フレックスタイム制は、労働者が自ら柔軟な働き方を選択できる勤務制度だ。今回は、フレックスタイム制の仕組みや導入状況、メリット・デメリットなどについて解説する。制度を導入するときのポイントもまとめたので、ぜひ参考にしてほしい。

目次

  1. フレックスタイム制とは
  2. フレックスタイム制の仕組み
    1. フレキシブルタイム
    2. コアタイム
    3. 精算期間
    4. スーパーフレックスタイム制
  3. フレックスタイム制のメリット3つ
    1. メリット1.労働生産性の向上が期待できる
    2. メリット2.ワークライフバランスを意識して働ける
    3. メリット3.社員の定着率を改善できる
  4. フレックスタイム制のデメリット2つ
    1. デメリット1.労働時間の管理が煩雑になる
    2. デメリット2.社員の自主性に依存しやすい
  5. フレックスタイム制の導入状況
    1. 産業別の導入割合
  6. フレックスタイム制を導入するポイント8つ
    1. ポイント1.就業規則等の規定変更
    2. ポイント2.対象労働者の選定
    3. ポイント3.清算期間と1日の労働時間を決定する
    4. ポイント4.時間外労働の扱いを考慮する
    5. ポイント5.コアタイムとフレキシブルタイムの設定
    6. ポイント6.労使協定の締結
    7. ポイント7.休憩時間の取り扱い
    8. ポイント8.働き方改革の改正に対応
  7. フレックスタイム制と裁量労働制の違い
    1. 専門業務型裁量労働制
    2. 企画業務型裁量労働制
  8. フレックスタイム制で労働生産性やワークライフバランスを改善
  9. フレックスタイム制に関するQ&A
    1. フレックスタイム制は1日何時間働く?
    2. フレックスタイム制のメリットとデメリットは?
    3. フレックスタイム制の精算期間とは?
    4. フレックスタイム制で時間給はいくらもらえる?
    5. フレックスタイム制の休日数は?
フレックスタイム制とは?仕組みやメリット・デメリットを解説
(画像=Suzi Media/stock.adobe.com)

フレックスタイム制とは

フレックスタイム制は、事前に定められた総労働時間の範囲内であれば、社員が自主的に始業・終業時刻や労働時間を決められる制度である。

2019年から施行されている働き方改革の目的は、労働者が多様化な働き方を選択できる環境を整えることだ。

フレックスタイム制は、社員の事情に合わせた勤務時間の設定を後押しし、限られた勤務時間で社員の成果を最大化するのに重要な制度だといえよう。

フレックスタイム制の仕組み

フレックスタイム制と一般的な労働時間制の仕組みを比較してみよう。

フレックスタイム制

通常の労働時間制度は、就業規則等で始業・終業時間が定められており、決められた時間内で業務を遂行しなければならない。

その点、フレックスタイム制の最大の特徴は、フレキシブルタイムとコアタイムにある。

フレキシブルタイム

従業員が自由に勤務開始・終了時刻を選べる時間帯だ。フレキシブルタイムの設定時間内であれば、従業員は自身の生活リズムや業務の状況に合わせて自由に出勤・退社が可能で、効率的な働き方の選択ができる。

コアタイム

従業員が必ず出勤しなければならない時間帯のことだ。一般的には10時から15時までがコアタイムと設定されており、全てのフレックスタイム制で働く従業員は該当時間に出社して業務に従事しなければならない。これにより、会議などのように、複数人で同時に行わなければならない業務の活動時間を保証している。

精算期間

精算期間は、フレックスタイム制における労働時間の調整期間であり、通常は1ヵ月以内だったが、2019年より最長で3ヵ月まで延長できるようになった。この期間内であれば労働時間が法定労働時間の過不足があっても、次の精算期間まで持ち越せるため、従業員は一定の柔軟性を持って勤務計画を立てられる。

具体的な勤務時間の設定方法については、後ほど解説する。

スーパーフレックスタイム制

フレックスタイム制の一種で、勤務時間の全てがフレキシブルタイムで設定されており、コアタイムがないため労働者は自己裁量で就労タイミンングを決定できる。従業員が自分のライフスタイルに合わせて、より柔軟に勤務時間を設定できる制度であり、特に自律的かつ効率的な働き方を求めるホワイトカラー層に適している。