IT化・デジタイゼーション・デジタライゼーションとDXの違い

DXとよく似た概念にIT化・デジタイゼーション・デジタライゼーションがある。各用語の意味を正しく把握し、DXとの違いや関係性を確認しよう。

IT化・デジタイゼーション・デジタライゼーションの意味

IT化は、一般的に既存の業務プロセスをそのまま効率化するために業務情報の電子化・IT技術の導入を実施する場合に用いられるケースが多い。既存プロセスは変更せず、効率化を目指す点がIT化の大きな特徴だ。また経済産業省の「DXレポート2」には、デジタイゼーションとデジタライゼーションが以下のように定義されている。

・デジタイゼーション(Digitization):アナログ・物理データのデジタルデータ化
・デジタライゼーション(Digitalization):個別の業務・製造プロセスのデジタル化
引用:経済産業省

IT化・デジタイゼーション・デジタライゼーションとDXの関係

DXは「デジタル技術の活用により、ビジネスモデルや製品・サービスなどに変革を起こす」という目的があり、この点がIT化との違いである。まず社内のIT化を進めたうえで「DXによる変革を目指す」という関係性が成り立つ。

またデジタイゼーション・デジタライゼーションは、DXによる事業やビジネスモデルの変革を実現するベースとなる。簡単な例を挙げれば、デジタイゼーションにより紙文書のデジタル化を進め、デジタライゼーションにより業務(申請・承認業務など)をデジタル化し、DXで顧客とのE2Eでのデジタル化を実施するといったイメージだ。

日本企業のDX推進状況

IPA(情報処理推進機構)の発表している「DX白書2021」によるとDXへの取組状況について日米で大きな差がついていることがうかがえる。同調査で「DXに全社または一部の部門で取り組んでいる」と回答した企業は、米国71.6%、日本45.3%だった。

また「経営者・IT 部門・業務部門が協調できているか?」という問いに「十分にできている」「まあまあできている」と回答した企業は、米国86.2%に対して日本は39.9%と半分以下の割合になっている。

日本では、DX推進を担う人材不足も大幅に不足しているのが現状だ。同調査で人材の量について「やや不足している」「大幅に不足している」と回答した企業は76%、米国企業は43.1%だった。社員のITリテラシー向上施策についても実施している日本企業は22%、米国企業は54.5%と大きな差がある。

日本企業にとっては、ITリテラシー向上施策の実施もDX推進の重要な鍵といえるだろう。