カルテルで独占禁止法に違反するとどうなる?

万一、自社の行為がカルテルに該当し、独占禁止法違反となってしまうとどうなるのだろうか。違反すると「課徴金」を支払わなければならない。課徴金の金額は、違反行為に係る期間中の対象商品、役務の売上額、購入額に事業者の規模に応じた算定率を掛けて計算される。

過去には、中小企業でも数億円に及ぶ課徴金の支払いを命じられたケースもある。その他違反事実が認定されれば取引先や消費者からの損害賠償請求や株主からの株主代表訴訟提起など、さまざまなリスクへと飛び火してしまう。何より自社に対する信用喪失につながることが大きなリスクともいえる。

カルテルへのリスク対策

リスク対策の一環として「適用除外制度」について知っておこう。独占禁止法では、独占禁止法以外の政策目的を実現するなどの観点から一定の場合に関係省庁への届け出などの必要な手続きを行うことで例外的にカルテルを認める「適用除外制度」を設けている。この適用除外制度は、独占禁止法自体に規定されているものと他の法律に規定されているものがある。

独占禁止法による適用除外制度

独占禁止法自体に規定されている適用除外制度は、以下の3つの行為にかかるものだ。

  • 知的財産権の行使と認められる行為(第21条)
  • 小規模事業者・消費者の相互扶助を目的とする一定の組合の行為(第22条)
  • 公正取引委員会が指定する商品・著作物に係る再販売価格維持行為(第23条)

とはいえ、各行為の解釈には注意が必要だ。例えば第22条の「一定の組合の行為」は、共同販売や共同購入など各協同組合法が定める「組合に固有の行為」を指す。定めのない取引当の行為は適用除外とならない。

個別法律による適用除外制度

また個別の法律により適用除外を定めているものもある。2021年度末現在では、17法律23制度あり、例えば保険業法などにもとづく「保険カルテル」、道路運送法にもとづく「運輸カルテル」などがある。自社の業務の内容や行為が適用除外制度の範囲に該当するかどうか、公正取引委員会や専門家に相談することが大切だ。

知らないうちにカルテルにならないよう要注意!

事業者が他の事業者と共同して価格や販売・生産数量、販路などを取り決める行為は、カルテルとして独占禁止法で禁止されている。今回紹介したいくつかの例のように近年は、カルテルの対象が雇用や技術、環境対策などに及んだり消費者利益のための行為もカルテルとみなされたりするケースも少なくない。

思いがけず自社がカルテルに関与したと調査対象にならないようにあらためてカルテルについての知識を高め、法令遵守に努めて欲しい。