本記事は、大嶋信頼の著書『毎日がうまくいく朝のスイッチ』(あさ出版)の中から一部を抜粋・編集しています
他人に振り回されない人になるスイッチ
朝、起きてから顔を洗う前でも後でも、お化粧をする人はその前に、鏡の中に映る自分と5分間向き合ってみましょう。
鏡の中の自分の目を見て、そして鏡の中の自分がしていることをモニターしてあげます。「息を吸って、そして吐いて」や「瞬(まばたき)を2回した」「鼻がピクピク2回動いた」「唇を固く閉じた」「右頬の筋肉が上がった」など、5分の間にいろんな自分が鏡に映ります。それをモニターするのです。
もちろん、鏡を見ていると自分の顔に対してダメ出しをしたくなることもあります。ただ「左の目のほうが小さい」とか「毛穴が目立つ」などと鏡の中の自分に対してダメ出しをしたくなっても、自分がしていることをモニターし続けてください。「きれい」とか「ブッサイク」という評価みたいなこともしたくなるかもしれません。それもそのままにしてモニターを続けます。
すると、次第にダメ出しはなくなり「息を吸った、吐いた」という当たり前の動きに注目をすることができるようになってきます。できるならば、5分間のタイマーをセットすると、より鏡の中の自分に集中できます。これを習慣づけてやると、人に振り回されない自分自身の感覚を取り戻すことができるようになるでしょう。
自分の表情がわかれば感情が自然に伝わるようになる
たぶん、多くの方が「私は自分自身の感覚で生きている」と思っています。でも、常に気にしているのが他人の表情だったり他人の気持ちだったりするのです。
1人でいる時でも「職場のあの人はなんで私にあんな態度を取ったんだろう?」と職場の人の表情や言葉が頭に残って気にしてしまいます。テレビを観たら「タレントさんは何を考えているんだろう?」と知らずのうちに考えています。家族と一緒にいても「あれ? 私のことを嫌っているのかな?」と嫌な気分になることもあります。
今、自分がどんなことを感じているんだろう? と自分自身が感じていることを、いつもきちんと感じられるのが「自分の感覚で生きる」ということです。
「今、私は何を感じているの?」と自分の感覚で生きられるようになっていくと「心の中は静か!」と驚くほど心が凪(なぎ)の状態になります。
このスイッチを朝のルーティンにしていけば、周りの人がどんな状態であっても「自分の感覚で生きる」ということができるので、周りに振り回されることがなくて「淡々と自分がしたいことができる!」となります。
もっと興味深いのは「自分の感覚で生きる」ということができるようになると「周りの人に邪魔をされなくなった!」という不思議なことが起こります。
以前だったら「嫌だな」と思っていても、心とは裏腹に「笑顔」になっていた。しかし、朝5分、鏡の中の自分の顔をモニターし続けていると言葉を使わずにきちんと自分の内面を表情として相手に伝えることができるようになります。
みなさんは、「自分の表情はコントロールできている」と思っているかもしれませんが、実際は心とは裏腹な表情をしてしまいます。
そして、それを相手がこちらの意図とは違う受け取り方をしてしまう。それが周りから邪魔をされる原因であったりするわけです。
それが、このスイッチを習慣づけてやっていると次第に自分の顔も自分の内面と一致して、不快なことも、意欲や喜びも、こちらの思っていることを相手にストレートに伝えることができるようになり、人に邪魔されることがなくなっていくのです。
自分を表現して自由に生きられるようになったIさん
Iさんは、長年実家暮らしで、仕事も転々としていました。
仕事をやっていると「なんで私がこんな仕事をやらなきゃならないの」とストレスが溜まり、体調を崩して「だめだ、もう続けられない」と辞めてしまう。そんな繰り返しだったようです。
家では、母親が食事を作ってくれていて、いつも「こんなに量を食べられないから、少なく作って」とお願いしているのですが、2、3日すると「また、元の量に戻っているよ!」という感じでストレスが溜まり、体重のコントロールができなくなります。部屋は片付けられなくなって、物がたくさん積み重なっていて床も見えません。そんな生活が嫌で「引っ越して一人暮らしをしたいな」と思うけれど、仕事が続けられないからお金がちっとも貯まらない、という悪循環から抜け出せずにいたのです。
そんなIさんが「鏡の中の自分と5分間向き合う」スイッチを試してみました。Iさんはそれまで「自分の感覚で生きている」と思っていたけれど「ちっとも自分の思うように生きられないのは、自分の感覚で生きていないのかも」と疑うようになったのです。
スマホで5分間のタイマーをセットして、鏡の中の自分とにらめっこ。「なんでこんなことをしなきゃいけないんだ!」と最初は5分間がものすごく長く感じられて拷問のようでした。
「ブサイクな顔だな」とか「こんなに太っちゃって」とダメ出しが次から次へと湧いてきますが、そのままずっと見ていると次第にネタが尽きて何も浮かんでこなくなります。そうすると「息を吸っている、吐いている」と鼻から息を吸って、そして吐き出す様子を頭の中でモニターできるようになりました。
また、頭の中で、「仕事」と思った時に、左目の横の筋肉がピクッと引きつります。いつも自分は仏頂面をしている、と思っていたのですが「口の横の筋肉を上げると笑顔になるじゃん」と自分の笑顔を初めて見たような気がします。
私ってこんな笑顔ができるんだ、と改めて自分の感覚を再認識していく。これを続けていると、仕事の面接に行けば即採用。そして、それまでは職場でものすごく周りの人に気を使っていて「孤立感」を感じていたのに、「あれ?周りが気を使ってくれる」と面白いことが起きます。
「この職場がいいのかな?」と楽しく仕事ができるようになるIさん。家に帰って、食事を取る時に「お母さんがちゃんと食事の量を減らしてくれている」とこれまで散々言っても聞いてもらえなかったのが、すんなり変わっていて驚きます。
家族といても自分が感じていることが、自分の表情から家族にきちんと伝わる。口の横の筋肉が緩んでいなかったら「不快」だから、自分の部屋に戻ってすぐに寝てしまう。すると、どんどん元気になり、部屋もきれいになっていきます。
そして、職場ではIさんがやりたかった仕事をやらせてもらえることになって、その仕事にも集中できるように……。
いつも途中で嫌になってしまっていたのは、自分の感覚で生きていなかったから、と気づくことができたIさんは自分の感覚で生きることで、自分の思ったように動くことができて、どんどん自由になって、自分の顔を見るのが苦痛ではなくなっていったのです。
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