本記事は、羽田宗一郎氏の著書『トップセールスのSNS営業術』(秀和システム)の中から一部を抜粋・編集しています
ムリなお願いをあえてする
「断ってしまって申し訳ない」という気持ちを利用
商談時に成約をもらいたいときには、先にあえて断られるようなムリなお願いをするというテクニックがあります。
例えば、まず「100万円するパソコンがあるのですが、買ってくれませんか」といった、明らかに断られそうな要求を一生懸命食い下がってお願いをします。そして、もうどうやっても聞いてもらえそうにないなと思ったタイミングで、「じゃあ、このワイヤレスのマウスだけでいいので買ってくれませんか。1万円です」というような提案に変えることで、相手は「1万円くらいならいいか」と思って買ってしまう……。「断ってしまって申し訳ない」という相手の気持ちを利用して、本命の商品を販売するテクニックの1つです。
武器は1つでなく複数持っていく
これを踏まえて、営業時には基本的に「高いものから案内する」ようにしてみましょう。これは、「提案を複数持っている」ことにより、自分の気持ちに安心感を持たせるためにも有効です。断られたら試合終了となる営業の世界ですが、自分ができる提案が1つではないというのは、複数の武器を持って敵に挑める安心感につながるのです。「刀がダメなら槍、槍がダメなら弓矢」というように、いくつかの提案材料を持っていれば、余裕を持って話を進めていくことができます。
商談に行く際には、武器は1つでなく複数持っていき、その中でもっとも断られそうな、単価の高いものから順番に提案していってください。そうしていると、ひょっとしたらラッキーパンチがあるかもしれません。
買うと決めたときが追加営業のスタート
財布のヒモがもっとも緩むのは「買うと決めたとき」
こちらも商談時のテクニックですが、お客様の財布のヒモがもっとも緩む瞬間というのは、「買うと決めたとき」です。つまり、購入や契約を決めたときが、違う商品をついでに販売する最大のチャンスなのです。
私にも経験があります。
スーツを買いに行ったときの話ですが、店員さんに「茶色で、価格は4〜5万円くらいのものを探している」と伝えました。このときの心理としては、既に買うことは決めていますから、いいものを手に入れたいという気持ちでウキウキです。加えて財布のヒモも緩んでいます。
そんな状態で、「ボタンと袖口にはこだわった方が、通な感じがします」「素材もこちらの方が光沢があり、高級感がありますよね」などと言われたら……。どうせ買うなら、ということでつい「じゃあそうします」という気持ちになりやすいですよね。
追加提案なら押し売りには感じにくい
これがもしも、買うか買わないかで迷っている段階だったとしたら、同じことを言われても、「この人、売ろうとしているな?」と身構えてしまうでしょう。
でも、私は買うことを決めているタイミングだったので、ボタンと袖口、素材も店員さんに勧められたものを選択しました。結果的に、金額は当初予定していたものの2倍近くになりましたが、悪い気分はしませんでした。「ちょっと高く付いたけれど、いい買い物をしたな」と思えたのです。
この消費者心理をうまく利用することができれば、追加提案がうまくなり、一人のお客様から2つ、3つと商品を買っていただくことができるようになります。
ですから、お客様から「買います」と言われたら、嬉しくて舞い上がる気持ちをグッと抑えて、他にある商品を「ついでに」と言って勧めてみましょう。買うと決めているお客様にとってオプションというのは押し売りには感じにくく、逆に聞く耳を持ってくれるので、絶好のチャンスなのです。
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