本記事は、天田浩平の著書『マンション投資の「ルール」は私が教えます』(講談社)の中から一部を抜粋・編集しています
ルール① 物件選びで最優先すべきは、その「立地」。賃貸需要が高い東京23区内であること
失敗しない中古ワンルームマンションの選び方は、私の経験と知識を総結集して本書でもっとも強調したいテーマです。くり返しになりますが、需要の高いエリアで、入居率の高い物件を買うことができれば、中古ワンルームマンション投資の9割は成功したと言えるからです。
そこで、私が販売してきた2,500戸以上と、自分が所有する国内88戸で、失敗なく賃貸経営を続けてきた最大の理由である「物件選びの7つのルール」について説明していきましょう。
まず1つ目は「立地」です。
断言しますが、立地は東京23区が絶対条件です。例外的に私が扱ってきたのは武蔵野市の一部、三鷹市の一部、加えて川崎駅、横浜駅周辺の物件です。なぜなら、ほかのエリアは賃貸入居者需要が格段に低くなる可能性があるからです。
また、優良物件を厳選してきた私のこれまでの感覚で、23区内でも鉄道の路線やエリア、同じ区でも最寄り駅によって、入居率に差があることを感じています。
あくまでも私の経験値による説明になりますので、その点はあらかじめご了承いただいたうえで、ご参考としてください。
同じ区内でも、ひと駅違うだけで賃貸需要には差が出る
たとえば練馬区の場合、練馬駅周辺はとても賃貸需要のあるエリアです。ところが、練馬駅より少し先の沿線は、ワンルームマンションの需要がそれほど高くないのです。
練馬区はどこも活気がある素晴らしい街です。鉄道路線では、西武池袋線だけでなく、地下鉄の有楽町線や副都心線、大江戸線も通っているのでとても便利なのです。しかし、ひと駅変わるだけで入居率に影響が表れるのが、ワンルームマンションの世界なのです。
ファミリー層が好むエリアでもあるので、それもひとつの原因でしょうが、駅がひとつかふたつ離れるだけで「こんなに変わるのか」と思うほど、ワンルームマンションでは賃貸物件の入居率に差が出るように感じています。
単身者の賃貸ニーズとファミリー層の人気エリアは異なる
こうしたちょっとの違いで、賃貸物件としての需要の差が出るケースはほかにもあります。わかりやすい例があります。
小田急線は、高級住宅街が沿線にあり、住みたいエリアとして高い人気を誇っています。
ただし、その人気を支えているのはおもにファミリー層です。成城学園前駅まで行くと圧倒的にファミリー層需要が多くなるので、ひとつ手前の祖師ヶ谷大蔵までが、中古ワンルームマンション投資の対象先としては安心でしょう。
路線に関しては、新しい路線や、都電、モノレールなどの沿線も一部の駅を除くと空室率が高くなる傾向にあります。
やはり、投資メリットのある物件を探すのであれば、賃貸需要が高いJRや、地下鉄、私鉄の主要ターミナルや、中核駅に近いエリアを考えるべきでしょう。
物件は少ないが、吉祥寺も需要の高いエリア
東京23区以外では、前にも述べたとおり川崎駅、横浜駅の周辺が高需要エリアです。
そして単身者向けのワンルームマンションはなかなか少ないのですが、武蔵野市の吉祥寺も人気がある街で、需要の高さは群を抜いています。
ここまで具体的に立地について書くのは、本書がはじめてです。
この情報は、2,500戸以上取引してきた私が、販売したすべての物件のその後の入居状況を含め、10年以上見続けてきて感じていることです。
あくまでも私個人の14年間の販売実績と投資実績から導き出した、私だけの「ルール」ですので、当然、今後変わる可能性もあるでしょう。また、異論がおありの方もいるかもしれません。実際、私が物件を扱わないエリアで、順調に賃貸経営されている方もたくさんいらっしゃると思います。
ですので、「あくまでも私・天田の場合のルール」として、参考程度にしていただければ幸いです。
ルール② 最寄り駅から徒歩10分以内が目安
ルール③ 面積は狭すぎても広すぎてもNG
物件選びの2つ目の条件は立地条件にも重なることですが、最寄り駅からの距離です。
需要の高いワンルームマンションは、最寄り駅から徒歩10分以内であることは、すでにご存じの方も多いでしょう。
もちろん近ければ近いほうが条件はよくなりますが、駅から徒歩10分以内であれば、1分でも9分でも入居率に大差はありません。
ただし、恵比寿、三軒茶屋、広尾、渋谷など都心で圧倒的に人気があるエリアは、駅から徒歩10分以上でも入居率が高い物件が多くあります。
たとえば、都内でも賃貸需要の少ないエリアの駅から徒歩2分の物件より、人気エリアの恵比寿駅や三軒茶屋駅などから徒歩12分の物件のほうが空室になりにくいこともあります。
もちろん、東京23区のなかでも都心のほうは、駅から徒歩10分以上でも物件価格は高い傾向があります。このように、都心かそれ以外かで駅からの距離の見極めは多少変わります。
専有面積は最低18㎡以上が望ましい
3つ目の条件は部屋の広さです。ワンルームマンションそれぞれの専有面積ですが、これも微妙な幅があります。あえて言えば、
「狭すぎてもダメ。広すぎても厳しい」
というところでしょうか。
私の場合は経験値で、お客様に販売するマンションは、風呂やトイレを含む専有面積が最低でも18㎡、広くても40㎡くらいまでです。
40㎡あれば1LDKなどのタイプとなりますが、ひとり暮らしでも広い部屋を好まれる方もいますし、カップルや夫婦で住まれる方もいます。
ただ、私がおすすめしている中古ワンルームマンションのボリュームゾーンは、20〜30㎡台が圧倒的に多いです。
自分で買ったマンションのなかには、空室リスクがやや高い15㎡くらいのものも所有していますが、お客様には基本的に18㎡以上をおすすめしています。
ルール④ 物件の立地、駅からの距離、専有面積に加え、建物の総戸数も4つ目の条件として無視できない
戸数が少ないマンションは、住む側には案外人気があるように思われます。ただし、投資用マンションとなると、選択の視点はまったく異なります。少ない戸数のマンションの場合、建物全体の修繕工事や改修工事の1戸あたりの費用負担額が増えるからです。
そのため、投資用ワンルームマンションを買うなら、少なくとも20戸以上ある建物が理想です。
実際、私の会社で扱っている物件は20戸以上のもので、なかでも優先的に仕入れているのは30戸以上ある建物の中古ワンルームマンションです。
30戸あれば、修繕積立金も貯まっていき、将来の建物の補修などの費用もまかなえる可能性は高く、予想外の出費も出にくいので投資物件としてメリットも出ます。
ところが、20戸以下のマンションの場合、月1万5,000〜2万円の管理費や修繕積立金が必要になるところもあります。
3LDKを超えるファミリータイプは別ですが、単身者向けの物件でそこまで高い管理費や修繕積立金を払い続けるのは得策ではありません。管理費や修繕積立金はマンション所有者が負担するのが一般的です。管理費が高いからといって、すぐに家賃を値上げすることもできませんので、その分、オーナーに入ってくる家賃収入の手取りが減るということです。
修繕積立金などが、先々で上がる物件は収益に影響する
また、総戸数の少ない物件では、当初は修繕積立金をおさえていても、のちのちの大規模修繕工事を考慮し、途中からその積立額が急激に上がるケースもあります。投資用マンションの場合、修繕積立金の大幅な増額は、結果的に投資用マンションの利回りに影響が及ぶことになります。実質利回りが下がるということです。
もっとも、修繕積立金がある程度高くても、立地や築年数から妥当な場合も当然あります。当初からその金額を織り込んで購入していれば問題ありませんが、困るのは途中で大幅に上がることです。したがって、投資の利益性にズレが生じるリスクは、できるだけ避けたいのです。
総戸数は、不動産の知識がない方にとって盲点になりやすいポイントかもしれません。ですから、マンション投資を考えるとき、まずは20戸以上ある建物を目安に物件を選んで、管理費と修繕積立金も相場の金額かどうか必ずチェックしてください。
ルール⑤ 築年数は築10~20年の物件が理想。浅すぎる築年数の物件は、家賃下落リスクが高い場合も
5つ目の条件は、築年数です。
1981年6月に施行された新耐震基準法で、「震度5強程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6強から震度7に達する大規模地震でも倒壊は免れる」という建築基準が義務づけられました。
そのため、その基準法を守ったうえで建設された1981年以降の物件は、築30年以上たっても地震に強い丈夫なマンションがほとんどです。
35年ローンを組むなら、築20年前後の物件を
ローンを組まずにキャッシュで中古マンション投資を考えている方は、30年以上たったマンションも選択肢に入れることがあります。しかし、中古ワンルームマンション投資のように、ローンを組んで家賃収入で返済するとなると話は別です。
築30年以上のワンルームマンションを買いたくても、実際は長期ローンを組むことが難しくなります。
ですので、マンション投資において、月々の返済額を少なくするために35年でローンを組みたい場合、築20年前後までの物件を検討されたほうがよいでしょう。
家賃が相場に対して妥当な物件を狙う
私がおすすめしているマンションの築年数は、築10~20年以内のものが多いのですが、築年数は5年でも15年でもじつは問題ありません。要は家賃が相場に対して妥当な物件を狙い、物件価格も落ち着いてきた段階で買うことが大切なのです。
逆に、築年数の浅い段階で、家賃も相場と比べて割高な物件を買うと、周辺物件の家賃相場まで下がる可能性が高くなるのです。
ですから、築10〜20年の間で、家賃が安定しているマンションを選ぶといいでしょう。
老朽化リスクを気にされる方もいますが、鉄筋コンクリート構造(RC)や鉄骨鉄筋コンクリート構造(SRC)のマンションの“寿命”はおおむね60〜70年とされています。
ただし、減価償却上、鉄筋コンクリート構造と鉄骨鉄筋コンクリート構造の建物は、法定耐用年数47年と定められています。
ところが、実際はそれより長い耐用年数があることがわかっており、鉄筋コンクリート構造のマンションの寿命は平均で68年、物理的な寿命としては最長で100年以上といった調査結果がまとめられています(国土交通省『中古住宅流通促進・活用に関する研究会』報告書より)。
長持ちする物件選びに欠かせないことは、投資用マンションの建物自体の現状と、修繕や改修工事の履歴を確認しておくことです。
大学卒業後、2007年、投資用中古マンションを扱う不動産会社に入社。2009年、中古ワンルームマンションを購入して、不動産投資を始める。2014年、提携金融機関のキャンペーンで融資実行件数全国1位(年170戸)を記録。以後、5年連続 販売記録を更新し、2019年(2018年10月~2019年9月)には、年間販売戸数387戸を達成。「販売戸数日本一の不動産営業マン」と話題に。2020年2月、株式会社エイマックスを設立。2021年12月現在の投資用不動産所有戸数は89戸(国内区分マンション13戸、国内1棟物件6棟75戸、海外物件1戸)。著書に『農業大卒の僕が29歳で年間170戸のマンションを売って日本一の営業マンになった秘密の方法』(KADOKAWA)、『月商6億円 日本No.1営業マンの「最速」仕事術』(祥伝社)がある。
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