本記事は、安藤広大氏の著書『数値化の鬼 ーー 「仕事ができる人」に共通する、たった1つの思考法』(ダイヤモンド社)の中から一部を抜粋・編集しています
数字に感じる「ネガティブ」を取り除こう
あなたは、「数字」という言葉を聞いて、どのようなことを考えますか。
おそらく、マイナスなイメージではないでしょうか。
まずは、数字に対する「アレルギー」を取り除くことから始めましょう。
なぜ、私たちは数字にネガティブな印象を持っているのでしょうか。
ビジネスパーソンが「数字」と言われて真っ先にイメージするのは、売上や成績など、「数字の目標やノルマ」だと思います。
つまり、あなたの仕事の結果に対する評価のことですね。
数字による結果が出ることは、学生時代のテストと同じで、
「あなたは50点で、半分しかできていません」「80点で合格ですが、あなたは60点なので、20点足りていません」
と、相手からダメだしをされている気がするかもしれません。
そこが数字へのアレルギーにつながるのでしょう。
ただ、学校や会社での評価は、別に「人間としての点数」や「人としての価値」を表しているわけではありません。
仕事上の「機能」として切り分けて考えないといけないのです。
●数字はつねに「未来」のためにある
なぜ、数値化をするのか、それを考えていきましょう。
それは、「未来」に目を向けるためです。
数字は、いま、自分には何が足りていないのか、どういう課題があるのか。それを「見える化」しているだけです。
テストで20点が足りていないのは、「次にどうすればそれを埋められるのか?」を考えるための手段です。
もちろん、過去のあなたに対する評価は下されます。
しかし、「じゃあ、次はどうするか?」が常にセットなのを忘れてはいけません。そこまでを考え切って初めて数字は意味を持ちます。
その手前だけで終わっているから、数字を見ることがどんどん嫌いになります。
それは、ダイエットをしようとしている人が体重計に乗って現実を見ることを怖がっているのと同じです。
数字として表せるものは、さっさと受け入れて客観的に分析するしかありません。
そして、次につなげるのです。
そうやって改善していき、次こそはうまくいったとしたら、どうでしょう。
途端に「数字」が好きになり、「数字」に向き合うのが楽しくなります。
その好循環をいち早く起こすのが、プレーヤー期間には求められることです。
●評価せざるを得ない「結果」を出そう
組織にいる限り、上司が評価を下し、部下がそれを受け取ります。
すると、次のような疑問が出てくると思います。
「評価する側の人に問題があったらどうするのか?」
人を評価する他者への疑念が出てくるはずです。
そこに対する識学の答えは、こうです。
「組織に所属している限り、直属の上司から評価される存在として、あなたは働いている。だから、評価につながる結果を出そう」
どうでしょう。少し厳しい言い方に感じたかもしれません。
上司と部下の関係を正しく機能させるためには、「公平性」がとても重要です。
誰が見ても公平で明らかな評価を、上司は部下に対して下す必要があるからです。
それを可能にするのが、「数値化」です。
・売上が「いくら」なのか ・改善行動が「何回」あったか ・期限を「どれだけ」守ったか
と、すべてのものごとを、いったん、数値化して評価するようにします。
まずは、すべて数値化できる前提で話を進めていきます。
●数字がないから「不満」が生まれる
逆に、数字ではなく「曖昧な概念」で評価をすると、不公平が生まれます。なぜなら、気に入っている部下に甘い評価を下せてしまうからです。
すると、次のような不満が出てきます。
「私の給料、どうやったら上がるんでしょうか。こんなに頑張っているのに」 「なぜ、あの人のほうが能力が低いのに、給料が高いんですか?」 「この積極性の評価点、どうしてDなんですか。Aのつもりなんですけど」 「私だけ未達成なのに、みんなと同じ給料でいいんでしょうか……」
これは、経営者やマネジャーの方々に来る質問の一例です。
読者のみなさんも、感じたことがあったり、同僚から言われたりしたことがあるのではないでしょうか。
これらの問題は、すべて「数値化」で解決することができます。
部下の立場では、上司が評価せざるを得ない結果を出すことが最優先事項です。
「あんな上司に評価されても仕方ない」と思うのではなく、結果を出すことが何より見返すチャンスになると思って、感情を横に置いてみてください。
ちなみに、識学を導入した会社では、数値化による評価制度を会社全体で徹底してもらうようにしています。
読者のみなさんは、「導入されていない会社だったらどうすればいいのか?」と思うかもしれません。世の中の多くの会社では、曖昧な評価基準で感覚的に上司が評価を決めているからです。
その場合は、まずは上司に対して、お互いの認識のズレがないように、
「どの数字を達成すれば、自分の評価につながるのですか?」
と伝えてみましょう。あなた個人は、正しく数値化で物事を考える姿勢を貫いてほしいと思います。
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