フレックスタイム制は、労働者が自ら柔軟な働き方を選択できる勤務制度だ。今回は、フレックスタイム制の仕組みや導入状況、メリット・デメリットなどについて解説する。制度を導入するときのポイントもまとめたので、ぜひ参考にしてほしい。
目次
フレックスタイム制とは
フレックスタイム制は、事前に定められた総労働時間の範囲内であれば、社員が自主的に始業・終業時刻や労働時間を決められる制度である。
2019年から施行されている働き方改革の目的は、労働者が多様化な働き方を選択できる環境を整えることだ。
フレックスタイム制は、社員の事情に合わせた勤務時間の設定を後押しし、限られた勤務時間で社員の成果を最大化するのに重要な制度だといえよう。
フレックスタイム制の仕組み
フレックスタイム制と一般的な労働時間制の仕組みを比較してみよう。
通常の労働時間制度は、就業規則等で始業・終業時間が定められており、決められた時間内で業務を遂行しなければならない。
その点、フレックスタイム制の最大の特徴は、フレキシブルタイムとコアタイムにある。
フレキシブルタイム
従業員が自由に勤務開始・終了時刻を選べる時間帯だ。フレキシブルタイムの設定時間内であれば、従業員は自身の生活リズムや業務の状況に合わせて自由に出勤・退社が可能で、効率的な働き方の選択ができる。
コアタイム
従業員が必ず出勤しなければならない時間帯のことだ。一般的には10時から15時までがコアタイムと設定されており、全てのフレックスタイム制で働く従業員は該当時間に出社して業務に従事しなければならない。これにより、会議などのように、複数人で同時に行わなければならない業務の活動時間を保証している。
精算期間
精算期間は、フレックスタイム制における労働時間の調整期間であり、通常は1ヵ月以内だったが、2019年より最長で3ヵ月まで延長できるようになった。この期間内であれば労働時間が法定労働時間の過不足があっても、次の精算期間まで持ち越せるため、従業員は一定の柔軟性を持って勤務計画を立てられる。
具体的な勤務時間の設定方法については、後ほど解説する。
スーパーフレックスタイム制
フレックスタイム制の一種で、勤務時間の全てがフレキシブルタイムで設定されており、コアタイムがないため労働者は自己裁量で就労タイミンングを決定できる。従業員が自分のライフスタイルに合わせて、より柔軟に勤務時間を設定できる制度であり、特に自律的かつ効率的な働き方を求めるホワイトカラー層に適している。