本記事は、寿マリコ氏の著書『心地いい人がしている、人づきあいに役立つ習慣術』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています
印象に残るのは話の内容より「話し方」
会った人との話の内容は詳しく思い出せなくても、「Aさんは親しみやすくて感じが良かった」とか、「Bさんは活動的な人だった」など、人の印象は記憶に残っているものです。
会議やプレゼン、商談などで、話の内容に気を配っている人は多いと思います。もちろん話の内容は重要ですが、意外にも話し方のほうが人の印象に残るのです。
会話をする場合、言葉で伝えられる内容は全体の35%に過ぎず、65%は言葉以外によると分析している研究もあるほど、話の内容以外の要素が人に与える印象に大きく影響します。
話し方が原因で悪い印象が残り、不本意な評価をされたとしたら、とてももったいないことですよね。ただし話し方といっても、流暢に話す口達者な人が話し方が上手いというわけではありません。
話し方はそれぞれの状況に応じて、臨機応変に対応することが大切ですが、そのうえで次の点に気を配り、気持ちを込めて話すと相手に良い印象が残ります。
◆声の大きさは適度に大きく……小さい声は自信がない印象です。適度な大きさで、ハキハキ話す人が人気です。強調したい部分は、大きめの声で話すと印象を残せます。
◆声のトーンは状況に合わせる……雑談は高めの明るいトーンで、商談などは落ち着いたやや低めのトーンが好印象です。謝罪は低めのトーンが、相手と冷静に会話できます。
◆話のスピードはゆっくりで活舌良く……早口はせっかちな印象、ゆっくり話すとおおらかな印象です。活舌が悪い場合は、姿勢を正すと改善につながります。
◆出だしの「えーっと」、語尾の抑揚に気をつける……会話で「えーっと」などが続くと、人を不快にさせてしまいます。クセにならないように気をつけましょう。また、「私はぁ~」「それでぇ~」など、語尾が上がると幼稚な印象です。一方で抑揚がないと、冷たい印象になります。
◆声がこもらないようにしっかり口を開く……発音の際に、口の開け方が小さいと声がこもりがちです。口のまわりの筋肉である口輪筋を鍛えると、口の動きが良くなります。
話す時には、相手の喜怒哀楽に自分の感情を合わせると、相手の気持ちを理解していることが伝わります。
上手く話そうと思わず、話し方を意識して心を込めて伝えると、コミュニケーションがスムーズに進んで人間関係が良くなりますよ。
会話が盛り上がる位置に座る
ある日、あなたは好きな人と一緒にカフェに行ったとします。その店には、誰も座っていない、6人掛けの長方形のテーブルがありました。二人はそこに座ることにしました。
さて、あなたはテーブルの、どの位置に座りますか?
好きな人とカフェに行ったら、何を話そうかといろいろ話題を探しますよね。あれも話そうこれも話そうと考えながら、空いている席に意識せず座ると思います。でも、会話をする以前に、座る場所が二人の気持ちに影響を及ぼすとしたらどうでしょうか。
座る場所によって、お互いの会話がはずんだり、リーダーシップがとれたりと、席選びは思いのほか重要なのです。
席を選ぶ時は、意識せずに対面で座りがちです。でも、会話が盛り上がるのはテーブルの角をはさんだ、斜め90度の図1の1と2、1と6、3と4、4と5の席です。二人が遠すぎず近すぎず、心地いい距離感でリラックスができ、お互いが向き合わないため視線を合わせるのが苦になりません。また、相手に触れることもできる距離で親密度も深まります。
緊張せずに会話がスムーズにできる、斜め90度の位置に座るのは、病院の診察室で医師と患者の問診や、心理カウンセラーとクライアントのカウンセリングに使われています。
一方で、対面の席は競争や対立する時によく選ばれます。心理学者のバーナード・スティンザーは、以前に自分と口論した相手は、会議の席で自分の正面に座る傾向があることを発見しました。また、ポール・A・ヘアーの研究では、大きな角テーブルでは図2の1、3、5、7 の席に座る人がリーダーに選ばれやすいことを明らかにしています。
人の気持ちに作用する座席の選択は大事です。好きな人とは、ぜひテーブルの角をはさんで会話してみてくださいね。
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