事業承継の成功とは、長く生き残る会社を託すために、後継者や従業員、取引先にとって一番良い状態で事業を引き継ぐことである。そのためには、会社を長期目線で見つめ直し、実現可能な事業承継計画を立てなければならない。本記事では、中小企業の事業承継を成功させるための4つのポイントを解説する。
目次
事業承継の種類や承継する方法
事業承継とは、会社や個人事業を次の経営者に承継することであり、親族はもちろん第三者にもこれまでの事業を繋いでいくことである。ここでは、事業承継の種類や引き継ぐものなど、事業承継の基本について解説する。
事業承継の種類と近年の傾向
中小企業庁の『事業承継ガイドライン」による分類を参照すると、事業承継は承継者の違いで以下の3つに分けることができる。
①親族内承継
②役員・従業員承継
③社外への引継ぎ(M&A等)
2015年における中小企業庁の調査によると、調査時の直近5年における事業承継では、②と③の割合が65%以上であり、中小企業経営者の高齢化と後継者不足の問題から、②や③のニーズが高まっている。
また、2020年版中小企業白書によると、2017年から2019年の事業承継では、同族承継は減少傾向にあり、代わりに内部昇格や外部招聘が増加している。2017年の同族承継は41.6%であったが、2019年の同族承継は34.9%まで下がり、同年の内部昇格の33.4%とほぼ同じ割合になっている。
(参考)中小企業庁:事業承継ガイドライン
中小企業庁:中小企業白書2021帝国データバンクの「全国・後継者不在企業動向調査(2019年)」
事業承継で引き継ぐもの
事業承継によって引き継ぐものは、会社の経営権(株式)の他、現金預金、有価証券、債権、事業用設備などの資産、借入金や社債などの負債といった有形なものから、従業員がもつ技術、ブランド、経営理念といった無形なものなどがある。
・許認可は承継できる?
M&Aによる事業承継の場合、売り手側の許認可が買い手側に承継されるかどうかが問題となる。
例えば、事業譲渡や合併、会社分割では、売り手の事業を買い手側が引き続き営むことになるが、その際、許認可は自動的には承継されない。
個別の根拠法において、事業譲渡の際に許認可の承継を認める規定があれば話は別であるが、そうでなければ対策が必要になる。(例:買い手が事業承継の前にその許認可を取得する等)
事業承継の方法
株式会社における事業承継は、現経営者が保有する株式を、後継者に承継することで行われる。株式を承継する方法には、贈与、相続、譲渡(売却)がある。