「つみたてNISA」「iDeCo」など初心者が投資を始めやすい少額投資非課税制度などの普及により投資のハードルが低くなってきました。ただ投資の方法には、さまざまな種類があり「何から始めたらいいか分からない」という方も多いのではないでしょうか。今回は、投資の種類に着目してそれぞれの特徴を解説していきます。
世の中には数多くの「投資」がある
投資と一口にいっても株式や債券、不動産、暗号資産など種類は多岐にわたります。さまざまな金融商品を活用していくことで最終的に利益を出すことが投資の目的です。しかし近年多くの投資法が普及してきたため、「どの投資に手を出したらいいか」ということも投資を始めるうえでは重要といえるでしょう。各投資法には、メリット・デメリットやリスクとリターンの程度などに違いがあります。
具体的には、以下のような内容で投資方法や資産の分配(アセットアロケーション)が変わってくるのです。
- どのぐらいの期間投資するのか
- どのくらいの収益を目指しているか
- 安定投資を求めているのか積極投資を求めているのか
投資方法別、投資のメリットとデメリット
投資をするにあたって主要な投資先のメリットとデメリットを解説していきます。それぞれの投資先のメリットとデメリットは、以下の通りです。
株式
代表的な投資先の一つが「株式」です。株式は、一般的に証券取引所に上場している企業の株式を購入(会社に出資)することで以下の2つの利益を得ることが期待できます。
・株価の変動による利益
上場株式は、「株価」が変動しており株価が安いときに購入して高いときに売却することができれば株価の差による利益を出すことが可能です。
・配当金による利益
上場株式の企業は、一般的に中間決算や本決算の成績によって配当金の金額を決定します。配当金がもらえる企業に投資していれば定期的に利益を享受することができるでしょう。
株式で株価の変動による利益を目指す場合、数倍の利益を生み出すことも期待できます。一方で株価の変動で損失を出すリスクもはらんでいることも忘れてはいけません。なかには、業績悪化で倒産となってしまえば株式の価値がなくなってしまう可能性もあるのです。そのため株式は金融商品の中でも「ハイリスク・ハイリターン」の投資といえます。
債券
債券は、「国債」「社債」などがあります。投資家は、国や会社などにお金を貸すことで一定の利回りが期待できる投資方法です。一般的に「クーポン」と呼ばれる定期的な利子を受けられます。債券は、基本的に企業の業績が悪化しない限り提示した通りの条件でクーポンや債券の償還日に額面価格と呼ばれる償還日に返済する金額で必ず返済しないといけません。
そのため安定した収益を得ることが可能です。比較的出口戦略も立てやすく「ローリスク・ローリターン」での投資方法となります。
投資信託、ETF
投資信託やETFは、NISAやつみたてNISA、iDeCoを利用する際の投資先としても人気です。投資信託は、株式や債券といった個別銘柄へ直接投資をするのではありません。不特定多数の投資家から資金を一つに集めてファンドを形成し資産運用のプロがあらかじめ決められた投資先へ分配して投資を行う方法です。
一般的に株式は、日本の証券取引所に上場している現物株式の場合、100株を1単元として購入することが必要となるため、銘柄によっては数万円~数百万円必要になる場合があります。しかし投資信託であれば100円という少額からスタートすることが可能です。自分で投資先が決められなかったり初心者で少額から投資を始めたかったりする人に向いている投資先といえるでしょう。
一方で細かな投資先を自分で決めることができない点は、デメリットです。特にインデックスファンドでは、投資先が業績悪化をしてもすぐに投資先が切り替えることができません。これにより損失を被る可能性もあるため、投資に自由が利きづらい一面はデメリットといえます。また投資信託が株式のように証券取引所へ上場したものがETFです。
ETFは、一般的な投資信託とは異なりリアルタイムで自由に売買ができます。株式のような側面も持っており投資信託自体の価格の変動によって利益を出すことも可能です。
不動産投資、REIT
不動産投資は、現物不動産を購入して不動産を貸し出すことで家賃収入を得る投資法。一般的にローンを組んで始める人が多い傾向です。ローンを組むことに不安な人もいるかもしれませんがローンの返済額や管理費などの経費より家賃収入が上回っていれば毎月のキャッシュフローはプラスとなります。不動産投資は、定期的な家賃収入だけでなく売却して利益を確保することも可能です。また「団体信用生命保険」に加入していればローン契約者に万が一のことがあっても保険でローン残金を相殺できるため、現物資産を遺族に残すことができます。ただし空室リスクなどの「見えないリスク」をあらかじめ慎重に見極めておかないと大きな失敗につながる可能性があることは押さえておきたいポイントです。
REITは、不動産投資信託のことで間接的に不動産へ投資することができます。例えばJ-REITの場合、証券取引所の営業時間中であればいつでも売買することが可能です。5万円程度から投資できる銘柄もあるため、現物不動産に投資するよりも少額から始めることができるでしょう。また現物不動産のようにローンを組まないで始められることもメリットです。
しかし「不動産投資」の項目で取り上げた毎月の家賃収入や団体信用生命保険はありません。単純に投資信託の基準価額の差で利益を出したり分配金目的で保有したりすることになります。
暗号資産
近年は、ビットコインをはじめ「仮想通貨」と呼ばれるものを活用して投資をすることも増えてきました。仮想通貨の正式名称は「暗号資産」と呼ばれ価格の変動差によって大きな利益を出すことが可能です。一般的に暗号資産での利益の出し方は、値上がりによるものになります。ただし値上がり幅が株式などよりもはるかに大きいのが特徴です。
「億り人」「ビットコイン長者」などと呼ばれる暗号資産の値上がりで資産を一気に伸ばした人も耳にしたことがあるのではないでしょうか。暗号資産のメリットは、大きな値動きにより莫大な利益を出すこと期待できることです。しかし同様に損失も大きくなる可能性があり非常にハイリスク・ハイリターンな投資商品といえるでしょう。
後述するFXも同様ですが暗号資産などに投資をできる「資金」を大きく持っている人が暗号資産や為替を大きく動かす影響力を持っています。その影響力を持つ人の動向によっても左右されやすいことも特徴の一つです。
FX
「FX」とは、外国為替証拠金取引のことです。日本円対米ドルなど為替レートの変動の差額によって利益を出す投資法です。例えば1米ドル100円のときに1米ドルを購入し1米ドル120円のときに売却した場合は、20円の利益を出すことができます。この手法を活用してさらにレバレッジをかけて大きな利益を出すことができる仕組みがFXです。
FXは、レバレッジをかけることで大きな利益を出すことが期待できる点はメリットですが仮想通貨同様大きな損失を負う可能性もあります。また少額の証拠金でも大きな金額を取引できたり「売り」から入れたりする点はメリットです。ただし為替に大きな影響を及ぼす大きな資金を持つ人や世界の経済指標の発表によって急騰や急落をする可能性もありその結果大きな損失をこともあります。
金
金に投資をする方法も選択肢の一つです。金は、地球上に限りがある資産のため、昔から資産価値がある投資商品として活用されており安定した価値を常に維持しています。そのため安定資産として活用されることも少なくありません。また世界で共通している「現物資産」のため、急騰や急落することも少ない点が魅力の一つです。
しかし金に投資しても株や投資信託などのように配当や利息は付かないため、あくまでも資産価値の維持として保有しておくことが目的となるでしょう。ちなみに金の現物を業者に保管してもらうためには、別途管理料がかかります。現物の金を保有せず投資信託やETFなど金に関連する銘柄へ間接的に投資する方法も選択肢の一つです。
結局何から始めたらいいの?
多くの投資先のメリットやデメリット、特徴を挙げましたが最も大切なことは「何に投資をするか」ということです。また「何に投資をするか」ということを選定していくためには、以下のようなポイントがあります。
- 何年後に向けて投資をするのか(出口戦略)
- どのくらいのリターンを求めるか、そしてそのリターンに対してどのくらいのリスクを負えるか
- 毎月積み立てるのか、それとも一気に投資をするのか
投資に失敗する原因の一つとして「思いつきで投資をする」ということが挙げられます。投資を行うには、戦略を大切にしてどのようなことが起きても対応できることが重要です。この戦略を大切にしたうえで株式や債券、投資信託、不動産などさまざまな投資法を活用していけば投資の成功率を高めることが期待できるでしょう。
(提供:YANUSY)
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