本記事は、大嶋信頼の著書『毎日がうまくいく朝のスイッチ』(あさ出版)の中から一部を抜粋・編集しています

迷い、不安、緊張をリセットするスイッチ

毎日がうまくいく朝のスイッチ3
(画像=PIXTA)

どの時間帯でも、晴れていようが曇っていようが、起きたらまず、太陽の方向に体を向けて「自分の顔が向いているのが東」、「背中を向けているのが西」、「右肩は南を向いていて」さらに「左肩は北を向いている」という具合に体で方角を確認していきましょう。

これは、朝起きた時に「テンションが下がっている」とか「気持ちが乗らないな」という時や不安な時、緊張を強いられている時におすすめのスイッチです。

朝起きて「なんかテンション下がってるな」とか「気持ちが乗らないな」とかいったものは思い込みであることが少なくありません。それに対し方角を体で確認するのは客観的な行動となります。気分的な思い込みを客観的な行動で打ち消すのがこのスイッチの狙いです。

これを習慣にしていくと、迷った時、不安になった時、緊張した時などでも「太陽の位置はどこ?」、そして「自分の体は今、どの方角を向いている?」と身体を使って東、西、南、北、と確認することで、不思議と迷いや不安が消え去り、緊張がとけて、流れのままに身を任せることができるようになります。

客観的な情報(行動)で主観を打ち消す

焦ってパニックになっている人に「ほら!深呼吸をして、吸って、吐いて」と促すと「あれ?さっきまでのパニックがちょっと収まったかも?」となりますよね。これは、「息を吸って、吐いて」という自分が無意識でやっている動作に注目することで、「私は焦っている」とか「パニックになっている」という思い込みから解放され、本来の自分に立ち戻ることができる、そんなメカニズムなのです。

それと似たようなことで「方角を体で確認する」という客観的な行動で思い込みを外すのがこのスイッチです。

「緊張している」というのが思い込みの主観であったとすると「自分の体が向いている方向は東」というのが客観的な情報になります。

客観的な情報を体を使って確認していくのを習慣にすると、いつの間にかこの動作をするだけで、思い込みの主観が打ち砕かれ、素の自分に戻ることができるようになります。

人の目が気にならなくなり緊張から解放されたDさん

Dさんは、いわゆる「ドジっ子」ですぐにパニックになってしまいます。

会社では、普通に使っているつもりなのにパソコンを壊すは、お客様の取次を間違えてパニックになるはの日々。家でも皿を洗っていると手を滑らせてパリンと割ってしまう。だから、食器棚にあった皿がどんどんなくなってしまって、百円ショップで買ったお皿ばかりになっていく。

こんな調子だからいつも朝起きた時から、気分が憂うつで「あーあ、今日も嫌なことが起きるんだろうな」と考えてしまいます。そして、だらだら用意をしていると「遅刻しちゃう!」と早く起きたはずなのに、焦って支度をすることになり「忘れ物をした!」と玄関から出ては何度も戻ってくるような毎日でした。

そんなDさんが朝のスイッチとして「起き上がったら太陽を基準に体で方角を確認する」ことを始めました。

方位磁石を買わなくても「スマホのアプリがあるから便利!」とDさんは起きてすぐスマホのアプリで太陽の位置を確認し、東の方角に体を向けます。

ベッドに座って「目の前の壁が東」「背中側が西」という具合に確認していきます。

今まで方角なんか気にしたこともなかったのですが「あー、キッチンは西を向いているんだ!」ということがわかります。

左肩が北だから玄関とトイレは北側。そして右肩が南だから「ベランダは南側なんだ!」ということがわかります。

そうしているといつもだったら「会社に行くのが憂うつ」とか「支度が面倒くさい」となってしまうのがいつの間にか消えていくような感じがしました。

これをルーティンとしてやっていると、会社でも仕事をしていて焦ってきた時に「自分が座っている方向は東」と自然と方角を確認するようになり、前のような焦りもなくなって、冷静にその場で判断することができるようになっていきました。

不思議なのは、方角を確かめながら仕事をしていると、「人の目や評価が気にならなくなってきた」となって緊張しないで自分のペースで仕事ができるようになっていたことです。「もしかして、今まで仕事で失敗を繰り返していたのは人の目を気にしていたから?」というのが方角を確認するようになってわかってきたのです。

さらに、家で食事を作っている時も「自分がフライパンを握って向いている方角は西」とやっていると、いつもの料理を作るのが面倒くさい感じがなくなって、てきぱきと料理ができる。皿を洗っていても「この方角は西で自分は東に背中を向けて皿を洗っている」といつの間にか身体を使って方角を確かめているから「あれ?皿を割らなくなっている!」とびっくりします。

すると、だんだん心の余裕が出てきて「なんか楽しいことをしたいな!」と思えるようになり、資格の勉強をするようにもなりました。

Dさんは「自分は覚えるのが苦手」と思っていたけれど、今机に座って向いているのが「東南」そして背を向けているのが「北西」という具合で体で感じていると、いつの間にかそんなことも気にならなくなり、次第に資格の勉強が楽しくなってきて「合格しちゃった!」とこれまで自分では無理だと思ったことが簡単に達成できるようになっていきました。

毎日がうまくいく朝のスイッチ
大嶋信頼(おおしま・のぶより)
心理カウンセラー。米国私立アズベリー大学心理学部心理学科卒。アルコール依存症専門病院、周愛利田クリニックに勤務する傍ら、東京都精神医学総合研究所の研究生として、また嗜癖問題臨床研究所附属原宿相談室非常勤職員として依存症に関する対応を学ぶ。嗜癖問題臨床研究所原宿相談室室長、株式会社アイエフエフ代表取締役を経て、現在、株式会社インサイト・カウンセリング代表取締役。短期療法のFAP(Free from Anxiety Program)療法を開発し多くの症例を治療している。著書に『無意識さんの力で無敵に生きる』(青山ライフ出版)、『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』『「すぐ不安になってしまう」が一瞬で消える方法』(以上、すばる舎)、『「気にしすぎてうまくいかない」がなくなる本』『片づけられない自分がいますぐ変わる本』(以上、あさ出版)、『「自己肯定感」が低いあなたが、すぐ変わる方法』(PHP研究所)、小説『催眠ガール』(清流出版)、『チクチク・いやみ・理不尽と感じる「ほんのひと言」に傷つかなくなる本』(大和書房)等多数。

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