フレックスタイム制を導入するポイント8つ
フレックスタイム制を導入するポイントを8つお伝えしよう。
ポイント1.就業規則等の規定変更
フレックスタイム制の導入は、労働条件の変更に該当する。
従業員に不利益を与えない内容でのルール設計が必要なため、就業規則や社内規定などで、「始業・終業時刻は従業員の自主判断に任せる」といった内容の記載が必要となる。
ポイント2.対象労働者の選定
フレックスタイム制の導入では、適用する労働者を選定しなければならない。
全社員を対象にしてもよいが、業務内容によっては、通常の勤務体制が必要なケースもあるだろう。部署やグループごとに適用できるので、社員の要望も加味しながら判断して欲しい。
ポイント3.清算期間と1日の労働時間を決定する
清算期間とは、フレックスタイム制のもとで社員が勤務すべき時間を決める期間だ。清算期間を定める場合、法定労働時間の枠内としなければならない。
清算期間の設定後は、制度の対象社員が1日の勤務時間を設定しなければならない。基本的には、清算期間内の総労働時間を所定労働日数で割った時間を参考に設定する。
労働時間が、清算期間内の総労働時間よりも少なければ減給となり、超えた分は割増賃金として支払わなければならない。
ポイント4.時間外労働の扱いを考慮する
フレックスタイム制による勤務では、法定労働時間(1日8時間/週40時間)を越えたからといって、すぐに時間外労働とはならない。
あくまで、事前に設定した総労働時間が判定基準となり、清算期間中において法定労働時間の総時間を超えた分が時間外労働と判断される。
社員に時間外労働を課すには、フレックスタイム制でも36(サブロク)協定の締結が必要だ。
ポイント5.コアタイムとフレキシブルタイムの設定
フレックスタイム制の特徴であるコアタイムとフレキシブルタイムは、必ずしも設定する必要はない。いずれも設定しないことで、社員は出社日を自由に設定できる。
ただし、組織的な業務を行う企業において裁量権を社員にすべて委譲するのは困難であり、コアタイムの設定をおすすめしたい。
ポイント6.労使協定の締結
フレックスタイム制の導入は、就業規則等の不利益変更につながる恐れがあるため、会社側からの一方的な変更は許されていない。運用ルールの枠組みが完成したら労使協定によって、労働組合や労働者の代表社員から同意を得なければならない。
ポイント7.休憩時間の取り扱い
休憩時間についてはフレックスタイム制でも、労働基準法第34条の基準が適用される。
休憩時間の取得ルールは下記の通りだ。
6時間以内の勤務:0分
6時間から8時間の勤務:最低45分
8時間を超える勤務:最低1時間
ポイント8.働き方改革の改正に対応
働き方改革の法改正にともなって、フレックスタイム制の清算期間の上限が1ヵ月から3ヵ月に変更された。清算期間の上限を1ヵ月よりも長く設定する際の対応は下記の通りだ。
・最大3ヵ月間の総労働時間で時間外労働や労働時間の不足判断する
・法定労働時間を守ることに加え週平均50時間を超えて勤務させない
・労使協定を変更して所轄労働基準監督署長に届出する
清算期間が長くなっても、特定の月に労働者に過剰な勤労を強いることは禁じられている。
また、1ヵ月目に所定労働時間よりも多く働いて、3ヵ月目に所定労働時間よりも少なく働いた場合などには、労働時間の相殺が発生する。給与計算が従来よりも煩雑になるかもしれない。