QC活動のメリット4点
QC活動は、製品やサービスの品質向上以外にもさまざまなメリットがある。ここでは、主なメリット4点を順番に解説していく。
高品質な製品提供による企業の信用・ブランド力向上
QC活動を継続することで、より高品質な製品を世に送り出せるようになる。またQC活動は、社内へ改善案の情報共有も行うため、全社レベルでの品質の底上げになる点も重要なポイントだ。製品の品質が上がれば企業の信用も向上し「あの会社の製品は安心して利用できる」という顧客の信頼も得られる。最終的には、企業のブランド力も向上し競合他社との差別化や売上アップも期待できるだろう。
品質を数値で客観的に把握できる
QC活動では、統計的な手法を用いて改善を進めるため「品質を数値化して明示する」という特徴がある。QC活動により品質を定期的に数値化することで、品質を客観的に把握できるようになる点もQC活動の大きなメリットだ。品質を数値化すれば、競合他社と品質面での比較をし、自社製品の改善点を見つけやすくなる。
業務改善の達成感や実績を認められる満足感を得られる
QC活動により業務改善の目標が達成できると、QC活動に参加している従業員は大きな達成感を得られる。またQC活動の実績を認められれば満足感も得られ、仕事そのものに対する自主性の向上も期待できるだろう。
現場社員のモチベーション向上につながる
QC活動は自分から改善提案を行い、実際に改善策を講じてその結果が出れば認められるため、モチベーションの向上につながりやすい。製造業の現場では、単純作業の繰り返しが多い。製造の全体像が見えにくく分業制になっている場合は、自分が何をしているか分かりにくいため、モチベーションが低下しがちだ。
従業員のモチベーションは、生産性に大きく関連があるため、従業員の意欲が向上すれば生産性の向上も期待できる。
QC(品質管理)の手法3つ
企業は、それぞれに独自の手法を用いて品質管理に取り組んでいる。ここでは、以下の代表的な3つの手法を紹介しよう。
データ整理・分析に必要なQC7つ道具
品質管理においては、数値化と分析が必要不可欠だ。データの整理や分析に必要とされる「QC7つ道具」と呼ばれるものがある。例えば不良発生の原因や傾向を特定し問題点を分析するためには、さまざまなデータを収集し分析しなければならない。そのデータの相関関係を「QC7つ道具」を利用して分析することで解決すべき問題点や不良発生の原因や傾向が特定できるのである。
データの整理や分析に用いる「QC7つ道具」には、以下のものがある。「QC7つ道具」は、数字だけでは分かりにくいものを図やグラフにして整理するためのものだ。数値だけでは見落としてしまうような問題点を可視化することで浮き彫りにすることが期待できる。品質管理における問題点を「見える化」する手段といってよいだろう。
7つ以外に「層別」と呼ばれる各技法のグループ化したデータの取り扱いの考え方を示すものがあり、これを「QC7つ道具」の一つに数えグラフと管理図を一つの手法とする場合もある。
言語データや文字情報を見やすく表現する新QC7つ道具
製造業以外の業種でも品質改善は必要だ。言語データや文字情報を分かりやすく図や表にあらわす「新QC7つ道具」と呼ばれるものもある。
言語データとは「部署間の情報の共有ができていない」「器具の設計に時間がかかる」など、数値で表すことができない言葉によるデータのことだ。新QC7つ道具は、以下の通りである。
- 系統図法
- 連関図法
- マトリックス図法
- アローダイヤグラム法
- PDPC法
- 親和図法
- マトリックスデータ解析法
言語データを整理するのに適した図や表となっている。小売業や飲食業、ホテル業における企画や営業の世界では、数値化できない言語データの整理が必要だ。そのため製造業のような数値分析ではなく言語データが利用される。
相関分析などの統計的な手法(統計的品質管理)
QC7つ道具では、データの整理・分析に役立ち、新QC7つ道具は言語データや文字情報を分かりやすく整理できる手法だ。しかし、これらの手法ではカバーできない場合、統計的手法を用いる。統計的手法とは、収集したデータの傾向や性質を、数量的に把握する方法だ。
統計的品質管理では、製造工程の全パターンを網羅することが厳しい場合に、サンプルデータを収集・測定して、工程や検査ロットの実態を把握する。少数のサンプルから精度の高い情報を得るためには、統計的品質管理が最適だ。
統計的品質管理は「SQC:Statistical Quality Control」とも呼ばれ、その具体的な手段には以下が挙げられる。
- 検定・推定
- 実験計画法
- 相関分析
- 回帰分析
- 直交多項式
- 二項確率紙
- 簡易分析法
- 多変量解析
これらの手段のうちどれを使用するかを選定し、使いこなすためには専門的な知識が求められる。そのため統計的品質管理を導入するには、専門的な知識を持つ人材の育成や分析結果を可視化する体制・仕組み作りも重要だ。