえば、ブース内で「体験」をしてもらえないことが挙げられます。商品を決める際に重要になるのは実際に手に取り、その商品の質感や大きさ、実際のデザイン、使い心地などを体験することです。これがオンラインではできないため、どうしても印象が弱くなってしまいます。実際に商品を手に取ってもらえる機会をつくったり、サンプルを送ったうえでオンライン商談をしたりすることが必要となります。
なお、リアルの展示会であれば、商品を見ている人に声掛けをして感触が良ければ商談、という流れも可能ですが、オンライン展示会ではひたすら「待ち」の営業スタイルになります。自社に興味を持ってもらうための情報提供が重要です。情報を多く出して、自社のオンラインブースに興味を持ってもらい、いかに呼び込むかの工夫が必要になります。
このように、リアルの展示会にもオンライン展示会にもそれぞれ魅力がありますが、同時に弱い部分もあるのです。
ただ、これはお互いが補い合い、補強し合えるメリットとデメリットなので、両方をうまく使いながらビジネス活動をしていけばリアルとオンラインの相乗効果が生まれ、より効果的な結果が得られます。
両方に出展してみて、どちらが効果があったのか、どちらが自分の商品に向いているのかを調査しながら両面のメリットを享受しましょう。
重要なのはリアルか、オンラインか、と一方に偏るのではなく両方のメリットを十分に活用していくこと。
こうやって柔軟かつ多角的なビジネス展開をしていくことが、これからの輸入ビジネスのあり方でしょう。
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