本記事は、大久保秀夫氏の著書『勝ち続ける社長の教科書 王道経営8×8×8の法則』(ビジネス社)の中から一部を抜粋・編集しています

「出会い」には法則がある

出会い
(画像=Andrii Yalanskyi/stock.adobe.com)

「出会い」には、選べない「出会い」があります。

たとえば、両親や先生や上司です。自ら選ぶことはできませんが、こうした人たちとの出会いによって、その後の人生が大きく左右されます。

不幸なケースでは親に捨てられてしまう子ども、虐待を受ける子どもがいます。そして、学校の先生によって勉強が好きになったり、嫌いになったりすることもあります。

同じように、どんな上司に当たるかによって、仕事が好きになったり、嫌いになったりすることもあります。

その一方で、自分で選べる「出会い」もあります。それは友人です。友人との「出会い」を自らコントロールすることが、皆さんのこれからの人生を大きく左右する、大切なキーとなるのです。

たとえば私の場合、ソフトバンクの孫正義さん、亡くなられたソニー創業者の盛田昭夫さん、「経営の神様」と称される京セラ名誉会長の稲盛和夫さんとの「出会い」によって、人生が大きく変わりました。

こう書くと、「たまたまフォーバルの会長だから会えて、友人になれたのだろう」と皆さんに言われますが、そうではありません。私が3人と出会ったのは、今から30年以上も前、まだ30歳そこそこの若手経営者の頃のことです。フォーバルも上場していませんでしたし、まだほとんど知られていない小さな会社でした。今のような社会的地位に就いたから出会えたわけではないのです。

この大切な「出会い」をより良いものにするためにはどうすればいいか。

実は法則があります。誰にでもできることです。

まず、「出会い」には、「類は友を呼ぶ」という法則があることを理解してください。前向きな人には何事にも挑戦する人が集まりますし、人を騙そうとしている人には詐欺師みたいな人が集まるというように、人間は自分に近い人を呼び寄せる性質があるのです。

良い出会いをするために

私が「良い出会いをしている」「成功している」という人を見て気付いた共通点は、次の3つの要素を持っていることです。それは「明るく」「元気に」「素直に」生きているということです。

1-1
(画像=『勝ち続ける社長の教科書 王道経営8×8×8の法則』より)

「明るく」といっても、ただヘラヘラ、いつもニコニコ笑っている人が成功するわけではありません。もちろん表面上も明るいに越したことはありませんが、そのような表面的なことではなく、考え方が明るいということです。

わかりやすい例として、私はいつも発展途上国で靴を売る話をします。

もし、「発展途上国に行って、靴を売ってきてくれ」と言われたとします。そのとき、あなたならどう考えるでしょうか。ここで考え方が暗い人は、「全員裸足じゃないか、こんな国では靴は売れない」と考えるでしょう。

しかし、考え方が明るい人は、「もし誰かが靴を履いて、靴の良さがわかったら、全員履いてくれるようになるのではないか。すごいマーケットを発見したぞ」と考えるのです。そう考えるからこそ、「そのために最初の一人にどうやって履かせようか」と、次のステップに向けての仕掛けを考えるようになります。すなわち、同じ局面に置かれたとしても、暗い人は「無理だ」と諦めてしまうのに対して、明るい人は「いける」と可能性を見出し、具体的な行動に移せるから成功につながるということです。

実際、普通の人なら「これは無理ですよ」というシチュエーションに置かれた時にも、盛田さん、稲盛さん、孫さんは、いつも「いや、むしろチャンスだよ」と捉えていました。このように、「物事を明るく考える」ことができるかできないかで、人生はほとんど決まってしまうのです。

また、皆さん「元気」というのも共通点です。どうして元気なのか。私は元気な人は毎日が充実していて、やることが多いからだと考えています。

一般的に、サラリーマンをしていた男性は平均より早く天国へ行ってしまうか、寝たきりになってしまうケースが多いそうです。なぜかというと、定年を迎えた瞬間、「ああ終わった」とやることがなくなってしまうからです。

反対に、女性の多くは老後も元気です。女性はどうしても家事の多くを負担している場合が多いので、定年といえる区切りがありません。また、昔から井戸端会議、おしゃべりが大好きで、近所に友だちがたくさんいます。定年で老け込む男性とは反対に、子育てからも解放されて友達と遊べる自由な時間が増えるので、女性は老いてますます元気になっていくのです。

男性でも、いくつになっても元気な人たちがいます。それは政治家です。国会議員の多くは皆さんより年上だと思います。麻生太郎自民党副総裁は80歳を超えましたが、元気で頭の回転も速くて驚かされます。中曽根元首相は101歳で亡くなられましたが、高齢になられても内政や外交について積極的に発言をされていました。政治家は絶えず頭を使い、常に緊張感のなかにいるので老いることもボケることもなく元気なのです。

残念ながらお亡くなりになりましたが、聖路加国際病院の名誉院長をされていた日野原重明先生も生涯現役で、100歳を過ぎても2~3年先までスケジュールが埋まっている状態だったそうです。すなわち、常に社会と関わっている人、前に向かっている人というのは、年齢に関係なく元気なのです。

経営者には基本的に定年がありません。よって「まだまだ頑張ろう」と思っている人は、70歳を過ぎても、80歳を過ぎてもお元気です。

反対に私より若い経営者でも「ウチは食っていけてるからもう十分だ」「遊びながら適当にやるよ」と思ってしまった人には、歳は若くても元気を感じません。そういう経営者がトップの会社は、会社自体も元気がない場合がほとんどです。

私は人から「大久保さんは大成功されましたね」と言っていただくのですが、そのたびに「嫌味を言っているの」と、本気になって怒っています。会社の大きさにこだわっているわけではありませんが、「友人の会社は1,000億円なのにウチはまだ500億円だ。これで成功だなんて『ウチは1,000億にはできない』と言われているのとイコールだ。ふざけるんじゃない、まだ人生3分の2だ」と思っているからです。

人は、「まだまだ」という気持ちがあるからこそ、それが「勉強しよう」「行動しよう」「挑戦しよう」という原動力になるのです。「もうこれでいい」と思ったら、パワーが出ません。すなわち成功している人には終点がなく、常に「まだまだ」という向上心を持って生きているということです。

孫さんをはじめ、私と同世代で活躍している経営者は、世の中の平均的な60代の人たちと比べて圧倒的に元気です。なぜかというと、「やりたいこと」「やらなくてはいけないこと」が多くて、休んでいる暇がないからです。だから元気なのです。

ソニーの盛田さんは50代からテニスを始め、60歳を過ぎてからスキーやスキューバダイビングを始めたそうです。

すごいと思いませんか。普通、そのような歳になってから「スキューバダイビングをやろう」という気になるでしょうか。私も元気なほうだと思っていますが、さすがにそんな気持ちは起きません。

皆さんも成功したかったら、まず物事の考え方を明るくしてください。そして一日一日をもっと元気に生きてください。そして最後に、素直になってください。これができた人には、必ず良い出会いがやってきます。

会いたい人には必ず会える

このように書くと、「でも、いきなり稲盛さんには会えないよ」と皆さん言います。しかし、そんなことはありません。会えるのです。

ただし、「誰に会いたいですか」と聞かれてから、「んー、誰かな……じゃあ、稲盛和夫さんにしておこうかな」と考えるようではダメです。そうではなく、いつ聞かれてもすぐに「この人!」と出てくる、そのくらい会いたいと思っている人には、必ず会うことができるということです。

私も過去に、「会いたい」と思っていた方たちには、全員会うことができました。会えなかった人は一人もいません。そのためにどのようにしたかわかりますか。これは簡単なことです。

たとえば、京セラの稲盛名誉会長に会いたいとします。そうしたら、「稲盛和夫さんに会いたい」「稲盛和夫さんとお知り合いではありませんか」と、会う人すべてに、毎日言い続けるのです。

なぜかというと、会う人全員に熱意をもって「会いたい」と言い続けていると、「そんなに会いたいなら聞いてみる」という人が必ず出てくるからです。その人が直接知らなくても、その人の友人、先輩、親戚、取引先……と辿っていくと、必ず誰か知っている人に当たるのです。

もし会いたい人がいるのに会えていないとしたら、それはあなた自身の問題です。会いたい人に会うための努力を、本気になってしていないということです。

ただし、会いたい相手に会うことができたとしても、その出会いが必ず成功するとは限りません。皆さんが会いたい「成功者」は、明るく、元気で、素直です。一方、あなたが暗い考えで元気がなくひねくれていたら、1回は会ってくれたとしても、「あ、この人は会う価値がない」と判断されてしまい、もう二度と会ってもらえなくなります。

ですから、会うだけならば、誰でも会いたい人に会うことができます。それは保証します。

しかし、その人と継続的に付き合うことができるかどうかについては保証できません。元気な人は、皆さんとても忙しく、時間がありません。そういうなかで会ってもらうためには、あなた自身も考えが明るく、元気で、素直。そういう生き方をしなければ難しいということです。このことは、しっかりと覚えておいてほしいと思います。

勝ち続ける社長の教科書 王道経営8×8×8の法則
大久保秀夫(おおくぼ・ひでお)
1954年、東京都生まれ。國學院大學法学部卒業後、経営方針に納得できず退社。1980年、25歳で新日本工販株式会社(現在の株式会社フォーバル 東京証券取引所 プライム市場)を設立、代表取締役に就任。電電公社(現NTT)が独占していた電話機市場に一石を投じるため、ビジネスフォン販売に初めてリースを導入し、業界初の10年間無料メンテナンスを実施。1988年、創業後8年2カ月という日本最短記録、史上最年少(ともに当時)の若さで店頭登録銘柄として株式を公開。同年、社団法人ニュービジネス協議会から「第1回アントレプレナー大賞」を受賞。その後も、情報通信業界で数々の挑戦を続け、上場会社3社を含むグループ企業33社を抱える企業グループに成長させた。2010年、社長職を退き、代表取締役会長に就任。会長職の傍ら、講演・執筆、国内外を問わずさまざまな社会活動に従事。カンボジアにおける高度人材の育成を支援する「公益財団法人CIESF(シーセフ)」理事長も務める。さらに一般社団法人公益資本主義推進協議会 代表理事、東京商工会議所副会頭・中小企業委員会委員長なども務めている。

※画像をクリックするとAmazonに飛びます
ZUU online library
(※画像をクリックするとZUU online libraryに飛びます)