フレックスタイム制と裁量労働制の違い

裁量労働制は、労使協議によって事前に定められた労働時間だけ就労したとみなす制度である。

実労働時間に関わらず労働時間が定められており、時間外労働分の賃金は見込み分として含まれているため、フレックスタイム制のような清算期間は存在しない。

対象業務によって以下の2つに分類される。

専門業務型裁量労働制

専門業務型裁量労働制では、製品の研究開発や情報処理システムの設計、衣服のデザイン、士業など、専門的な19業務を担当する労働者を対象としている。制度運用においては、労使協定が必要だ。

企画業務型裁量労働制

企画業務型裁量労働制は、事業活動において重要な意思決定を行うために、本社や本店といった中枢組織において、企画・立案・調査・分析などを行う労働者を対象としている。

事業運営に多大な影響を与える事業・営業計画を行う支社等であっても適用できる。労使委員会で決議し、裁量労働対象者の同意を得たうえで、所轄労働基準監督署長に届出する。

フレックスタイム制で労働生産性やワークライフバランスを改善

フレックスタイム制は、柔軟な就労を実現する勤務制度として注目されている。

社員の裁量に任せる一面もあるが、限られた就労時間内で労働生産性を向上させ、ワークライフバランスを改善するには有効だろう。

ただし、フレックスタイム制を導入してこなかった企業には、労務管理面で一時的に負担が生じる可能性がある。限定的に導入しながら、少しずつ制度を整えてみてはいかがだろうか。

フレックスタイム制に関するQ&A

フレックスタイム制は1日何時間働く?

フレックスタイム制では、1日の労働時間は法定の労働時間内で自由に設定できる。通常、1日の標準的な労働時間は7〜8時間だが、フレックスタイム制を採用している場合、始業や終業の時間を従業員が自由に決めることが可能だ。これにより、個々の生活スタイルや業務の都合に合わせて働く時間を調整できる。

フレックスタイム制のメリットとデメリットは?

フレックスタイム制のメリットは、従業員が自身の生活リズムに合わせて働けるため、ワークライフバランスが向上する点である。また、通勤が混雑する時間帯を避けられるため、通勤によるストレスが軽減される。

一方、デメリットとしては、従業員間のコミュニケーションが取りづらくなる可能性があることや、自己管理が苦手な人には不向きという点がある。

フレックスタイム制の精算期間とは?

フレックスタイム制における精算期間とは、労働時間の合計を計算するための期間を指す。この期間は通常、1ヵ月単位で設定されるが、企業によっては1週間や1年単位で設定することもある。精算期間の終わりには、総労働時間が法定労働時間を満たしているかどうかを確認し、超過または不足があれば調整する。

フレックスタイム制で時間給はいくらもらえる?

フレックスタイム制は労働時間の柔軟性が高まるものの、時間給は通常の勤務形態と変わらない。時間給は職種や企業、地域によって異なるが、労働契約に基づいて定められ、労働時間に応じて支払われる。

なお、時間外手当の取り扱いは通常の勤務形態と異なり、精算期間内での労働時間が所定の労働時間を超えた場合、その超過分に対して時間外手当が支払われる。

フレックスタイム制の休日数は?

フレックスタイム制の休日数は、通常の勤務体系と同様に企業の就業規則によって定められる。労働基準法に基づき、週1回以上、または4週につき4日の休日が必要であり、フレックスタイム制の導入によって休日数が増減することは基本的にない。従業員はフレキシブルに働くことができるため、休日を効率的に活用することもできる。

文・隈本稔(キャリアコンサルタント)

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