本記事は、羽田宗一郎氏の著書『トップセールスのSNS営業術』(秀和システム)の中から一部を抜粋・編集しています
リレーションシップ型ターゲットのクロージング【クロージング】
行動要請を制する者が営業を制す
リレーションシップ型ターゲットへのクロージング方法を紹介しましょう。
リレーションシップ型ターゲットとは、「直接のお客様と多くの関わりを持つお客様」のことを言います。営業活動をしていく上では、直接のお客様を追い続けることも大切です。でも、余裕を持った営業活動をするためには「直接のお客様と多くの関わりを持つお客様」といかに関わるかが重要になるのです。SNS営業の神髄となるターゲットとも言えます。
そうしたリレーションシップ型ターゲットへのクロージングでするべきは、ずばり「行動要請」です。
ボクシングでは「左を制する者は世界を制す」。ゴルフでは「パターを制する者はゴルフを制す」。……では、営業においての成功法則とはなんでしょうか?私なりの答えは、「行動要請を制する者は営業を制す」です。
行動要請というのは、相手に対してどういった行動を取ってほしいかを、明確に伝えるということです。
紹介がもらえないのは行動要請がないから
分かりやすいように、お花屋さんで考えてみましょう。
トランザクション型ターゲットは、お花を買いに来る一人ひとりのお客様です。一方でリレーションシップ型ターゲットは、例えばウェディングプランナーさんなどが当てはまります。
お花屋さんにとっては、もちろんお店に来てくれる一人ひとりのお客様を大切にすることも大切です。しかしビジネスとして成果を出してより多くのお客様に喜んでもらうためには、ウェディングプランナーさんと良い関係を築き、たくさんの紹介をもらうということがカギとなります。
なぜなら、ウェディングプランナーは、高単価なお花を買ってくれる新規の花嫁さんと、毎月数十人の接触があるからです。お花屋さんは花を買ってくれる人を常に探していますので、ウェディングプランナーさんと仲良くしない理由はありません。
しかし、ただ仲良くしているだけで紹介がもらえるわけではありません。ウェディングプランナーさんの方も、仲がいい人に仕事を紹介したいと思っていても、どんなタイミングでどのようにして紹介したら良いか分からなければ、何もできません。
どんなに仲が良くても、相手の仕事の表面上しか理解していないということは多々あります。営業マンの中には、「なかなか紹介がもらえない」「この人には人脈がない」などと言う人がいますが、紹介がもらえないのは信頼関係が構築できていないからでも、その人に人脈がないからでもなく、具体的な「行動要請」がないからに他なりません。
うまく仕事を紹介してもらえるように、相手には具体的な行動要請をするようにしましょう。
行動要請は「状況」と「こと」が大切
では、実際に行動要請をどのようにすればいいのか、会話形式で例示してみます。大前提として、信頼関係が築けていることが条件となります。
- 【NG例】 お花屋さん 「花嫁さんを紹介してくれませんか?」 ウェディングプランナー 「分かりました。頑張ってみます!」 お花屋さん 「ではよろしくお願いします!」
- 【OK例】 お花屋さん 「花嫁さんを紹介してくれませんか?」 ウェディングプランナー 「分かりました。頑張ってみます!」 お花屋さん 「具体的には、花嫁さんとの打ち合わせのときに、『お花選びは○○フラワーショップがオススメです。店長さんがお花にとても詳しく、ウェディングに特化したお花選びを得意としているので、いろいろ相談できると思います。実績も豊富で、結婚式で利用する場合はお値段もお祝い価格でリーズナブルにしてくれることで評判なのです。ご紹介しましょうか?』といったニュアンスでお客様に伝えていただけませんか?」 ウェディングプランナー 「要するに、お客様にとってメリットがある形で、信頼できるお花屋さんがあると言えば大丈夫ですかね?」 お花屋さん「はい。よろしくお願いします!」
「そこまで細かく言うの?」と思う人もいるかもしれませんが、ここまでやって行動要請は完了します。
もちろん何も言わなくても紹介をくれるお客様はいます。しかし、ほとんどの場合は、この具体的な行動要請がないがために紹介がもらえないことがほとんどなのです。
大切なのは行動要請に、どのような「状況」でどのような「こと」を伝えたら良いかを明確に盛り込むことです。
人のために頑張ることが嫌いな人は、基本的にはいません。ですから、「具体的すぎない?」と心配する必要はありません。頑張り方を教えてあげることで、紹介をスムーズにもらうことができるのです。
信頼関係が築けていない人には、まずは自分から与える
ちなみに、信頼関係があまり築けていない人から紹介をもらいたい場合は、まず自分が相手に紹介を出せるように、どのように行動してほしいか相手に聞いてみると良いでしょう。
「なぜここまでして自分のために動いてくれるのだろう?」と相手は不思議に思うとともに、「自分もこの人のためになにかできることはないかな」と考えるのが、普通の感覚です。
まずは自分から与えることで、お客様の信頼を勝ち取りましょう。
※画像をクリックするとAmazonに飛びます