コンティンジェンシープランはなぜ必要?

注目される背景

国内でコンティンジェンシープランが注目される背景には、「地理的なリスク」と「ビジネス環境の変化」がある。具体的にどのような背景があるのか、以下では2つの観点から解説する。

自然災害リスクの高まり

地震をはじめ、日本では毎年さまざまな自然災害が発生する。例えば、2011年には東日本大震災が、2024年には能登半島地震が発生し、広範囲に多大な影響を及ぼした。

他にも台風や津波、洪水、火山の噴火など、企業活動や経済活動のストップにつながる自然災害は非常に多い。どの地域でも被災する可能性はあるため、災害発生を想定したコンティンジェンシープランの重要性は高いといえる。

日本政府も自然災害リスクへの備えには力を入れており、1994年には公益財団法人の金融情報システムセンターから、「金融機関等におけるコンティンジェンシープラン策定のための手引書」が発刊された。

(参考:FISC「金融機関等におけるコンティンジェンシープラン策定のための手引書(第3版追補)」)

ビジネス環境の変化に伴うリスクの顕在化

現代のビジネス環境はグローバル化が進み、多くの国内企業が海外進出を果たしている。その影響で、法令や規制などの国際的なリスクが顕在化するだけではなく、海外特有のリスク(治安や政情不安など)に直面する企業も出てきている。

また、サプライチェーンが複雑化した影響で、生産プロセスに問題を抱えるケースも珍しくない。例えば、コロナ禍の時期には世界中で半導体が不足し、多くの関連企業が生産停止を余儀なくされた。

グローバル化や規模拡大に伴うリスクは予測が難しいものの、コンティンジェンシープランの有無によって対策のしやすさは変わってくる。

コンティンジェンシープランを策定する目的

ここまでの内容を踏まえて、企業がコンティンジェンシープランを策定する目的を整理しておこう。

<コンティンジェンシープランの目的>
・経営や事業のリスクを最小限に抑える
・取引先や顧客への影響を抑える
・株主などのステークホルダーを安心させる

IT技術が台頭する前に比べると、現代の企業は多くのリスクに直面している。サイバー攻撃や情報漏えいをはじめ、以前は想定していなかったリスクに晒されている企業も多いだろう。

このような時代だからこそ、安定した経営基盤を築くためのコンティンジェンシープランが注目されている。ステークホルダーの安心にもつながるため、仮にリスクが顕在化しなかったとしても、コンティンジェンシープランを策定する意味合いは大きい。