フレックスタイム制のメリット3つ
フレックスタイム制の導入は、社員と企業の両方にメリットをもたらす。
メリット1.労働生産性の向上が期待できる
業務は、日付や曜日によって忙しい時間が異なる場合もある。フレックスタイム制であれば、状況に応じてフレキシブルな選択ができ、労働生産性を向上させられる。
メリット2.ワークライフバランスを意識して働ける
フレックスタイム制では、始業・終業時間を社員がコントロールできる。
子どもの通学を見送ってから出社したり、早めに退社してジムや習い事に通ったりできる。社員がワークライフバランスを意識して働きやすくなるだろう。
メリット3.社員の定着率を改善できる
フレックスタイム制の導入には、女性の定着や愛社心の向上といった効果も見受けられる。
また、急な事態に労働時間を調整できるので、子育てや介護などが必要な社員には、長く会社で働くのに必要不可欠な制度だろう。
参考:内閣府「両立支援策の利用が企業に与える効果についての分析」
フレックスタイム制のデメリット2つ
フレックスタイム制を導入していなかった企業には、システムや働き方の変更にともなって、一時的なデメリットが生じることもある。
デメリット1.労働時間の管理が煩雑になる
フレックスタイム制の導入企業では、社員それぞれの始業・終業時間や休憩時間が異なり、労働時間の管理が難しくなる。
労働時間の過少申告が発生する可能性もあるため、労務管理システムをフレックスタイム制に合わせて整備し、社員の時間管理意識も高めなければならない。
デメリット2.社員の自主性に依存しやすい
フレックスタイム制では、出社時間などを企業が指定することは、基本的に禁止されている。
そのため、社員の自己判断に依存しやすく、コアタイムの設定による出勤・退社時間のコントロールも必要だろう。
コアタイムに打ち合わせを行うなど、企業側はもちろん社員同士で配慮しなければならない。
フレックスタイム制の導入状況
厚生労働省の「就労条件総合調査」を参考に、中小企業を対象としたフレックスタイム制の導入状況を確認してみよう。
変形時間労働制を導入していない企業の割合は、2010年から2023年までの間で35〜50%ほどの推移となっている。フレックスタイム制の導入企業は4%から6%強程度、最も高い2022年度でも8.2%と、普及が進んでいるとは言い難い状況だ。
ただし、働き方改革の時間外労働上限規制も適用されており、テレワークの環境整備も進んでいるため業務時間改善の選択肢として今後さらに普及する可能性も高い。
フレックスタイム制は企業規模が大きいほど導入割合が高く、2023年の調査結果では従業員1,000人以上の企業の30.7%が導入しており、30〜99人の導入割合である4.2%よりもはるかに多い。
産業別の導入割合
フレックスタイム制の産業別の導入割合のランキング上位5つは、以下の通りだ。
1位:情報通信業(34.4%)
2位:学術研究、専門・技術サービス業(21.6%)
3位:電気・ガス・熱供給・水道業(18.8%)
4位:複合サービス事業(17.3%)
5位:金融業、保険業(14.9%)
通信放送サービスを提供するテレビ局やソフトウェア開発会社などが含まれる情報通信業は業務の自由度が比較的高く、導入率は継続的に首位となっている。
また、業務の自己裁量性が高い研究機関など専門性の高い分野でも引き続きフレックスタイム制の導入は進むであろう。