労働問題に詳しい専門家に相談することも選択肢のひとつ

解雇理由証明書は、会社がどのような理由で従業員を解雇したのかを記載した書面のことであり、期限内に交付を請求された場合は、速やかに応じる義務がある。ただし、従業員が解雇理由証明書を求める時点で、解雇に対して不満を持っていることも想定されるため、慎重かつ丁寧な対応が必要だ。

解雇・退職問題については、弁護士などの労働問題に詳しい専門家に相談することもひとつの選択肢だろう。特に中小企業の場合は、労務や法務の部門がしっかりと整っていないことも多い。

外部の専門家を活用すれば費用がかかるが、もしうまく対応できずに裁判が長期化すれば、多大なコストがかかったり、ステークホルダーに会社のあらぬ悪評が広がったりするリスクもあるため、結果的には高い費用ではないという考え方もできるだろう。

解雇理由証明書に関するQ&A

Q.解雇理由証明書は何に使う?

A. 解雇理由証明書は、会社が従業員を解雇した事実を証明するための書面である。解雇された従業員から求められれば作成しなければならないが、求められなければ会社側から作成して渡す義務はない。そのため解雇理由証明書を何に使うかは該当する従業員の意図によるが、一般的には以下のような使途が考えられる。

・再就職の際になぜ解雇となったのか理由を証明するため
・不当解雇として会社を訴えるため

通常、解雇されると再就職先を探すことになるが、もしも応募した会社が前職で解雇されたと知ると勤務態度や就業能力などに懸念を持たれる可能性もある。そのため、自分の落ち度で解雇されたわけではないということをわかってもらうために解雇理由証明書を提示することが考えられる。例えば、景気や会社の事業縮小などの事情で解雇された場合などだ。

もうひとつは、解雇されたことに納得できず、不当解雇として会社を訴えるための使用だろう。
どちらの場合も解雇された側に落ち度がないことの証明として使うのが一般的だろう。納得するかどうかは従業員側の心情にもよるが、解雇する側としては解雇をする以前から誠意を込めた対応に努めることが大切だ。

Q.解雇理由証明書のもらい方は?

A.解雇理由証明書のもらい方に特段の決まりはない。口頭、または書面での請求が一般的。労働基準法第22条第1項および第2項において「使用者は労働者から請求があれば遅滞なく解雇理由証明書を交付すること」と定められているため、基本的に請求すればすぐに発行してもらえるだろう。

ただし同第2項によると「解雇予告日以後に労働者が当該解雇以外の事由で退職した場合、使用者は当該退職日以後交付を要しない」とも記載している。解雇理由証明書は退職後でも請求することが可能だが、解雇予告後に解雇理由と関係ない事情で退職となった場合には請求できない。

Q.解雇理由証明書の期日は?

A. 解雇理由証明書は、従業員から請求されると「遅滞なく」交付しなければならない。「請求から何日以内に」といった決まりは法律でも定めがないが、請求された際に従業員から「いつまでに欲しい」といった要望があればその期日に間に合うように交付するのがいいだろう。

そもそも解雇理由証明書を請求してくるのは、「解雇に納得していない」「自分のこれまでの勤務で問題がなかったことを証明したい」といった場合が多い。自分に落ち度がないのに解雇されるのであれば従業員側はセンシティブになっているはずだ。そのため解雇された従業員の不満を深めないように速やかに対応するべきであろう。

なお退職(解雇)後2年を経過すると解雇理由証明書を請求する権利は時効で失われる。退職して2年以上経ってから請求されれば応じる必要はない。

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文・THE OWNER編集部

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