この記事は2022年6月1日に「ニッセイ基礎研究所」で公開された「宿泊旅行統計調査2022年4月~延べ宿泊者数は2019年同月比でマイナス幅が若干縮小。外国人観光客の受け入れ再開へ」を一部編集し、転載したものです。


目次

  1. 延べ宿泊者数が3,380万人泊、2019年同月比では2か月連続でマイナス幅が縮小
  2. 政府の後押しを受け、今後延べ宿泊者数は増加が見込まれる

延べ宿泊者数が3,380万人泊、2019年同月比では2か月連続でマイナス幅が縮小

宿泊旅行統計調査
(画像=tontectonix/stock.adobe.com)

観光庁が5月31日に発表した宿泊旅行統計調査によると、2022年4月の延べ宿泊者数は3,380万人泊となった。新型コロナウイルスの影響が出る前の2019年同月比でみると、▲33.4%(3月:同▲34.6%)と2か月連続でマイナス幅が縮小した。

2022年4月の日本人延べ宿泊者数は3,329万人泊、2019年比同月比▲15.6%(3月:同▲20.4%)と、マイナス幅が縮小した。また、外国人延べ宿泊者数は、51万人泊、2019年同月比は▲95.5%(3月:同▲96.5%)と低い水準で停滞している。

日本人延べ宿泊者数の2019年同月比は、新型コロナウイルスの感染が拡大した影響によりマイナスで推移していたが、2021年12月には+1.9%と、22か月ぶりのプラスとなった。しかし2022年入り後、オミクロン株の感染が広がり、再びマイナスとなった。足元では3月21日にまん延防止等重点措置が全面解除されたことを受けて、2か月連続でマイナス幅が縮小している。

外国人延べ宿泊者数の2019年同月比は、2020年4月以降、▲90%台後半で推移を続けている。

宿泊旅行統計調査
(画像=ニッセイ基礎研究所)

客室稼働率は2022年4月に全体で43.2%、2019年同月差では▲21.8%(3月:同▲22.3%)とマイナス幅が縮小した。宿泊施設タイプ別客室稼働率をみると、旅館が28.4%、2019年同月差:▲11.3%(3月:同▲13.2%)、リゾートホテルが38.0%、2019年同月差:▲19.8%(3月:同▲23.5%)、ビジネスホテルが54.2%、2019年同月差:▲25.0%(3月:同▲24.4%)、シティホテルが44.7%、2019年同月差:▲38.3%(3月:同▲40.7%)、簡易宿所は20.2%、2019年同月差:▲14.8%(3月:同▲14.7%)であった。2019年同月比では旅館、リゾートホテル、シティホテルのマイナス幅が縮小した一方で、ビジネスホテル、簡易宿所のマイナス幅は拡大した。

政府の後押しを受け、今後延べ宿泊者数は増加が見込まれる

2021年9月末に緊急事態宣言が全面解除されたことで、人出が増えたが、2022年入り後、オミクロン株が猛威を振るい始め、1月9日にはまん延防止等重点措置が発令された。これによって回復に向かっていた日本人延べ宿泊者数と客室稼働率は再び低下に向かった。2022年3月21日にまん延防止等重点措置が全面解除され、新規感染者数の7日移動平均は減少傾向である。

観光庁は、GoToトラベルの代替として2021年4月1日から実施している県民割(地域観光事業支援)の期間を令和4年5月31日宿泊分(6月1日チェックアウト分)までとしていたが、本支援の活用状況を踏まえ、6月30日宿泊(7月1日チェックアウト分)まで延長することを5月20日に発表した。ワクチン接種やPCR検査での陰性など要件はあるが、ワクチン接種率は2回目接種がおよそ80%で推移しており、3回目接種はおよそ60%だが、さらに上昇していくことが見込まれるため、要件を満たす人は増加するだろう。県民割が活用されれば、日本人延べ宿泊者数の増加、客室稼働率の上昇が見込まれる。

さらに政府は、6月1日から入国者総数の上限を1日10,000人から、1日20,000人に引き上げることと、6月10日から観光目的の外国人の入国を条件付きで許可することを発表した。これらの措置によって、外国人延べ宿泊者数の増加、客室稼働率の上昇が見込まれる。

感染拡大を抑えつつ、県民割の活用、国際的な人の往来再開を達成することによって延べ宿泊者数、客室稼働率は改善に向かうだろう。

宿泊旅行統計調査
(画像=ニッセイ基礎研究所)

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安田拓斗(やすだ たくと)
ニッセイ基礎研究所経済研究部 研究員

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