ケンブリッジ大学オルタナティブ金融センター(CCAF)が発表したところによれば、中国でのビットコイン関連事業の取締りが強化されたことを受けて、米国がビットコインマイニング(採掘)で世界トップになったことが明らかになった。

ビットコインはインターネットに接続されたサーバにより取引データをまとめて暗号処理を施し、分散管理している。この暗号処理と分散管理をするサーバには、その演算能力に応じた確率でビットコインによる報酬が得られるようになっている。

ビットコイン
(画像=月刊暗号資産)

これらのサーバ運用はマイニング(採掘)と呼ばれ、一大ビジネスと化している。大々的にマイニングを行うため多くの新興企業が参加してきている。

CCAFはマイニング事業の国別シェアに関して、8月時点での推計値を13日に発表した。最新のデータによれば、米国は8月の末時点で世界のハッシュレートの35.4%を占め、4月末時点の16.8%から2倍以上増加した。

米国に続く2位となったカザフスタンは8.2%から18.1%、3位となったロシアは6.8%から11%と、4月から約2倍増加した。

ハッシュレートとは、ビットコインのマイニングに参加するサーバの演算能力の合計を表すものだ。中国のシェアは政府が決めた同国での暗号資産マイニング禁止の規制を受け、事実上ゼロになった。

中国の取締りにより、ビットコインのハッシュレートは6月に一時38%の減少が見られた。しかし、7月から8月にかけて20%の回復が見られた。中国のマイニング事業者が設備を海外に再配置させたことに成功したことを示唆すると見られている。

中国はビットコインマイニングは、2019年9月時点で75%を占めていた。ビットコインにおけるマイニングは世界の4分の3が中国で行われており、マイニング王国とまで呼ばれていた。

マイニングは大量の電力を消費する。米国では石油の一大産地かつ電気料金が比較的安価な南部のテキサス州で盛んだ。こうした地域に、中国で事業継続が不可能になった企業が多く進出した。ビジネスの中心地が中国から米国に移った形だ。

また、ビットコインのマイニングに要する電力は国家レベルとも言われ、排出する二酸化炭素も問題化しているが、各企業は再生エネルギーを活用するなど最新設備で二酸化炭素を抑えるなどの企業努力をしている。(提供:月刊暗号資産