本記事は、羽田宗一郎氏の著書『トップセールスのSNS営業術』(秀和システム)の中から一部を抜粋・編集しています
周囲を巻き込み、紹介の連鎖を起こすために必要なこと
SNS営業のクロージングは「お願い」ではなく「協力」
従来のアナログ型の営業スタイルの場合、クロージングではお客様に「商品を買ってください」とお願いするのが一般的なやり方でした。
しかし、SNS営業では違います。SNS営業の場合は、自分の目標をお客様と共有し、目標達成のために協力していただくのがクロージングとなります。
具体的には、次のように進めていきます。
(1)目標・目的の明確化
SNS営業においては、目標を自分一人で決めて実行するだけでなく、その目標や日程をみんなで共有することがポイントとなります。そのためには、まず自身の「目標」と「目的」を明確にする必要があります。
そして、その目標と目的を、関わった多くの人たちに伝えて巻き込んでいきます。これだけでも成約がもらえることが少なくありません。
(2)クロージング
最後に、今まで培ってきた人脈に対してクロージングするターンとなります。
SNS営業では、関わった人たちを「直接クロージングするお客様」と「紹介をもらえるキーマン」の2種類に分類し、それぞれに異なるアプローチをしていきます。なお、「直接クロージングするお客様」のことをトランザクション型ターゲット、「紹介をもらえるキーマン」のことをリレーションシップ型ターゲットと呼びます。
さらには、自分の営業活動に協力してもらえる体制を構築し、紹介の連鎖が絶えなくなる仕組みも作っていきます。
これらには約3~6カ月かかりますので、焦らずじっくり取り組んでいきましょう。
目標の決め方【目標・目的の明確化】
客観的に評価できる内容にする
SNS営業では、自分の目標と目的を多くの人たちに伝えて巻き込んでいくことでクロージングを行います。
それでは、その目標と目的はどうやって決めればいいのでしょうか?
まず、目標の決め方から説明していきましょう。ポイントは、3つあります。
1つめは、客観的に評価できるような内容にするということ。なぜなら、客観的に評価できないと、達成したかどうか判断できないからです。
例えば「1年間で100人の人を幸せにする」といった目標は、あまりよくありません。「幸せ」の定義は人それぞれであるため、主観的な要素が強く、客観的に検証するのが難しくなってしまいます。
このような場合は、「幸せ=相談に乗る」というように、客観的に達成が評価できるようなものに置き換えると良いでしょう。つまり、「1年で100人の人の相談に乗る」という目標にするわけです。これなら、達成できたかどうかが客観的に判断できます。
他人に数字を任せる前提で1日のタスクを計算する
2つめのポイントは、一人で達成することを前提にしないということです。
例えば、あなたが保険の営業マンだとして、「1カ月で保険の契約を100件取る」という目標をどう思いますか?
営業経験のある人なら「無謀だな」と思うはずです。一人で営業をしている場合、毎日休みなく3~4件の契約を取り続けなくてはこの目標は達成できません。
しかし、次のように考えればどうでしょうか。
・キーマンを30人設定し、そのキーマン一人ひとりに月5件の契約をコミットしてきてもらう。
・キーマンに対しては毎日1回、進捗確認の電話をする。
・自身がSNS上でつながっている1万5,000人に対して3日に1回、保険の有益な情報を発信し、月に10件の契約を獲得する。
これが実現すれば、月100件はラクに契約が取れてしまいます。
1日の具体的なタスクとしては、キーマンに対する進捗確認電話が5分として、30人にかけるので2時間半。情報発信やその他の営業活動に約5時間。1日8時間以内の労働時間で済ませることが可能です。
このように、他人に数字を任せるという発想ができると、無謀に見えた目標も実現可能に見えてきます。この仕組みを踏まえて、1日の間にどのタスクにどれくらい時間をかけるか、しっかり計算して目標設定をしてみてください。
夢に日付を入れる
そして3つめのポイントは、目標を決めるときに必ず達成する日付も同時に考えるようにするということです。
以前、私が尊敬する経営者に目標宣言をしたときのことです。「いつか営業で日本一になりたいんです」「こんな夢がある」「こんな想いがあるんです」と鼻高々に語る私に、優しく耳を傾けてくださっていたその経営者は、最後にこう言いました。
「羽田君、それ叶わないよ」
私は驚き、とてもがっかりしました。普段から優しい人だったため、その言葉が余計に胸に突き刺さったのです。その方は続けてこう言いました。
「今の話に日付がひと言も出てこなかったじゃん?日付を決めないで目標達成できた人を、俺は少なくとも見たことがない」
私はこのときハッと気付かされました。確かに「いつかは」などと、他人から見て達成できたのか明確に判断できないような言い方をしているのは、無意識にでも逃げ道を用意している心理の現れだったのかもしれません。
その経営者は、目標設定をするときには「目標は〇月〇日まで決める」「期限は1年以内」ということが大切だと教えてくれました。
この2つが明確に定まっていないものは、ただの戯言。本気の宣言には、間違いなく日付が重要です。
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