M&Aの仲介手数料の相場
続いて、M&Aの仲介手数料の相場や計算方法を紹介する。
M&A仲介手数料の相場
M&Aは手続きが複雑で、デューデリジェンスなどの高度な専門知識が必要とされるため、M&A仲介会社に依頼するのが一般的だ。多くのM&A仲介会社は、「レーマン方式」と呼ばれる計算方法を採用している。
レーマン方式では、売却代金に一定の手数料率を乗じて計算する。つまり、売却代金が高くなるほど、M&A仲介会社に支払う手数料も増える。これは、売却代金が高くなるほど、M&Aの複雑性や専門性が増すことやリスクが大きくなることに起因する。
レーマン方式の売却代金ごとの手数料率は次の通りだ。
M&Aでは、仲介手数料を複数回に分けて支払うのが一般的だ。支払うタイミングは、「着手金+成功報酬」「着手金+中間金+成功報酬」「成功報酬のみ」など、M&A仲介会社によって異なる。
基本的に、着手金はM&A仲介契約を結んだ時点で支払い、成功報酬はM&Aが成功した時点で支払う。相談に関しては、無料で請け負うM&A仲介会社がほとんどだ。
なお、経営者からすると「成功報酬のみ」の方がメリットを感じるかもしれないが、「着手金0円」には意外なデメリットもある。「着手金0円」だと、M&A仲介会社は無報酬で候補先を探さなければならないため、多少強引にでもM&Aを成立させようとすることもある。
仲介手数料だけでなく、M&A仲介会社のスタンスや担当者の人柄も見極め、総合的に判断することが大切だ。
M&A仲介手数料は必要経費と割り切る
M&Aの実施にあたり、M&A仲介会社に手数料を支払うくらいなら、自分で候補先を探してM&Aを進めたいと考える経営者もいる。
しかし、M&Aは専門性の高い分野であり、弁護士や税理士であってもM&Aの実務経験があるとは限らない。M&Aの実務経験が豊富な、財務や法務の専門家を自ら探すのは至難の業だ。
M&A仲介会社なら、実務経験が豊富な専門家と提携しているため、専門家の手配も一任できる。
また、M&Aでは利害関係が発生するため、売り手・買い手だけで交渉を進めていると、トラブルが生じてしまうケースも少なくない。トラブルによってM&Aが中断すれば、また一から候補先探しをしなければならない。
M&A仲介会社に依頼することで、トラブル発生のリスクを回避し、M&Aが成功する確率を上げられるだろう。その意味では、M&A仲介会社に支払う手数料を、M&Aを成功させる必要経費と割り切る視点も大切だ。